奇跡は2度とやってこない。2度目は運命だ。
何をしようが死なない限り明日は来る。毎日俺は下を向く。楽だからだ。全てが平均以下の俺でも何かできる事があると思う事はある。それは何でもできる奴の戯言だった。何をしようと何もできなかった。小さい事から試してみた。それでも何も生まれなかった。ゴミ拾い、雑草抜き、ボランティア活動、おばあさんを助けたり色々してみた。感謝だけ貰えた。形はもらえなかった。俺は感謝はこの世で1番楽な給料だと思う。感謝しとけば、勝手に相手がいい気持ちになってくれて形はもらおうとしない。俺は今形以外は、欲しくない。次に努力をした。努力をしたら報われる。そんな言葉を思い出しテスト一ヶ月前から必死に勉強してみた。結果は前回より2位さがっていた。これも天才による言葉だった。天才が努力をして報われる。馬鹿がいくら努力しても報われない。必死に亀が頑張ってもチーターには勝てないように、努力しても意味がなかった。何しても意味がないのはわかったから、適当に生きて死のう。母さんと父さんも俺のせいで死んだんだし。そう決断し、高校に入学した。
朝6時にアラームが鳴り目を覚ます。体を伸ばしベッドから起き上がった。まずカーテンを開けずに電気をつけて洗面所に行く。カーテンを開けると外から見られるし日光が入ってきて本が色落ちするからあまりカーテンは開けない。ほとんど閉めている。洗面時にいくと顔を洗いコンタクトをつける。コンタクトをつけてキッチンに向かう。ベーコンを焼きながら別のフライパンで卵焼きを作る。目玉焼きは苦手だからベーコンと卵焼き単体で食べる。卵焼きを五等分に切り、皿にのせベーコンは昨日の夜の残り物の米に乗せ持っていく。一人暮らしなので無言で食べ歯磨きをして制服に着替える。髪などは整えず水に濡らして寝癖をなくし学校に向かう。
学校につくが挨拶もせずに自分の席に座り本を読む。これが俺の朝のルーティーンだ。
「ねぇねぇ、海馬君」
いや海斗だから
デュエルしたろか
と、心の中でツッコミながら無視をしていた。ルーティーンはこいつに話しかけられるまでだった。絶対毎朝話しかけてくる。
彼女は東堂京子。顔がよく性格も馴染みやすくもてているらしい。身長はかなり低く、男からモテるらしく告白するがみんな振られ明日からも何事もなかったかのように話す。優しいなこいつ。
「むしすな!!!いつもいつも君は、、、もしや死んでる?」
この言葉も無視していると朝のチャイムが鳴りみんな席に座った。そしてホームルームが始まる。つまらん学校の始まりだ。授業は全く聞かず聞いているふりをしている。授業を聞いてもどうせ頭に入らないしノートだけ写す。そしたらいつのまにか授業は終わり次の授業になっている。そしていつのまにか学校は終わってる。
放課後
「一緒かえろ!!!」
東堂が急に話しかけてきた。冗談で言って俺を馬鹿にしているのは誰でも理解できた。 だから無視した。
「家の方向同じじゃん」
いや何で知ってるの
「用事があるから」
嘘をつき帰る準備をする。
「ぷーーーーー!!!じゃあばいびーーーの!!」
そう言いながら手を振る彼女は友達と教室から出て行った。
俺も帰ろうと教室からでた。
帰る時は寄り道をするのが日課だ。コンビニでの立ち読み。知らない道を通ったり。野良猫と戯れたりもする。そして、100%スーパーにはいく。一人暮らしだからだ。あえてかなり遠いスーパーに行き飯の材料を買う。帰る時には7時になっている時もある。火が沈む少し前で、日本はオレンジ色になっていた。夕日の映る湖を通り自分の家が見えてきた。ふと目を疑う。何故か知らない人が俺の家の玄関で座っていた。近づくと誰かがわかった。東堂か。彼女の髪はすごくきれいで長く、暗くなった外でもすごく目立っていた。
