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51.

 嫌な予感を抱いたまま俺達は謁見の間へと案内をされる。しかし……この城はとても素晴らしい。中庭にあった噴水や、城内に飾られている彫刻などは出すところに出せば相当な値段で売れるだろう。

 だけど、どれも古く、噴水などはメンテナンスなどはされていないようだ。美しいからこそ、かけていた箇所が気になる。人間とドワーフが不仲になっているのが無関係ではないだろう。



「こちらが王の間になります。グレイス様がいらっしゃいました!!」



 カイゼルの言葉によって、重厚な扉が開かれる。カイゼルと同様にミスリル製の武具を身に着けた兵士が何人も待機しており、王座に座っているのは太り気味の高価な服を身に纏った男性だった。おそらく彼がドゥエルの王なのだろう。

 俺達は王の間に進んで王座の前でひざまずく。無能かどうかは知らないが相手は他国の王である。最低限の礼儀は尽くす必要がある。



「頭を上げてくれたまえ、遠路はるばるご苦労だった。ヴァーミリオンの盟友よ」

「は、ありがとうございます。王よ。わが父の命にてドゥエルに援軍として来てやってきました。グレイス=ヴァーミリオンです。よろしくお願いいたします。鉱山アリに対する発明品も持ってきましたので必ずや、お力になれると思います」

「ほう、発明品か……」



 ドウェルの王は俺の言葉に一瞬興味を持ったようだが、なぜかきょろきょろとあたりを見回す。一体どうしたというのだろうか?

 彼は咳ばらいをして、とんでもないことを言いやがった。



「それで、グレイス殿、援軍であるゲオルグ殿はいつ頃いらっしゃるのかね? 見たところ君らは数も少ない。先遣隊なのだろう?」

「は……?」



 俺は思わず王の言葉を聞き返す。いやいや、他国とはいえ、同盟国だ。俺とゲオルグ……そして、カイルが仲が悪いことくらい知っているだろうに。それなのにゲオルグの先遣隊何てするはずがねえだろ。

 俺は一瞬頭に血がのぼったが深呼吸をして、落ち着かせる。



「いえ、私はゲオルグの部下ではありません。父の命にて、アスガルドの領主として援軍にやってきたのです。数は少ないですが、必ずや鉱山アリを駆逐して見せましょう」

「何と……ゲオルグ殿はまだいらっしゃらないのか……」



 俺の言葉に王が露骨にため息をついて頭を抱える。いや気持ちはわからんでもないが、とりつくくらいの事をはしろよ……まあ、実際いまの俺の他国からでの評価はわかったし、こういう扱いは慣れている……だったら俺だって遠慮しなくていいよな?



「王よ、同盟国からの援軍にその反応は失礼ですぞ」

「ああ、すまない……鉱山アリが現れた時にはその対処の援護を頼む。宿などはわが国で負担するので安心してほしい」



 カイゼルの言葉で王は最低限の礼儀を見せる。こんな対応は一国の王子に対するものでも遠路はずばる来た同盟国の援軍への対応ではないが、それほどまでにゲオルグしか目に入っていないのだろう。だったらちょうどいい。



「ありがとうございます。それでは……特に何もない時はドゥエルの観光や、市場を見てきてもよろしいでしょうか?」

「ん……ああ、好きにしてくれていいぞ。私は忙しくてね……大変申し訳ないがそろそろ仕事をせねばならないのだ」



 その言葉で、俺に興味を失った王との謁見は終わり、俺達は追い出されるようにして後にした。



「ねえ、グレイス……こんな国滅ぼしちゃってもいいんじゃないかしら?」

「落ち着けって、元々俺の扱いなんてこんなもんだろ」

「マスター……私もヴィグナ様に同意見です……ですが、何か考えがあるのですね?」


 

 王の間を出て、俺の隣で今にも魔法銃剣を抜こうとしているヴィグナをなだめる。まあ、ここまでひどいとは思わなかったが、正直想定内だった。



「ああ、ちゃんと王の間で言質はとったからな。俺は観光として自由にしていいと許可をもらったんだ。だから……たまたまドワーフたちが好きそうなものを振舞って、今の王よりも気に入られてしまっても問題はないだろう? 好きにしていいらしいからな!! 馬鈴薯の効果はさっきの村で十分わかっているしな。ふはははは、優秀な人材を引き抜いてやるぜ!!」

「あんたね……元からそのつもりで持ってきたわね……」



 それにドワーフたちにボーマンから手紙も書いてもらっている。交渉はうまくいくだろう。その結果ドウェルよりもアスガルドがドワーフに気に入られても知ったことではない。

 あとはどうやってドワーフたちとの謁見をスムーズに進められるかだが……



「グレイス様お疲れ様です」

「その顔だと予想通りじゃったな」



 蒸気自動車のまえで待っていたのはアインとギムリだった。彼女達はきっとこのことを言いたかったのだろう。



「ああ、最高の歓迎をされたぜ。それでさ、ドワーフの……」

「グレイス様、もしよろしければドウェルのもう一人の王にあってはいただけないでしょうか?」

「準備万端ってわけか、頼むぜ」



 そうして、俺達はアインについていくことにするのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 失礼というか無関心ですね。食い荒ら背。
[一言] 想定以下の愚物だなぁ…(汗) 本当に先遣隊であってもこの扱いはないわ(汗) 正直、派閥関係で初見から冷遇してきたアズール商会の方がまだマシだわ。 そりゃ、こんなんで王様務まるわけないよな…
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