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051~060

051.

魔法使が姫の手を優しく撫で摩っている。物凄く居心地悪そうな姫。そりゃそうである。魔法使が取りいだしたるは薄刃のナイフ。姫の青い肌に滑らせる。「っ」「…これもダメか」刃毀れしたナイフを放り捨てる。床を切り裂き垂直に立つナイフ。「割と傷つきます…」「えっ」「物理でなく!」


052.

細い細い三日月が、くるりと輪を描いた。「あ、天使がいますよ」「おお、降ってくるかな、あれ」夜空を指差す姫、珍しく嬉しげな魔法使。「なになに!?なに!?」跳ねる孤児に魔法使は少し興奮気味に言う。「氷の羽が降ってくるかもしれんから、拾え!」「なにそれ!?」「天使の羽ですよー」


053.

「では明日の朝まで留守にする」「いってら」「魔神さん、全身赤づくめでどうしたんですか?」「年に一度、近接する異世界で大量の召喚がかかるんだ」「契約している魔神も呼び出されるんですか?」「なにしろ億単位の人数の魔力だからな。内容は物資の運搬らしいが」「何してるんですかね」


054.

「金儲けの方法を思いついた」「お金に困ってらっしゃるんですか?」「いいや。だがあればあるほどいい」「そうですね。どういった方法なんでしょう」「異世界から来た師、アレの案なんだが精霊使いでなくても使役気分を味わえる精霊カフェ」「ファイアーボールとか撃てます!?」「攻…撃?」


055.

魔法使にしては珍しく動揺しながら姫に訊く。「オッケー、サラマンダー、蝋燭点けて、とかじゃなくて、攻撃なのか?なぜ?お前の場合、自分で攻撃した方が絶対に強いじゃないか」「サラマンダー、そんなふうに使うんですか…普段使いのひとと、使ったことないひとの違いですねぇ」


056.

異常現象が起こる四辻へやってきた姫と魔法使。馬車で通ると馬の足が消えるのだ。馬だけなら消えない。馬車を引く馬の足だけが消える。馬は首と胴体だけになるが、ごろごろ移動し草を食み、元気だ。むしろ足があった頃より元気だ。辻に立つ二人を、首と胴だけの馬たちがじいっと見つめてくる。


057.

もうすぐ新しい年が来る。世界が無事に継続するかどうかは、運次第だ。世界中の賢者や魔術師、そして有数の魔法使たちのみならず、精霊の王や神霊の類が、年越しを見守る。夜が更け、浮かれ騒ぐ人の歓声のような音が遠く近く聞こえ始める。年越しが来た。来年が無事に来るかは未だ分からない。


058.

「今年も無事に古き年から新しき年への継続が確認されました」王国最高位の魔法使が厳かに告げる。一瞬の静寂。そして大歓声。精霊や魔獣神霊も、世界が無事に年越ししたことに歓喜し、あらゆる神秘が現と踊り、命も命無きモノも祝福される。「どうしました?手を見つめたりして」「いや別に」


059.

新年の喜びも三日目、そろそろ終わりを迎える。「これ、なんでしょう」「年越しの余波で界の境も、より一層曖昧になるからな」城の庭に、錆びた金属製の物体。三角形の一辺がスロープ、もう一辺が階段、ポールの支えもあり安定は良さそうだ。異界の何かは程なくして解けるように消えた。


060.

「魔法使さん、飛ぶとき箒って使わないですよね」「使わないな」「そういうお話を読んだんです。柄に乗るんですよ」「箒を横倒しにして?」「はい」「…横座りじゃないと苦痛を伴わないか」「…確かにそうですね」「掃くところが風に煽られそうだしな」「そもそもなんで箒なんでしょう?」

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