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041~050

041.

姫がおやつを携えて訪ねていうと、珍しく魔法使が焦っていた。カラフルな花が奇声を上げながら、茎の先端からドロドロしたメタリックな色の変なものを撒き散らし、召使いの魔神が身を呈して調度品を守っている。「何があったんですか?!」一瞬で八つ裂きにしてから問う。「寝惚けて召喚した」


042.

眠る人に口づけする萌えるシチュ。だがそれは、相手を選んだほうが良い。遊びに来た姫に魔神が「寝てるので」と注意を促す。そっと書斎を覗くと転寝している魔法使に屈み込む異形の美女。艶かしい赤い唇が彼の白い顔に近付き…パンッと弾けた。「あれのせいで起こせないんですよね」「ね」


043.

「解せない」乾燥する冬場、貴族でも手荒れに悩む者は多い。だが溶岩とかに落ちても平気な姫の手が。魔法使は薬を練りながら問い詰める。「何を触った」「なんにも!」「嘘をつけ」「本当です…」めそめそ泣きだす姫。本当らしい。魔法使の軟膏は効いた。だが今度は薬を作った彼の手が荒れた。


044.

空から鳥が降り始めた。血みどろの見るも無残な死骸が降り注ぐ。雲一つない青空に生じた黒い点からボタボタと。姫は魔法使をお姫様抱っこして黒点へ飛ぶ。死骸が零れ溢れる黒点に魔法使は火球を叩き込んだ。不安になるくらいの間があって、黒点からは生きた鳥たちが歌いながら飛びだし始めた。


045.

「やりたいことが多過ぎるから分身して同時進行でこなしてみたんだが、同期するの忘れて別個体が経験したことになってしまって、情報を統合しなきゃならなくて逆に面倒なことになった」「ちょっとよくわからないんですが、そのせいで魔法使さん、六人もいらっしゃるんですね?」「減ったんだこれでも」


046.

ペガサスの保護区域で密猟が起きた。一部地域ではペガサスは普通に家畜で食料なのだ。品質改良の為に生け捕りにしていくのだがその手際が物凄く良い。慣れているだけある。「感心している場合じゃありません!」「知ってるか。夏に使う涼しい羽根枕、輸入ペガサスの羽根だぞ」「えっ」


047.

魔法使は不老である。あまりに高い魔力のお陰で病気にもほぼならないし、怪我もすぐ治る。生き続けるかぎり研鑽を積み、生に飽くと伴侶を募集し子を生す。全てを受け継いだ子はまだ生きる気のある魔法使が育てる。弟子はとらないのだ。「だから去れ」「帰りません!!」「元気なコですねー」


048.

魔法使は、元気いっぱいの孤児に弟子をとらない理由を説明した。「では助手になります!」「いらない」「分身、お気に入りですよね」「あれは良い。同期が大変だが」「召使いに!」「魔神がいるから」「夕飯の買い物に行って参る」「じゃあ実験動物に!」「あ、丁度良かっ」「ダメですよ!」


049.

「本人の同意があるなら、人体実験はありだと思うんだが」「だめです!」「では動物や魔物ならいいのか?」「ど、動物も魔物もだめです!」「ではこのもしかするととても役に立つ薬はいきなり本番で使うのか?人体に?」「私が飲みます!」「なんでも無効化するお前じゃ実験にならん」


050.

「海が来てます!」「ああ」姫に荷物のように抱きあげられつつ、魔法使は対海魔法具に魔力を注ぎ込む。お姫様抱っこに以降する間に魔法具を解放。白い砂浜と緑から紺碧へ変わりゆく海が、蒼穹を浸食する。美しい海の真上に出現した逆さのごみ箱。溢れるごみ。汚された海が絶叫して逃げていく。

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