プロローグ
原案、校閲:シロクマ
著:まきずし(2022年11月14日より、ユーザー名を『雪代 真希奈』と変更しております。後書きなどはそのまま執筆当初のものとして記載しておりますが、筆者は同一人物でございますので、新しいお名前の方でのご理解もいただければ幸いでございます)
読んでくださる皆様へ
・この物語はフィクションであり、登場する地名、名称、キャラクター名などは、実在のものとの関係や他作品との関連は一切ありません。
・この物語は原案者と著者の連名での製作となっております。作品の無断での売買、複製や改編、インターネット上での掲載など、製作者が著しく不利益を被る行為はご遠慮ください。
・この物語は、ところにより乱暴な場面や危険な行為を示唆する場面の描写がありますが、そういった行為を許容するものではありません。場合によっては非常に危険ですので、絶対に描写の中にあることを真似したりしないことを予めご了承の上でご覧いただければ幸いです。
あらすじ及び後書きにもございますが、本作品は2018年7月に完成し、その後、2020年8月23日の日付を以てpixiv様にて投稿させていただいていたものと同様のお話です。小説家になろう様に掲載させていただくにあたり、若干の手直しを行っておりますが、内容そのものには手をつけてはおりません。重ねてご理解いただければ幸いです。
プロローグ
燃え盛る炎の中に、少女が一人。
少女が立っているのは------映画のセットのような廃墟だ。少女の立つ中心が、普通では考えられないほどに陥没し、あたりには炎が舞い踊り、周りにうず高く積もる瓦礫の山が、ただ事ではない雰囲気を醸し出している。
そのようなところに立っているのに、服も、肌も、銀色に輝く髪も、少したりとも焼け焦げのひとつとしてない。
「------ば、化け物め…!!」
傍らで、瓦礫の下敷きになり血を流して倒れている男が、絞り出すような声で少女に向かって言った。少女は彼を、無邪気さの残る、しかし冷え切った瞳で見つめて言う。
「------何を言っているのです?私には心を決めた人がいるというのに、無理やりに言うことを聞かせようとしたのは誰でしたか?ああ、よかった。私が魔法使いで。危うく好きでもない男の人達に好き勝手されるところでした。」
少女は傍らに焼け残っていた馬鹿でかい金庫に歩み寄り、手をかざして何かぶつぶつ呟く。すると、まるで中で何かとんでもない爆薬が爆発したかのように金庫の蓋が吹き飛んだ。中身の無事を確認すると、少女はそれ------大量に入っていたジュラルミンケースを取り出し、また手をかざしてぶつぶつ呟く。すると、ジュラルミンケースの山は瞬く間に虚空へと姿を消す。少女は倒れている男に目をやって言った。
「もらっていきます。まだ組織は死んでいないのでしょうから、このくらいの金額を取られたところで取引に支障が出るとは思えません。…私はこの程度の金額で売られるかもしれなかったことを考えたら、すごく気持ちが悪いところですが。」
話の途中でもはや動かぬ身となっていた男が、炎に包まれていく。
それをちらりと見るや否や、銀髪の少女は、おそらくこれが本来の姿なのであろう無邪気な微笑みをうかべて呟いた。
「------ようやく会えますよ、私の大好きな------顔も知らないお兄ちゃん。」