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乙女の神の世界 地球⑧ 襲撃

 穏健派の進攻に、不意を突かれる形となった改革派の人々。武器を取り抵抗することを忘れて逃げ惑う。

女はもちろんのこと子供相手にも容赦なく、銃弾の雨が降り注ぐ。


「くそっ、あいつら!!」


 隼人が、丸裸で飛び出そうとするのを俺はすぐに止めた。

正直、改革派のリーダーである隼人の役目は大きく、穏健派からしたら真っ先に狙いたい相手でもあるはずだ。


「離してくれっ!」

「いいから、他の人達と避難しろ。ここは、俺達で何とかするから。美里、隼人を早く連れていけ!」

「わ、わかった……けど、あなたも気をつけて」


 俺は左手に呪血銃(カースブラッド)、右手に大雪斬を構える。

クシナもグングニールを振り回して意気揚々としていた。


「ナゴ。君は白や浩と共に怪我人の救出だ。“イージス”で守りつつ後ろに退いてくれ」

「うん。グレンくんも気をつけて。クシナちゃん、グレンくんをお願い」

「了解。大丈夫、絶対守る」


 俺の合図で一斉に外へと飛び出した。


 まずは先制と言わんばかりに、一番多く集まっている場所に向かってトリガーを引く。赤い直線に放たれたレーザーは、穏健派の集団の真ん中を貫き通る。


「クシナ、あまり先行するな!」


 俺が止めるのも聞かず、クシナは鬱憤を晴らすかのように途中の障害に隠れながら、突っ込んでいく。

防御用の鉄板のような盾を前に出してくるが、クシナのグングニールなら紙切れも同然。

容易にその先端を貫き通す。


 これで大幅に陣形を崩した穏健派。敵陣ど真ん中に突っ込んだクシナを狙うが、相手の影に隠れながら上手く自動小銃の弾を躱していく。

そして躱す度に、同士討ちとなりその数をみるみる減らしていった。


「なるほど。相手にも流石に躊躇いが出ているな」


 近接武器を持っていない穏健派の連中は自動小銃での攻撃を止めて、クシナを捕まえにいく。

銃弾の雨が止み、今度は外から俺が突撃をかます。

呪血銃(カースブラッド)は、弾道が一定の為に、混戦であっても味方であるクシナを避けさえすれば問題ない。

大雪斬で自動小銃を凍らせ無効化していくと、今度は反撃に出始めていた祐介らが押し戻してきた。


「来たな。頼むから、俺に当てるなよ」


 俺はなるべく身を低くしながら、足元から攻撃していく。


「援軍。気をつけて」


 クシナの言葉に俺は退却していく穏健派と入れ替わるように、新たな集団が駆けてくる。


「クシナ、ここは任せた」

「了承。任された」


 俺はなるべく多量に呪血銃(カースブラッド)に自分の血液を吸わせていく。

決めるなら一撃。

俺は援軍の穏健派に向かってトリガーを引いた。


 ゴウッと大きな音を立てて、赤いレーザーそれも広範囲に飛んでいく。

貫通力、ぶれない軌道、それがこの武器の強みではあるが、散開されると一人一人に狙いをつけなくてはいけないという厄介な弱点がある。

知ってか知らずか、半数以上を減らした援軍どもは、広範囲に散開していく。


「まぁ、その為の大雪斬なんだがな」


 俺は地面に大雪斬を突き立てる。剣を中心にあっという間に地面が白く凍っていく。その範囲は俺が見渡す限りすべての地面を。


 そうなれば、あとは狙い撃ちをするだけ。立てずに慌てる穏健派達。俺はそれを遠くから呪血銃(カースブラッド)で額を貫いていく。

ぶれない軌道、そしてどこまでも伸びる貫通力。これが最大限に生かされる場面。


 初めに突撃した集団を片付け終えたクシナは、地面を滑るように走っていき俺の後始末を手伝う。


「そういえば祐介達は?」


 後ろを振り返ってみたら、祐介を含め改革派全員足を滑らせこけていた。



◇◇◇



「いやぁ、助かった。君たちが俺達の仲間になってくれて感謝するよ」


 穏健派の奇襲は終わりを告げ祐介は俺と握手を交わす。

ふむ、清々しい男だな。それが、祐介に抱いた印象であった。


 犠牲者は思いの外多かった。特に女子供を中心に殺したのかと思うくらいに被害が集中していた。


 救出にあたったナゴの奮戦も虚しく……。ナゴは悔しそうに顔を歪めていたが、頭を撫でてやり慰めると、今度は救護に回った。

 

 過去の記憶を探る。サクラという子が持っていたカード“癒し手”。

ナゴは、それを使い瀕死の者すら治していくため、人々から天使でも見たのかのような羨望を集めることになった。

そして、さりげなくナゴにアプローチする男もチラホラと。しかし、全員俺の方を血の涙を流すような目で睨み付け去っていった。


 ナゴ、君は一体なにを言って断ったのだ……。

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