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異世界魔王は現代勇者  作者: 佐村井コージ
グランベル編
5/11

第4話 反撃の狼煙

俺は体を起こしグランザムを迎え撃つ為構える。

先程とは打って変わって何故か体は軽くなっているし、血も止まっている。

だが、失った腕が生えてきたわけでも無ければ、流した血が元に戻ったわけでもない。

さて、どうしようかと考える。

俺は数々の漫画やゲームにより得た知識を武器に作戦を立てる。

ボーッとしていた頭も今はすっきりしている。

俺は周りを見渡す。

倒壊したスーパーや根元から折れた電信柱、車が民家に突っ込んでいたりしている。

穴の付近は特に被害が大きかったようだ。

今まで必死で気がつかなかったが、そこら中に死体が転がっていた。

穴から現れたであろうグランザムの仲間にやられたのだろう。

無惨にも両手両脚を斬り落とされている者や、腹を切り開かれ内臓が飛び出ている者、両目を抉られ磔にされている者など生きているものが居ないと分かるほどの地獄のような惨状がそこには広がっていた。

気分が悪くなるのを通り越し激しい怒りを抱く。

敵討ちではないが、俺はグランザムにこの怒りをぶつけることにした。

時間稼ぎなどではなく本気で殺す事にする。

どうやら奴は、俺をすぐに殺すことはしないみたいだ。

ゆっくりと歩いて近づいてくる。

おかげで殺す算段がついたというものだ。

「人間の分際でよく粘るではないか。実に嬲りがいがあるというものだ。どれもっと私を楽しませて見せよ」

と言うがもちろん言葉など分からないが、意味はなんとなくわかった。

バカにされたのだろう、奴の歪んだ笑顔を見れば分かる。

どうせなのでこちらも罵声の一つでも浴びせておこう。

どうせ意味など理解できないだろうそう思い、

「お前さっきからなんて言ってるのか一つも分からねえんだよ。聞いて欲しけりゃ日本語話せ。独り言ばっか言ってんなよ。ドラキュラはこっちじゃ嫌われ者なんだよ。しかも人の血を吸わなきゃ生きてけないなんて蚊と一緒じゃねえか。お前の存在なんて虫と変わらねんだよ。さっさと田舎に帰りやがれ」

やはり言葉理解できなかったようだが、気持ちは伝わったようだ。

かなり怒ってるのが伝わってくる。

挑発するのはどうやら成功したようだ。

さて俺の作戦だが、やる事はただ一つ逃げるだけ。

俺は言うだけ言って全力で逃げる。

と、予想通り俺を追ってくるグランザム。

俺は距離が詰められないように石を投げ牽制する。

奴にはただ俺がなりふり構わず逃げ回っているように写っているはず。

俺をいたぶり殺すのが狙いならば、全力で追ってくるような事はしない。

追い詰めるように余裕の態度で追ってくる。

そして俺は追い詰められたように倒壊したスーパーへと逃げ込む。

スーパーの中は停電しており真っ暗だった。

店内には買い物中だったであろう人や店員の死体でいっぱいであった。

これから行おうとしていることを考えると心が痛むが、心を鬼にして一言

「ごめんなさい……」

そう呟き真っ暗な店内へと進む。


勇気を追い、スーパーへと辿り着いたグランザムは

「下等な連中が品のない殺し方をしおって」

店内に転がる死体を一瞥した後、一言呟いた。

そして迷う事なく奥へと進む。

店内は暗いがグランザムにとっては外と大して変わらない。

血を踏んだのか靴の跡がくっきりと残っている、

「馬鹿なやつだ」

勇気に対し少し警戒したのが馬鹿らしく思えた。

こちらを不快にさせることを言い放ったかと思えば、無様に逃げ惑うことしかできずにこのような密室に逃げ込むとは愚かな事だ。

所詮は頭の悪い人間である。

足跡を辿り歩いていくと店のちょうど真ん中で足跡は終わっていた。

すると後ろから何かが飛んできた。

それを剣で切り裂く。その正体は小麦粉だった。

小癪な真似をする。

飛んできた方向へと斬撃を飛ばす。

無論そこに勇気がいない事はグランザム自身分かっていた。

これは警告の意味である。

どこにいようがここから殺せるという。

しかし、それでも小麦粉を投げるのを止めようとしない。

「無意味だという事に気づかんとは」

やはり勇気を過大評価していたようだ。

グランザムは飛んできた小麦粉を全て剣で切り裂いた。

グランザムの周りは小麦粉が舞い視界が悪くなっている。

「なるほど、目くらましのつもりか。所詮は猿知恵だな」

グランザムは動く事なくその場で次の勇気の行動を見て見る事にした。

ただこの中での鬼ごっこをするつもりならば即座に殺す事にしようなどと考えながら。

だが、グランザムは気付かない。

既に勇気の作戦にはまってしまっている事に。


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