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プロローグの時に予定していた副題と違う気が・・・
第一幕開幕です! よろしくお願いします!
アウゴスラティア人工島―それは、設計士ファウリア・アウゴスラティアによって建設された巨大な人工島である。日本から南東4000km離れた位置に存在し、一年中とはいかないが一年の大半は夏という島だ。住民は、階級によって住む場所が決められており、ドーナツ状の10の都市が内側に重なり、塔のように高くそびえ立つ。一番外側が第10都市、そして中心が第1都市と内側にいくにつれ階層も階級も高くなる。その中で4番目に階級が高い人間が住む第4都市。この都市は警察や軍の人間、その関係者が住んでいる。その一角に存在するミリタリーショップでなにやら揉めている男が二人。外にも聞こえそうなくらいの大声で、黒のコートを着た若い男が髭を生やした威厳がありそうな強面の男に文句を言っていた。
「何で前来た時よりも高くなってンだよ! 倍するじゃねぇか!」
「・・・最近、銃を卸してくれる業者が少なくなってきてな、すまん」
若い男―虚木 朧は頭をかきむしりながらあーと呟いた。
「確かに最近じゃスナイパーライフルもあんまり出回ってないからな。科学技術が進歩してレールガンやコイルガンの方が多い位だ。」
「・・・ウチもそろそろそういう科学兵器を仕入れていいんだろうな・・・」
「まあな。実弾だと厳しい時があるからいいと思うぜ」
結果、銃弾と掃除用のブラシ等を買った。
「そうだ、おっちゃん。暗視ゴーグルの類の商品ある? あったら欲しいンだけど」
「注文中だ。3日後には届くだろう」
了解と店主に言って店を出る。朧は新しい銃が買えなくてシュンとしていたが一瞬だけだった。
彼はやがて、巨大な埋め立て地にこれでもかというぐらい並べられたコンテナの一つの前にたどり着いた。このコンテナは第4都市にだけ存在する倉庫である。いくつもあるコンテナの一つ一つに個人の所有物としての登録がなされており、さまざまな用途で使われている。中には電気やネット、Wifiを繋げて年中アニメにかじりついて引きこもっているやつが居れば、ホテルのように改造して、商売しているバカだっている。朧のコンテナの隣のコンテナは中がジャングルのように改造されており、少し不気味に感じる。朧はカードキーで開き、中に入った。コンテナ内はさまざまな銃で埋め尽くされていた。ピストル、マグナム、ショットガン、アサルトライフル、サブマシンガン、猟銃、狙撃銃、カービン銃、ランチャー、レールガン、コイルガン、レーザー銃と大きさや長さがさまざまな銃が収納されていた。彼は、ロッカー程の大きさの機械の中に収納されていた鞄を取り出し開ける。すると数秒も掛からないうちに鞄の中が作業台に変形した。彼は、おもむろに銃を取って掃除し始めた。分解し、掃除して、組み立てる。その動作を繰り返していた。残り3分の1というところで、ゴンゴンとコンテナのドアを叩く音が聞こえた。何かと思い、ドアを開ける。するとそこには、中性的な男が立っていた。
「おお、燐堂じゃないか! どうしたこんな時間、こんな場所に」
燐堂と呼ばれた男は笑いながら脇に挟んでいた書類を朧に差し出した。
「お前の家に行ったが、いなかったからな。少し話があってここに来た」
「立ち話もなんだ。入れ。コーヒーくらいは出せる」
「頂こう」
朧はコーヒーを渡しながら、訊ねた。朧自身、災厄の暗殺者なんて呼ばれているから概要はよく分かった。確実に、暗殺の仕事だろう。
「それで要件は? どうせまた殺しの依頼だろう?」
燐堂は大きく頷く。それから持っていた書類を朧に差し出した。
「これは?」
「暗殺の依頼というのは半分正解だ。その書類は、そのリストになる」
「もう半分はなんだよ?」
「潜入調査と思ってくれたらいい。場所は第5都市にあるイーストル教会だ」
「何でまた」
「今話題の連続焼死事件に関わっている可能性が出てきた。全員信奉者だった」
「証拠は?」
燐堂は黙ってパソコンを開き動画を立ち上げた。そこには一人の信奉者が教会の石像によって
光を当てられ、その瞬間に燃え上がった。その一部始終を見た朧は、神妙な顔で燐堂に訊ねた。
「どういう原理よ? これ」
「それも調べてくれ。報酬は上乗せする」
「そいつはどうも。とりあえず、潜入しないことには始まらない。明日からにでも動くさ」
「よろしく頼む」
「それにしても、リストに乗ってンの全員その教会の修道女じゃないか。興味深いねぇ」
「射殺許可は下りている。クロと思ったら即実行してくれ」
「オッケー、承った。期日は無し。内容はイーストル教会での潜入調査と暗殺だな? よし、確かに」
次なる戦場はイーストル教会。今、悪魔を身に宿し暗殺者が新たな災厄呼ぶ。朧は銃を掲げ禍禍しい笑みを浮かべ、呟く。
「さあ、開幕だ―――」
第一幕『鮮血の華咲く教会』開幕
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