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翠眼の少女

 キャメロットの城壁外、開けた広野に色とりどりの軍旗を掲げる一万の戦士たちが隊列を組む。彼らの前にはダーガに故国を追われた王族やキャメロットの市長、そして反攻軍の総司令官であるルビレ将軍が並ぶ。出陣に先立つこと四日、初めて反攻軍が一堂に会する壮大な閲兵(えっぺい)式が始まった。


 ザッザッザッ、軍靴が芝を踏む。出身地毎に分かれた部隊がそれぞれ、ルビレと参列者の前を行進し、剣を捧げる。


「ったく、キャメロットでいつまで待たせたんだ!ひと月近く無為にすごしたぜ」


「まあまあエイモン、もうすぐ出征なんだしさ。反撃には一人でも戦力がほしいんだ。つい昨日到着した部隊もあるんだよ」


 コークの街のきらびやかな羽飾りの鎧を着た戦士たちが行進を終え、デリー騎士団にお鉢が回ってくる。


 ダニエルを先頭に三百騎の馬上の戦士は疾駆し参列者の前につくと、常歩(なみあし)に切り替えサーベルを高く掲げて忠誠を示す。堂々たる姿を見せるデリー騎士団の中、馬上で揺れる黄金の髪に参列者の席からエメラルドに輝く視線がそそがれる。アンリの碧眼と参列者の一人、豪奢なドレスを着た少女の翠眼がつながる。瞳の色に似た翡翠石のような髪の少女が、わずかに口を開き、何かを言うが、アンリには届かない。名も知らぬ少女はすぐに他の参列者の影に隠れ、アンリの中には、何か感じたことのない感情が残った。

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