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死神の降臨と英雄の最期と

 壊れた店内からゼロが姿を現す。男はゼロの首筋の傷が浅いのに疑問を思える。手ごたえはあった。深く切ったつもりだった。


「お前、なぜ俺を狙う」


「意味は無い。頼まれたから遂行するだけだ」


「そうか、ならしょうがないな」


 ゼロは一気に近づき、男の頭を鷲掴みにする。


「死ね」


 掌に小さな魔方陣を描く。男は抵抗せずにゼロの行動を見ていた。


「トライデント・ブリッツ」


 ゼロの魔方陣から雷で出来た三叉の槍が飛び出す。だが、その時すでに男はいなかった。槍は直進し、建物を破壊する。


「こっちだ」


 男はゼロの右側に立っていた。距離は十メートルほど離れ様子を伺っている。ゼロの掌にはまだ男の頭の感触がある。切り付けられた時と同じように何かが奇妙に思えた。


「どうやって逃げたか知らないが、そう何度も上手くいくかよ」


 両手を地面に付け、男の居る地面に魔方陣を描く。


「ディメンション・ボックス」


 男は魔方陣から離れようとするが、四方と上を壁で囲まれる。男が囲まれたのは壁ではなく、奇術師が使う縦長の箱だった。無数に空いた小さな穴は剣が一本入るような穴だった。


「面白い魔法を使うのだな」


 ゼロは片方の手を天に向け、もう一度魔方陣を描く。箱を取り囲むように幾つもの魔方陣を創り、そこから剣を生み出す。


「サークレット・ソード」


 ゼロの言葉とともに剣は箱の穴目掛けて突き刺さる。ゼロは全てが刺さり終えたのを確認し、両手を再び天に向ける。箱の上空に大きな魔方陣を描き始める。「メテオ・ブラスト」

両手を地面に振り下ろしたのを合図に魔方陣から巨大な隕石が落下する。その時、またしてもゼロを奇妙な感覚が襲う。しかし、落下する隕石は止まらない。箱を直撃し、衝撃波が周囲を一掃する。箱は消し飛び、周りは跡形も無く消し飛び、男の姿も無くなった。ゼロが一息ついた時、後ろに気配を感じた。


「異例とも言える魔法の数々。そして、星魔法の詠唱破棄。やはり。英雄と呼ばれるだけの男だな」

三度感じた奇妙なものは間違いではなかった。男は平然と、キズ一つ負わずに立っていた。


「そろそろ此方かも仕掛けさせてもらおうか」


 ゼロは今まで感じたことの無い恐怖を感じ、急いでその場から離れた。男の正体を掴まなければこの勝負に勝ち目は無い。


「最後に一つだけ言っておく。我が名はマキ。時の支配人にして番人」


 その言葉を聞いたゼロは耳を疑った。しかし、すでに遅かった。マキは力を行使した。

 マキが力を行使した直後、ゼロの魔法により消し飛んだ周りの建物は徐々に元の姿を取り戻していく。マキはただ、待っていた。すると、ゼロが戻ってきた。戻ってきたというより、戻らされたと言っていい。ゼロの顔は動かず、ただ、元の位置に戻ってきた。マキはゼロに近づき、懐からナイフを取り出す。


「あっけない最後だな、英雄よ」


 マキは躊躇せずナイフを振り下ろす。ほんの数ミリ、ナイフはその距離で止まりゼロに刺さらない。何度力を入れても決してナイフは動かなかった。

マキはナイフに覆われている何かを見た。その何かが、徐々に姿を現す。それは手だった。手がナイフを掴み、離そうとしない。


「貴方ニ此ノ方ヲ殺サセハシマセンヨ」


 声はゼロから聞こえてきた。しかし、ゼロは動いていない。よく見ると、ゼロに寄り添うように人が見える。


「何だ、お前は。何故動いている」


「貴方ニ答エル義務ハ無イコトデス」


 マキは驚きを隠せないまま殴られ、遠くへと飛ばされた。その瞬間、時が動き出した。


「あいつは、どこ行った?」


 ゼロは時が止まっていたことを知らない。


「アノ方ハ、時ヲ止ルコトガ出来マス。トテモ危険ナ存在デス」


「やっぱり、アイツが言った事は本当か」


「デスガ、『時の番人』ハ時ヲ犯ス者ヘ罰ヲ与エル存在」


「俺らが?そんなことに覚えはないが」


「ヤハリ」


 そう言ってアイギスは言葉を濁らせた。


「あの男はどうなった?」


 その言葉の後に、マキは姿を現した。前と同じように一瞬で目の前に移動してきた。


「『時の番人』がこんなことしていいのか?お前にはもっと重大な使命があるだろ?」


「確かに、今の私は、ただの殺し屋だ。だが、真の目的も見つかった」


 男は小さく笑った。そして、アイギスを指差した。


「ついに見つけた。実在しない道化師よ。お前は危険だ。その男に憑いているのなら、その男も同様に

殺す」


「貴方コソ危険ナ存在デス」


「何も知らないと思うな、道化師よ。俺はお前を監視するために存在するのだ」


「私ヲ、監視・・・」


「今はアイツを倒すことだけを考えろ」


 アイギスは我に返り、ゼロとともに臨戦態勢に入る。


「俺を倒す。時の支配からは逃れられない」


「バカ言うな。それはアイギスには効かないだろ?」


 マキはその言葉を聞き、笑い始めた。


「確かに、もう時を止める必要は無い。道化師は世界を監視するだけでいい。誰かに寄り添うなどあっ

てはならない。それを阻止するためには禁忌を犯そう」


 マキは手に持っていたナイフを自分の心臓へと突き刺した。鮮血が飛び散る。


「なんだ?気でも狂ったのか?」


 マキは流れる血を見て苦しそうに笑っている。


「時の番人が自身の時を止めることにより死神は現れる。絶対無比な死神」


 マキの心臓から全ての血が流れ落ち、地面に溜まった頃、その血はマキを包み込むように回り始めた。


「何か、ヤバイ予感がする。止めるぞアイギス!」


「了解シマシタ」


 ゼロはマキ目掛けて走り始めた。しかし、すでに遅かった。大きな衝撃とともにマキの周りを覆っていた血がなくなっていた。そして、マキの後ろに大きな鎌を持った黒衣の死神がいた。マキはその場で力なく膝をつき、意識を失った。


「あれが、死神・・・・」


 ゼロは初めて死の恐怖を感じた。耳を劈くような声が聞こえてくる。


「我は死神。汝に死を与える者なり」


「逃ゲマショウ。トテモ敵ウ相手デハアリマセン」


「逃げることは叶わない。我が在るということはつまり、汝は死ぬということ」


 死神は徐々に近づいてきている。しかし、ゼロは動けない。震えた手を握り締め、死神に近づく。


「黙れ!俺が死ぬかよ!」


 ゼロは渾身の一撃だった。それは死神に当たることは無かった。黒衣の中は空っぽだった。すり抜けたゼロは再度殴りにかかる。だが、そのゼロを死神の大鎌は貫いた。


「え?」


 鎌はゼロの体に大きく突き刺さり、傷口からゆっくりと血がこぼれてくる。死神は大鎌と共にゼロを持ち上げる。力の抜けたゼロはただ、ぶら下がっているだけだった。意識は薄く、呻き声を上げているだけだった。


「これで本当に最期だな。英雄よ」


 体の中にいたアイギスでさえ防げなかった。ゼロの死を確認した死神は大鎌を振り、ゼロを投げ捨てる。



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