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召喚

入学式から早くも三ヶ月がたった。

俺は今日も独りで過ごしていた。

自己紹介での失敗を引きずり、上手く喋れないでいた。

独りで昼飯を食べていると姫宮さんが「一緒にいい?」なんて誘ってくれたりもしたけれど、俺は「………ごめん」とだけ言って、教室をでていったりした。

姫宮さんは何故かその後も俺に話しかけてくれたりしたけれどその度に俺はそっけない態度を取り続け、彼女を避けるようになった。

きっと優しい人なんだろう、昔からそうだ中2の頃、明らかに変な言動をしていた俺にたいしても普通に接してくれていたし……まぁだからこそ、勘違いしてしまったわけだけれども。


申し訳ないなと思う。心配して話しかけてくれているだろうに、こんな態度で。

だが、俺は彼女を見るたびに黒歴史を思い出して嫌な汗がでて、動悸がしてしまうんだ。


クラスでも人気のある姫宮さんに話しかけて貰っているにも関わらずそんな態度の俺にヘイトが集まるのもおかしな事ではなかった。

高校3年間、暗い思いでしかないのだろうな、と入学三ヶ月目で諦めたのだった。


そんなある日の放課後、日直の仕事のため教室に残っていると、突然魔方陣が顕れた。


窓枠に腰をかけて駄弁っていたリア充たちや教室の隅で話しているオタクたち、姫宮さんや彼女の友達の西條さん(黒髪ロングの美人さん)を必死にカラオケに誘ってるヤンキーたちなど、20人程がまだ教室には残っていた。

そんな俺たち全員、光に包まれた。

「な、なんだこれは!」

「ひ、光ってる」

「……魔方陣?」


目も開けられないほどの眩い光のなかフワリと体が浮いて、落下していくような浮遊感に包まれたと思ったらストンと地に足が着いた感覚がした。


ゆっくりと目を開けるとそこはお城の中であった。

赤く光る魔方陣の中から辺りを見渡す、大理石の床に、白い壁、正面には大きな玉座、玉座へとつづく赤い絨毯に、その脇にずらりと並ぶ貴族だろうか?高そうな服をきた人達と、白銀の甲冑に身を包んだ騎士たち。


