志願者募集
「ええ、私は、いわゆる亡命神族です」
「純血でおられましたか!ということは中央山脈から」
「生まれはそうだと聞いていますが、幼い頃にダーガの侵攻があり、記憶にはありません。その後はフィフアへ移りましたがそこからも亡命を」
「中央で何度か混血の方をみかけたことはありますが、純血の方は多くが国賓級ですから……かのご活躍も納得」
トン、トンとノックの後に応接室に入ってきた、土と何かで暗く汚れた作業用着を着る団員はアンリら三人に人手が足りない旨を伝えた。
「では、戦いの事後処理がありますので失礼いたします」
四人は役人と団長に一礼すると応接室を退出し、見送った役人は改まって団長に向き直り、少し考えこんだあと口を開いた。
「一つご提案があるのですが……」
街道沿いの戦いより二日後、戦場の事後処理を終えたデリー騎士団はそれぞれの駐屯地の練兵広場に集められ、書状を脇にかかえるオコナー直下の団員を前に整列していた。直属の団員たちは日が天頂に達するのを告げる鐘を聞いた後、書状を広げた。
「デリー騎士団の勇気あるものたちへ告ぐ。先日の街道沿いでの戦闘での奮戦ご苦労であった。我々が救出したのはキャメロットからの使者である。彼らによれば、中央は反攻軍を計画している」
各地の駐屯地から歓声が上がる。喜びと期待の混じった叫びがデリーの街を包んだ。
「諸君らに問いたいのは、この反攻軍の旗の下に参じ、この山々に囲われた地を出て、フィフアの大平原を目指し出征する志願者を集う、とうことである」
収まりかけていた歓声は一瞬の静寂の後、鬨の声に似た叫びとなった。肩を組み喜びを分かち合うものもいれば、遠く来る戦いに意気込むものいる。
「苦節十年、ついに中央は反撃を決断なさった!」
「故郷へ戻れるぞ!」
ここ第一駐屯地も喜び勇む騎士たちにあふれていた。
「ついに反攻かー。俺はフィフアに戻りてえし志願しようかな」
「エイモン、私も行くよ。フィフアの生まれではないが、ダーガの軍は憎い。それにキャメロットには昔馴染みもある。寄ることがあれば顔を合わせることもできるかな。アンリ、君はどうする?」
「俺は――」