【3話】衝撃の事実
私が安心したのも束の間。
先生がある名前を呼んだ。
「じゃあ次11番、不知火。」
ん…?今なんて…?
不知火…?
ひかりんと同じ苗字…?
い、いや流石に無いでしょ…
「はい。」
おぉ‼イケメンじゃん。
私のタイプ…
ひかりん説消えたぁ。
よかったぁ。
「不知火光です。宜しくおねがいします。」
い、今何て…?
し、不知火光⁉
同姓同名かな…?
いや、聞き間違い…?
女子の黄色い声援が遠くで聞こえる。
私は「不知火光」という名前の奴のせいでずっと頭の中が混乱していて、それ以降のクラスメイトの自己紹介など頭に入らなかった。
私は、彼がひかりんでは無いと証明しなければ勉強も頭に入らないと思い、放課後聞きたいことがあると彼を屋上に呼び出した。
女子から黄色い声援を浴びていた不知火くんは他の女子からの誘いもあったらしいがそれを断ってまでも私に付き合ってくれるようだ。
まぁ、私に対して断る理由も見つからないから当たり前といえば当たり前なんだけどね。
「「あのさ、」」
二人の声が重なった。
「あ、先良いよ。」
私は不知火くんに譲った。
「ありがとう。鮎川さんは“胡桃沢愛結”ってアイドル知ってる?」
ん…?
なんで知ってるの?
私のこと知ってる不知火光とかひかりんしかいないじゃん。
「ちょ、ちょっとだけ知ってるかな…」
「ほんと⁉“胡桃沢愛結”って名前と名字を反対にすると“鮎川胡桃”になるからなんとなく親近感湧いちゃってさ。あゆゆんってさ《みっくす!》っていうアイドルグループに所属しているんだけど中でも一番可愛くて優しいんだよね。ファンサも神。僕のことひかりんって呼んでくれるとか神すぎてもう尊すぎて死にそう。流石にガチ恋勢になっちゃうよね。」
え…?喋り口調とか話してる内容とか完全にひかりんじゃん。
まずまずこんなイケメンなの知らなかったし、どうしよう。パニック。
「へ、へぇ。そうなんだね。お、推しがいることは素敵な事だと思うよ。」
校内でアイドルということは内緒だから、流石に本人とは言えない。
「鮎川さんさ髪の毛下ろしてるし、眼鏡かけてるからよく顔見えないんだよね。ちょっと見せてもらってもいいかな。」
そういってひかりんは私の眼鏡を取った。
そして更に私の顔がよく見えるように私の髪を耳にかけた。
顔が近い…
なぜか心拍数が上がってる気がする。
なんで…?なんであんなキモオタにドキドキさせられなきゃならないの…?
「「「あゆゆん…!?!?」」」
「い、いや、学校であゆゆんに会えるとk…」
ひかりんの言葉を遮るように私は彼と唇を交わした。
これ以上は喋られたらひかりんは止まらなくなる。
それが理由…
なのに、心の中には「キスしたい」と思ってしまった自分がいる。
「こ、これはファンサだから…!学校内では私がアイドルってことは内緒だから、じゃあね!」
そう吐き捨てて私はその場から逃げ出した。
彼のせいで私の平和な高校生活が崩れていく。どうすれば良いのだろうか。
如月笑夢です。
今回も「アイドルの私とヲタクの僕じゃ不釣り合いですか?」をお読みいただき有難う御座います。
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次のお話でお会いしましょう。