魔方陣の赤い光がゆっくりと消えていって……

「やりました、成功ですぞ、王よ!」

ざわざわとする貴族たち。


それにつられるように、呆然としていた俺たちも今の出来事を実感しざわつく。

「なんなんだ、これは!急に光に包まれて、」

「ここどこよ!」

「やだぁ」


「静まれ」「静かに」

玉座から立ち上がった一人の男と俺の隣にいたイケメンがほぼ同時に言葉を発した。

おそらくあの人が国王、そして俺の隣のコイツはクラスのトップカーストに君臨する剱崎光輝だ。


王の言葉に貴族たちが、剱崎の言葉にクラスメイト達が冷静になる。


「アイリスよ、勇者様がたに説明を」

王が厳かに言うと、王の隣に控えていた、綺麗な女の子が俺たちの前に歩いてきて、祈るように手を組んで

「召喚に応じて下さりありがとうございます、勇者様方、どうか私たちをお救いくださいませ!」



「召喚?」

「勇者ってなんだ?」

再びざわつくクラスメイトたちを手で制して、剱崎は一歩前へでた。


「えーと、アイリス様?申し訳ありませんが勇者とはなんのことでしょうか?召喚とは一体」

「も、申し訳ありません!私ったら気がせいでしまって、ちゃんと説明をしていませんでした」

そう言って彼女は説明をしてくれた。

それによると、やはりあの玉座に座っている人は国王で、アイリスは王女様らしい。

この国はアルティミア王国、大陸の西の大国らしい。

なんでもこの世界には魔物がいて人を襲うらしい、そして魔物が人並みの知能を持ったものを魔族と呼び、人類と敵対している。

そして魔族を束ねるのが魔王。

魔王は強大でこのセカイの人々だけでは倒せないらしい。


300年前、魔王は異世界の勇者によって倒されたのだが、3年後に復活すると聖神教会に神託がくだったらしい。

復活する魔王に対抗するため各大国は勇者召喚を行ったのだ。


「事情は分かりました、このセカイの人々が困ってるんだ、そんなの見過ごせない、そして僕たちには救えるだけの力があるらしい、皆!魔王を倒してセカイを救おう!」

剱崎が俺たちに呼び掛けた。

「おう!やってやろうぜ!」

「ぐふふ、異世界転移キター!」

など皆概ね賛成のようだ。この非日常の入り口にたったことにあてられたみたいだ。


「ありがとうございます!!それでは早速皆様のステータスを見せて頂いてもよろしいでしょうか?」

「ステータスとはなんですか?」

「あっ、いけません私ったら、申し訳ありません、勇者様のセカイにはステータスがないのでしたね、ステータスとはその人のもつ力のことです、説明するより見てもらった方が早いですね、此方の石板に手のひらを当ててステータスオープンと唱えてください」

「わ、わかりました」

剱崎は石板に手を触れ、「ステータスオープン」と唱えた。


すると石板から空中に文字が投影されて、ステータスが表示された。



ーーーーーーーーーーーーーーー

剱崎光輝 レベル1

職業【勇者】

力 S

魔力A+

速さ S

魔法抵抗 S

物理耐性 A


スキル【言語理解】【空間収納レベル1】【聖剣召喚レベル1】【剣術レベル1】

【聖魔法レベル1】【身体強化レベル1】




ーーーーーーーーーーーーーーー


「すごい!これが勇者様のステータス!」

「ステータスオールA超えで、Sも3つも!」

「聖剣召喚まで!」


「え?え?どうしたのですか?僕、何かまずいことでも?」

「い、いえとんでもありません!これはスゴいことです!まずはそうですね、聖剣召喚を使ってみてください」

「そ、そんな事急に言われても使い方なんてわかりませんよ」

「いえ、スキルを持っているのですから使えるはずです、聖剣召喚を使うと思い浮かべてください、そうすると自然と使い方がわかるはずです」

「わかりました……我がもとへ来たれ!闇を切り裂け!【聖剣召喚】!」

剱崎が剣を構えるような動作をして呪文?を唱えると彼の手のなかに光が集まっていき、一振りの剣が顕現した。

「なっ!?ホントに……これを僕が」

「な、なんだあれ!すげぇ」

「う、うそ!」


「これがスキルです」

「お姫様!私たちにもできるんですか?」

「聖剣召喚はコーキのスキルです、皆様には皆様のスキルがあるはずですよ、ステータスを確認してみましょう」

「おし!じゃあ次は俺の番だ!」

カースト上位グループで剱崎の親友、白峰健翔(しらみねけんと)が手をあげて前に出た。

「はい、此方にどうぞ」

「おう!」


ーーーーーーーーーーーーーーー


白峰健翔 レベル1

職業【拳聖】

力 S

魔力 C+

速さ A

魔法抵抗 B+

物理耐性 A


スキル【言語理解】【空間収納レベル1】【拳術レベル1】【体術レベル1】【身体強化レベル1】【炎魔法レベル1】


ーーーーーーーーーーーーーーー


「こ、これは!」

「格闘系最上位職の拳聖!」

「すごすぎる!」


「へへ、どんなもんよっ」

「流石だね、健翔」

「ま、勇者様には敵わないがな」

「改めて宜しく頼むよ」

「おうよ!」

なんて拳をコツンと合わせる二人。


「つ、次、私お願いします!」

「お、俺も!」

「僕も!」

触発されたように我先へと石板へと向かうクラスメイトたち。

「皆様、順番にお願いしますね」





読んで下さりありがとうございます!

「面白い!」「なんかもにょもにょする」「右手が疼く」と思った方はブクマ、評価、感想、お願い致します。

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