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神々の住まう処③

 俺が目を開いて初めに飛び込んできたのは、クシナの顔であった。

そう、クシナとハッキリわかるのだ。クシナに関しては記憶が消去されていない。これは……そうだ、仮面を付けた転移者の時もそうだった。

あの男のことも、消去される事はなかった。


 俺は手の甲のアイテムボックスを開いて、ナゴを出す。

ナゴのことも覚えている。

これは、アイテムボックスに入れて持ち込んだ為にナゴを道具として認識されたからだろう。


「ちょっ! なんで、裸なの!? というか、あなた誰!?」


 おっと、元の身体に戻った為に全裸のままだった。俺は天使が持ってきた着替えを着ながら、自分がグレンだと説明した。

初めは疑っていたナゴも、クシナが異様に俺に懐くので、しぶしぶ納得はしてくれた。


 問題は怪訝な表情の天使である。


「大変な事をしてくれましたね」

「さぁ、どの事を言っているのやら?」


 笑って誤魔化す。天使も強く言えないはずだ。何故なら天使はクシナの事を知っていたはずだから。

クシナは俺と同時にここへ呼び戻された。

つまりは、そう天使に指示した者がいるということ。


 クシナに関する記憶の事もそうだ。映像ではなく只の文字列になっていた。こんなこと出来るのは、毎度記憶の保存を行ってくれている天使しかいないのだから。


「神様達にどう説明するのですか?」

「道具と言い張ればいい。そうだろ? そんなところで隠れてないで」


 天使の背後の空間から現れたのは、一人の女神。ただ、それは俺に対してよくしてくれていた乙女の神ではなく、クシナのいた世界の神、山羊の神だった。


「やっぱり、あんたの仕業か」

「よく気づいたわね」


 そもそも他の神が干渉することは暗黙の了解で禁止されている。山羊の神が乙女の神に突っかかっていたのも気になった。

いくら乙女の神が俺に対してフレンドリーだとしても、禁止されていることをするだろうか。

だったら、クシナの事はクシナがいた世界の神である山羊の神が関与している方が正解だろう。


「クシナの話し方と槍術。昔俺が山羊の神(あんた)の世界で学んだ師匠と同じなのさ。つまりは、クシナの背後にいるのはあんたってことだ。同じ神の世界ならどうとでも出来るしな」


 そうなると、アクアスフィアに向かう前に乙女の神に突っかかっていたことも見方が変わる。

乙女の神は()()()()と言っていた。

何を見ていたのか……それは、間違いなくクシナに関してのこと。


「山羊の神、あんたに聞きたい。クシナは……俺と別れた後、クシナは一体どうなったんだ?」


 山羊の神はそれに答えず黙っていた。その事が却って俺に気づかせる。


 あぁ……クシナは、あのあと死んだのだと……。


 だから、アクアスフィアにも転移出来たのだ。そして蟹の神も山羊の神と手を組んでいるから出来たこと。


 一体、何が目的なのか。そんなことは俺にはどうでもいい。ただ、クシナと出会わせてくれた事に感謝の念を抱く。


「ナゴの事、道具として言い張るつもりなんだが、あんたはどう思う?」

「誰も何も言わないと思う。どいつもこいつも細かい事は、気にも止めやしないよ。そう言うものなのさ、神様ってのは」

「ねぇ、それより着替え無い? 色々ありすぎていつまでもこの服着ておくの気持ち悪いんだけど。あとシャワーも浴びたい」


 あっけらかんとしているナゴに、俺は天使に頼んでナゴとクシナの服の用意をお願いする。すぐに用意しますと、天使は少し不機嫌ながらも、新たな服を準備してくれ、クシナとナゴに渡す。


「ちょっと、クシナ! どこで着替えるのよ!!」


 いきなり服を脱ぎだそうとしたクシナをナゴが慌てて止めに入る。


「ねぇ、シャワー無いの?」

「隣に備え付けてある」


 俺は武器庫に案内して一角の扉を指差すと、ナゴはクシナを連れて扉の中へと入っていった。



◇◇◇



 ナゴ達が戻ってくるまで、待つことに。山羊の神は一言「乙女の神には注意して」と忠告を残して去っていった。

残された俺と天使。

天使は、基本的に神の言うことを聞くようになっている。嘘は吐くことが出来ない。どうも、その事を気に病んでいるようであった。


「問われたら正直に答えたらいい」と気休め程度に伝えておく。


「お待たせぇ~」と二人が帰ってくる。さっぱりとした顔をしたナゴは、ショートヘアーに前髪が落ちないようにピンをしており、ショートパンツにTシャツとかなりボーイッシュな格好をしていた。

一方、クシナは自分の格好を確かめるべくくるくるとその場を回っている。

フリルのついたピンクのシャツに赤色のミニスカート姿で。

回る度に、スカートが舞い下着が見えており、その度にナゴに怒られていた。


 そう言うナゴにも困ったもので、膨らみかけた胸には、ブラを着けていないのが丸わかりで、注意しようかどうか悩んでしまった。

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