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異世界魔王は現代勇者  作者: 佐村井コージ
グランベル編
4/11

第3話 覚悟

激しい痛みとともに地面に転がる左腕。

切断面からは血が止まる事なく溢れ出る。

腕が痛い。

これまでの人生の中で感じたことも無い激痛が全身を駆け巡る。

傷口を右手で抑えるが止まるはずも無い。

「私を殴ったのはこの腕だな」

何か呟いたかと思えば、地面に落ちていた俺の腕が突然発火した。

今日は信じられないことばかり起こる。

思えば綾瀬と今日会えたことから夢の様なことだったのだから。

今日死んでしまうのか?嫌だ、まだ死にたくない。

せっかく綾瀬と仲良くなるきっかけをつかめたかもしれないのに。

このまま死ぬなんてできない。

だが、そんな気持ちとは裏腹に現実は残酷だ。

再びグランザムは剣を振り上げる。

「次は、右腕だ」

くそっ、もう無理だと諦めかけていた。

が、剣が振り下ろされることはなかった。

俺の前に綾瀬が両手を広げ立ち塞がっていたのだ。

剣は彼女の顔の前で止まっている。俺は、

「綾瀬何やってんだよ!!早く逃げろ!!!ぐっ」

声を出すだけで体が悲鳴をあげる。

「やめて、この人を傷つけないで」

震えながらグランザムに向かってそう言い放った。

「邪魔をするな、小娘。貴様の血は後で一滴残らず吸い尽くしてやる。そこで大人しく震えていろ!」

綾瀬は頬を打たれ地面に倒れこむ。

「綾瀬!!てめぇ」

と、グランザムの方を睨みつけるが、胸倉を掴まれ思いっきり投げ飛ばされた。

風を切る音が聞こえる。

実際には数秒ほどだったのかもしれないが、体感にはかなり長く感じた。

俺が投げ飛ばされた経路には道しるべかの如く、血の道が出来ている。

そこはもう穴のすぐそばである。

血を流しすぎてもはや流れる血もないのか。

噛みつかれた右腕からも切断された左腕からも血が出ていない。

それどころか全身のどこからも痛みを感じない。

感覚が麻痺し始めたのかもしれない。

とうとう死ぬのかな、と考えるが逆だ。

まだ死んでいないと考えるべきだ。

だが殺されるのも時間の問題だ、せめて綾瀬が逃げきれるだけの時間を稼ごう。

俺は覚悟を決める。


グランザムは不思議に思う。

何故この人間はまだ生きているのか?

この人間は危険かもしれない、そんな事を考えるがもはやこの人間は虫の息だ。

いつでも殺せると判断する。

このままもう少し甚振って命乞いをしたところで首をはね飛ばそうと考えた。

この時グランザムは気付かなかった。

勇気の血が止まっていることに……

この慢心とも傲慢とも言えるこの行為が運命を決めることになる。

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