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私の前世と今世





私の人生は、それなりに充実していた。



学生時代の私は、お小遣いを貯めて二次元のショタや美少女が出る漫画やゲームを買って楽しんでいた。

お金が足りない時は、ネットや自給自足で楽しんだ。


そして社会に出てからは、給料の殆どを二次元ショタと美少女に捧げていた。

一人暮らしの小さな部屋には、所狭しとフィギュアやポスターなどが飾られていた。



そんなある時、仕事の同僚でオタク友達の女の子に、乙女ゲームの話を二時間ほどされた。

例え二次元でも、ショタ以外の男に興味は無かったのだが…。


そして、二時間が過ぎた時にふと放った私の言葉で、人生が少し変わった。



「本当に好きだねぇ~。でも、私そういう青春皆無だったからな~。今も二次元ショタに忙しいしね!」

「え!?まじか!そんな人類がこの世に居たなんて!!」

「ははは、君失礼すぎー!」

「いや、本当に…。現実で好きな人が出来たりとかは?」

「うわっ…鳥肌が立つからやめて」

「まじか…」



そう、私はそういう体質だったのだ。

生身の人間が、あまり好きではない。というか、触られたくない!!


そんな私が恋愛感情を抱ける筈も無く、二次元に癒していただいていた。



「それじゃあ、仕方ない…」

「何が?」



同僚が、自分の鞄の中漁り、私を見た。



「そんな残念三十路女にはこれだぁぁぁぁ!!!!」

「何々?《月下の円舞曲~愛しの君に、薔薇の花を~》…何これ?」



目の前に突き付けてきた物を、読んだのだけど…何故?

あの話を聞いて何故、こんな露骨な乙女ゲームを…。



「これで、貴女もイケメンに目覚めなさい!そして一緒にイベントに行こう!!」

「え?これの?」

「乙女ゲームのイベント!」

「まじかよ…」



その後、押し付けられた乙女ゲームを家に帰ってしてみた。


すると…。



「何この超絶美少女!!」



私は、超絶美少女に出会った(画面越し)。

その子は、ヒロインを邪魔する悪役令嬢。《ナターシャ・ロゼライン》という公爵令嬢。

私はどんどん彼女に惹かれていったのだが…。



「え…この子、ハッピーエンドに行くと追放されちゃうの…」



ストーリーを進めていくうちに、なんとなく嫌な予感はしていたのだが、最後彼女は断罪された…。

独り国外追放。お嬢様にとったら、死刑宣告なようなものだ。


私は、それからすぐに友達にメールした。



『ナターシャショック…』



送信すると、すぐに電話がかかってきた。



「もしもし…」

「違う、そうじゃない」

「…何が…?」

「なんで、悪役令嬢推してんのよ!?」

「だって可愛いじゃん!!!」

「お前ぇぇぇぇ!趣旨が変わってんぞ!!」



そんなやり取りをした後、少しやる気が出たので買出しに出た。

そう、事件はその途中で起こった。


だらだらと暗い夜道を歩いていた。

すると、急に光に包み込まれたと思ったら、強い衝撃と共に意識が飛んだ。






+++++++





気がつけば、赤ん坊になっていた。


現世とは違う家や人の雰囲気に、首をかしげながらも生きていた。

それでも、しばらくして気づく。私の家は、伯爵家だった。いや、何時代だよ…とも思ったが、特に不自由も無かったので慣れていった。


そして六歳の時、二歳離れた激かわ天使の弟に読み聞かせをしていると、ふと違和感を感じた。

すると、突然生前にプレイした乙女ゲームの記憶がフラッシュバックしてきた。


そしてすぐに、周りに確認するなどして事実確認をした。



「…うん。やっぱりそうだわ。ここ、あのゲームの世界だ…」



自分の部屋のベッドの上で、腕を組んでうんうん唸っていた。



「まじか…でも、私みたいなキャラ居た?…いや、こんなぷりちぃーな子見てないぞ!!!ってことはモブですらない?」



そう思ったら、何故か肩の荷が下りた気がした。

そして、軽くなった事で気づいた。



「…確か、ナターシャ様と私って同い年だよね…ふあぁぁぁぁ!!最っ高じゃないかぁあっぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ!!!!!!!」



屋敷中に響くような声で叫んでしまった。まじ歓喜…。

すると当然ながら、親や使用人達が飛んできた。


扉を開けたら、ベッドの上で悶える私(六歳)。

皆の顔がぽかーんとしていた。


あの時の皆の顔は忘れない。




それから数日が経ち、私は王都の屋敷に来ていたナイスミドルなお爺様と共にいろんな場所に出掛ける様になった。

何でも、「ずっと屋敷の中に居るから、ストレスが溜まったのだ」と、お爺様が言ったらしい。

それからと言うもの、貴族としての勉強の後は殆どお爺様に連れ出された。そのせいで、私が天使のような弟と接する時間が減ってしまったのだった…。


もう二度と、親族のいる所で発狂しないと、心に誓った。







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