ラルズの大墳墓③
「はぁはぁ…………」
超至近距離からの邪王龍咆哮、自分自身も相当なダメージを受ける覚悟で放ったのだが不思議と怪我を負ってはいなかった。
「……そうか、護られたのか、ありがとうございます、アイリス様」
腰に差していた短剣は刀身が半ばから折れてしまっていた。
いつかちゃんとお礼をしにいかなくてはと思いながら先ほどまで死闘を繰り広げていた相手のもとへと歩いていった。
先程までとは違い、対峙していても斬り伏せられるイメージはわかなかった。勝負がついたのだった。
その伽藍堂の瞳から光が消える、最期の時、彼は右手を伸ばして……
……ああ、やっと皆のもとへ逝ける、ありがとう。
そんな声が聴こえた気がした。
俺は彼に手を合わせて祈る。彼の旅路が仲間のもとへと続いていますようにと。
骨が融けるように消えていき、装備だけが残った。
大剣と鎧、それにグローブだ。
剣の持ち手が滑らないように着けていたのだろう。
五本の指のところには穴が開いている。
指貫グローブだ。
「……使わせてもらいます」
指貫グローブを装着する。
……ドクンッ魂が震えた。
大剣と鎧を皮袋にしまい立ち上がる。
最期の瞬間、彼が腕を伸ばした方へ歩いてみる。
そこには幾つかの装備品が遺されていた。
きっと彼の仲間たちのものだろう。
……こんな暗いダンジョンの中にずっといたんだな、せめてお日様のよく当たるとこに墓をと思いそれも回収する。
ただその装備品のなかに1つ漆黒のローブがあった、それだけは使わせて貰おうと思い着用する。
……ドクン、またあの感覚だ。
「ステータスオープン」
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星宮流星 レベル54
職業【闇を纏いし星屑】
力 B(S)
魔力 C(S)
速さ C+(S)
魔法抵抗 E(B+)
物理耐性 D(A+)
スキル【言語理解】
【狭間の備忘録】【†常闇の魔導書†】【星魔眼】
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指貫グローブと漆黒のローブにより厨二力が高まったことでステータスが強化されていた。
それにレベル50を突破したことで魔眼が解放された。
【星魔眼】
その効果はざっくりいって千里眼だ。
ちなみに設定では緋色だった、目の色まで変化しているのだろうか?ダンジョンからでたら鏡を見てみよう。
そんなことを考えていると、コツンコツンと何者かの足音が聞こえた。
足音の方を向くと、赤い骸骨がいた。
「……リッチーロード《ラルズ》」