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031~040

031.

遺跡調査に向かった探検隊が帰還予定から半年経つのに戻らない。いくらなんでも異常であると、姫と魔法使が見に行くように頼まれた。遺跡は静かで豊かな森と多彩な生命に包まれていた。ひとだけが、いない。「何もみつからんだろうな」「いったいどうして…」「嫌いなんだろ、ひとが」


032.

青い雲に乗って、薄緑色の帆を張った巨大な船が夜空を横切っていく。乗っているのは既にこの世を去った人々だ。あまりに遠い昔の人達で、ただ通り過ぎていく。強い魔力を持つ者と直系の子孫にだけ見える。「俺はどちらだから見えるんだろうか」「どちらでも良いんじゃないでしょうか」


033.

魔法使が最近ハマっているのは色んな形のゴーレムを作る事だ。安定性と機能性を求めて人馬型を作成してから、凝り始めたのだ。「八足だとそっちの処理に性能が取られるな。やはり六足か」問題なのは作ったのを壊さずそのままその辺で自由にさせていて、近隣住民に不安がられている。


034.

子どもが無事に育つ事、毎日食事が摂れる事、明日の朝日が昇る事。それは本当は至上の幸運なのだと、常識になってしまうと分からなくなる。大地が鳴動している。火山の噴火は確実なのに信じようとしない人々を残し、姫と魔法使はその土地から距離を取る。ついてきた孤児たちだけ伴って。


035.

「なんだか右腕が痛むんです」「封印されし何かが目覚めつつあるんじゃないか」「ええ!?いったい何が!?」「……あー、寝てる時、下になってたとかじゃないか」「はっ!」「思い当たることがあったか」「ベッドの下の羽ペンを拾おうと、右腕でずっと支えてました」「あの天蓋ついたやつ?」


036.

「本当にこのマンティコアが犯マンティコアなんでしょうか」「どうでもいいじゃないか」「よくありません!冤罪は許されませんし、真犯人が野放しということになります!」「そうだけど」揉める二人を見ていたそのマンティコアは、畑の大根を全部抜いたマンティコアの居場所を教えてくれた。


037.

聖地と崇められる巨大石碑群に亡霊が出るとのことで、姫と魔法使は調査に行った。そして亡霊たちに出会った。どこかの何かが壊れたらしく、出てきたのだ。彼ら彼女らは石碑をたてた時の様子を再現しているのだ。「太陽が十二回昇るまでにいくつ巨石を積めるかチャレンジ!」封印を施しました。


038.

太陽の瞬きという現象がそろそろ起こると魔法使が言いだした。何年かに一度、昼間に太陽の光が消えてしまうのだ。「どうして分かるんですか?あれは災いの前触れですよね?」「違う。定期的な自然現象だ」「でもいつも恐ろしいことが起こりますよ」「そんなもの、いつだって起きてるだろうが」


039.

姫はぎょっとした。魔法使が薬草の入った籠を抱えてドアへ歩いていく。ドアが開き、家の中から魔法使が出てきた。「えっ」「え?」「今、魔法使さん、ふたりいました!?」「ふーん」「驚かないんですか!?」「たまにあるだろ」「ないですよ!」「時間は曖昧だからな」「ないですよお!」


040.

遠い空の向こうを、巨大なものが横切っていく。雲よりも向こう側で、星々よりはこちら側を、巨大で偉大で絶望的な存在が。人々も他の生命体も非生命体もみな息をひそめて、祈るしかない。「この世界よりも大きいんですか?」「たぶんな」「勝てるでしょうか」「お前は意外と好戦的だよな」

032話にて、一人称を間違える痛恨のミス

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