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異世界魔王は現代勇者  作者: 佐村井コージ
グランベル編
1/11

序章 夏の終わり

暑い……

自室の机に向かい俺、一ノ瀬勇気は、溜まりに溜まった夏休みの宿題を必死になって終わらせていた。

日頃からやってこなかったツケなのだろう。

こんなことなら少しずつやっていれば……そんなことを思わずにはいられない。

しかし、毎年のことなのですっかり諦めている。

どれだけ後悔しても人の性格はそう簡単には変えられない。

だが、エアコンもないこんな部屋でずっと机に向かっていると暑さで頭がおかしくなりそうである。

スマホの温度計は38度を指している。外では蝉の大合唱だ。

滲み出る汗がその暑さを物語る。

机に向かいかれこれ4時間以上たっている熱中症になりそうだ。

しかし、宿題はまだ半分はあるなのに夏休みはあと二日しか無い。

友達からの遊びの誘いも、家族との旅行も、断って机に向かっている訳だがそろそろ限界である。

ふと窓の外を見る飛行機雲をはきながら空を飛ぶ飛行機を見て、

「はあ…平和だなぁ」

そんなことを呟いて2分ほどぼーっとしているとスマホの通知音にビクッとなりスマホを睨みつける。

家族からのメールだった。

俺以外の父、母、姉、妹の4人で海外に旅行に行っている。

メールの内容は4人の楽しそうな写真にそれから。

「こっちはめちゃくちゃ楽しんでるよ!! お兄ちゃんは1人で寂しくて泣いてない? 宿題頑張ってね

お土産たくさん買っていくから」

と書かれていた。

4人の楽しそうな笑顔を見ると自然と俺も笑みがこぼれる。

気を取り直して次に取りかかろうとするが、宿題が足りない。

どうやら学校に忘れてきたようだ。

「最悪だ」

思わず呟いてしまう。

取りに行こうか一瞬迷うが取りに行くことにする。

学校でも1番恐いと評判の先生から宿題であるためこれだけは終わらせておきたい。

はあーとため息をつき一足早く制服の袖に腕を通す。

さっさと取ってきて早く終わらせよう。

そう考えて学校へと向かう。

うちから学校までは徒歩と電車で凡そ20分である。

学校に着くと体育館の方から部活に励む音が聞こえてくる。

バレー部にはこの学校で1番可愛いとも言われる綾瀬彩音がいる。

彼女に想いを寄せる男子生徒はかなり多い。

何を隠そう俺もその1人なのだ。

その容姿は、髪は艶のある黒髪で、吸い込まれそうな程大きな瞳はキラキラと輝いて見える。

成長期らしいその膨らみかけの胸元や、モデルのような腰つき、可愛らしいお尻には見るだけでドキドキしてしまう。

人気があるのも頷ける。

俺は彼女を遠めに見ることしかできない。

今日は見れてよかった。

ついつい見惚れてしまっていると、彼女が不意にこちらを見た。

やばいと思い慌てて目をそらす、どうやら見過ぎてしまったようだ。

俺は小走りで教室へと向かう。

引き出しからくしゃくしゃになったプリントを取り出し学校を後にする。

早く帰って宿題を終わらそう、駅まで歩く途中そういえば今日は漫画の新刊の発売日だった。

ついでに買って帰ろうと本屋に立ち寄る。

やばっ、気がつくと時間がだいぶ経っていたようだ。

漫画を買って帰るつもりだったが、2時間くらい立ち読みをしていたらしい。

漫画を購入して再び駅へと向かう。

駅に着き改札を抜けホームで電車を待っていると、

「あれ? 一ノ瀬くん? 制服でこんなとこにいるの? 部活をしてなかったよね?」

まさかと思い、振り向くとそこにはあの綾瀬彩音が立っていた。

「あっ、えっ、う、うん。 いやぁ宿題を学校に忘れてたんだ。」

目を合わせることはおろか、驚き過ぎてうまく声が出せなかった。

同じ電車だったとは、しかも会話までできるとは思わなかった。

小学校から一緒だったけどほとんど会話したことなかった。

「一ノ瀬くんって意外とおっちょこちょいだったんだね。」

そう言ってクスッと笑っている。

可愛い…直感的にそう思ってしまった。

「ま、まーね。綾瀬さんは部活だったの?」

そう尋ねると、

「うん、って知ってたでしょ。こっち見てたの知ってるんだから。」

恥ずかしい。慌てて手で口を抑えながら耳まで真っ赤になっていくのが自分でも分かる。

何か話さなければと考えていると、

「2番線に電車が到着します。黄色い線の内側までーーー」

ホームに放送が流れる。ドキッとしたが、

「いやぁ、どの部活がしてるのか気になっただけだよ。」

彼女はこちらの顔を覗き込みながら、

「本当に?? 好きな女の子でも見てたんじゃないの?」

正解なのだが、ここは誤魔化そう。

「ち、ちげぇよ。そんなんじゃちょっと見てただけ。」

慌ててそう応える。そんな事を話しているとホームに電車が入ってくる。

「一ノ瀬くんは、どこまで乗るの。」

と聞かれ、

「朝比奈駅だよ。」

「 私と同じだったんだね。知らなかったよ。」

綾瀬さんは、知らなかったようだけど俺は知っていた。

たまに同じ電車に乗れることもあったため知っていた。

座席はいっぱいだったので反対側の扉前に並んで立った。

学校一のアイドルと言ってもいいあの綾瀬と並んで電車に乗っているとは夏の1番の思い出になった。

「宿題は終わりそう?」

「あーうん、いやどうかな終わんないかもしれないけどその時は諦めるさ。綾瀬は、終わってるの?」

「もちろん終わってるよ。一ノ瀬くんは、溜め込んじゃうタイプなんだね。」

そりゃそうかと納得する。可愛くて勉強もできると噂される程の優等生だからな。

しかし、部活をこなし宿題まで終わらせてしまうとは、1日中ゲームしたり漫画を読んだり友達と遊んだりとダラダラしたん夏休みを過ごしてきた俺とは正反対だなと素直に感心してしまう。

「そうだ、私でよければ手伝ってあげようか?」

なんと綾瀬が手伝ってくれると言ってくれた。

「えっ、本当!?是非お願いします。」

当然即答である。綾瀬と2人で勉強できるなんて今日死ぬのかもしれない。

「ふふ、お願いされました。上月図書館で待ち合わせでいいかな?」

「ああ、それでいいよ。これで宿題が終わりそうだ。助かるよ、ありがとう。」

浮かれる心を隠すように外に目を向ける。

すると街の真ん中に穴が空いているように見えた。

地盤沈下でも起きたのか。

「なあ、綾瀬あれなんか穴が……」

そう言いかけた時ズドンという音とともに電車の中が激しく揺れた。


退屈な夏ももう終わる……


はじめまして、佐村井コージと言います

これからこの作品の連載をしていきたいと思います

コメントや作品に対しての質問でもなんでもいいので頂けたら嬉しいです

これからよろしくお願いします

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