「何してるの」
彼女に聞いてみる。彼女は少しびっくりしていたがすぐに顔を上げ事情を説明した。
「お母さんが今日帰ってこれないんだけど、鍵をどこかになくしちゃって」
「だからお願い!!!今日泊めてくれカイジくん」
だから海斗だって。
顎長くないから。
「まぁいいけど」
断る理由もなくOKした。
「お母さんとかに聞かなくてよかったの?」
「俺一人暮らし」
「そうなんだ、、、じゃあお邪魔しまーす!」
少し顔を曇らせたがすぐに笑顔になり玄関に走った。
鍵がかかってるのに玄関に突進する彼女の後ろで鍵をポケットから取り出す。両腕にスーパーの荷物をぶらさげながら鍵を開けるのはめんどくさい。少しぐらい手伝えよ。と思いながら彼女は見てるだけで手伝いはしない。開けると彼女はカバンをおろし
「電気つけるところどこ?」
と聞いてきた。
「お前の右のところにある」
見つけて電気をつける彼女。
「意外と片付いてるのね」
暇だから片付けする事が日課になりかけてるのは秘密にしておく。
「適当にくつろいどいて」
そう言い残し風呂場に向かい、風呂を沸かそうと思った。ブラシを持ち洗剤をかけ浴槽を洗う。綺麗になったら泡を流してお湯を入れる。俺は湯船派だから毎日風呂掃除をする。暇つぶしには最適だからな。
彼女が何しているのか気になり、見に行くと料理を作ろうとしていた。ひどいがこんな人がまともな料理作るとは思えない。
「俺が作るからゆっくりしといて」
そう言っても
「ダメ。私が泊めてもらう立場なんだから少しぐらい手伝いさせて?」
俺は頷いてしまった。あんな顔で見られたらこの世の男子全員思考が停止するに決まってる。
「わかったら座って座って」
マジかよ。ダークマターができる予感しかしない。
「はい召し上がれ」
あれ?意外とうまそう。カレーだからまずくなる要素がないからか。
「私夏野菜カレーやグリーンピースとか入ってるカレーが苦手なんだよねー。カレーはじゃがいも、肉、にんじん、玉ねぎで十分!!!」
俺もその意見に同意だが無視した。
「いただきます」
そういうと、彼女は意外そうに見てきた。
「意外と礼儀はしっかりしてる、、、」
「当たり前だろ」
彼女は笑顔に戻り手を合わせた。
「そうだよね!私もいただきますー!」
彼女は大きな一口でカレーを口に入れた瞬間手を頬につけていった。
「おいち〜〜〜カイカイ君は?美味しい?」
聞かれたらちゃんと反応しないとと思い。
「美味しい、、あと海斗だから」
彼女は嬉しそうな顔をしていた。
「本当かな〜?私これからも間違えちゃうからツッコんでね?」
「めんどい」
「ぶーぶー」
なんだよぶーぶーって
そこからは彼女がずっと学校の話や趣味の話、ゲームの話をきかされていた。俺はそれに相槌を打つだけだった。彼女はいい話し相手を見つけたと思ったのだろう。食べ終わっても1時間ぐらい話していた。そろそろ逃げようと
「風呂緩くなるから」
と俺がいっても、
「風呂は緩くなってもおいだきできるじゃん」
「会話は今一瞬しかないんだよワトソンくん」
そうだ。形にならない言葉は一瞬だけ咲きすぐに枯れる花のようだ。こんな花が欲しいと思うか?みんなは
俺はいらないと思う。だから人とあまり話さない。でも彼女との花は欲しいと思ってしまう。一瞬で咲き枯れる花は綺麗な花の時もあれば、トゲのある花の時もある。だが彼女の花は、全てが嫌な気持ちになれない。彼女の咲かす花にももちろんトゲがある。でも偽りのない花をしている。堂々と咲き誇る綺麗な花だった。
枯れても枯れても脳に残り続ける花を感じると、彼女との会話は悪くないと思ってしまう。いや、、、好きだ。彼女との会話が好きなんだ。彼女ともっと話したいと思ってしまう。それを俺が言わなくとも彼女はずっと笑顔で会話してくれている。