この世界の始まりとそれを謳う道化師と
暗闇に立つ一人の道化師。その手にある数奇なる玉。それを軽快に上にあげながら、一人、道化師は踊りだした。
楽しそうに、陽気に、何に笑っているのか分からない。
しかし、道化師は笑う。
そして、唐突にも、その道化師は喋り出したのだ。
ある歴史の話をしよう。果てを誰も見たことのない世界、アース。その世界には四人の神が創り出した一つの種族が存在した。ヴァン神族と呼ばれる種族であった。
四人の神は、そのヴァン神族を神と崇めるため、さらに種族を創り出した。
ファンタジア・アルアカディア・ハビリスである。
ヴァンは天を、ファンタジアは海、アルカディアは大地、ハビリスは森をそれぞれ支配することを決めた。
神はこの三つの種族にあるモノを授けた。ファンタジアには神秘なる力の源の「ウォルナ」を与え、独自の研究により、魔法を生み出した。アルカディアには神の持つ技術「アーティファクト」で今日までの機械文明の礎を創り出した。そしてハビリスには自由の「ガデス」によりアースの発展と繁栄を導いた。彼らは共にアースのため、共存の道を歩んでいた。
ヴァン神族は他の種族を嫌った。全種族平等ではなく、自分たちこそが最高の種族である。その思いを実現させるために他の種族へとある戦争を持ち掛けた。全種族が自分たちの力で創り上げてきた象徴とも呼べるモノの覇権を争うというものだった。ヴァン神族には「フレア」と呼ばれる太陽。ファンタジアには知識の源の「ミーミルの泉」、アルカディアの大地豊穣の「ガイア」、ハビリスにおける世界樹と言われる「ユグドラシル」がある。これを賭けた戦いであった。
それが「第一次ジェノサイド」である。それはヴァン神族以外の全ての種族が協力し戦ったため、ヴァン神族は滅亡し、終止符を打たれた。
しかし、ある問題が起こった。ヴァン神族の象徴である「フレア」を支配するものが無くなってしまったため、「フレア」が暴走を始めたのだ。その「フレア」をファンタジアのある英雄の命と引き換えにしてファンタジアの支配下に置くことに成功した。しかし、「フレア」と「ミーミルの泉」を支配下に置いたファンタジアは残りの二つまでも支配下に置こうとアルカディア・ハビリス両種族にも戦争を仕掛けた。これが「第二次ジェノサイド」である。その戦争でもアルアカディアとハビリスの同盟軍は「フレア」を再び、ファンタジアの支配下から解放することにも成功した。しかし、いつ「フレア」が暴走するとも解らない。そのためにもファンタジアとアルカディアは戦争を繰り広げ始めた。ハビリスは戦争に参加の意向を示さなかった。
これは、ある二人の物語。
世界の果てを見届ける物語。