第3章19話 中級ダンジョン攻略(2)
今回は(1)と(2)で連話になっているため、2話連続投稿していますのでよろしくお願いします。(1)話を読まれていない方は申し訳ありませんが、前話の第3章18話を先にお読みくださるようお願いします。
地下迷宮のど真ん中に出した【砂の城】の中でお昼を食べて、しっかりとデザートのプリンと紅茶もいただいてから、ようやく中級地下迷宮『人形の館』の攻略を再開させる。
その後も、地下七階のブロンズゴーレム、地下八階のシルバーゴーレム、地下九階のプラチナゴーレム、地下十階のゴールドゴーレムと順調に軒並み薙ぎ倒しながら、とうとう十階最奥のボス部屋の前まで到達していた。
気がつくと結果的にレアドロップアイテムとして大量の鉄、銅、銀、プラチナ、金などの貴金属を含めた延べ棒が素材としてかなりの数が手に入っている。
売ったら結構な金額になりそうだ。特に金の相場を暴落させるようなことは無いとは思うが、万が一にも世界恐慌を引き起こしてしまうのは困るので、ちょっと怖いかも。
仕方ないから、何か作るとするか? ああ、ぽんこつフランのロザリオずっと忘れてたなぁ……まあ、いいか。あ~、でもどっかから泣き声が聞こえて来る気がする。
「この中級地下迷宮『人形の館』のラスボスはこれまでの実績でアイアンゴーレムの巨人版だから、気をつけてね! まあ、これまでどおり高い物理防御と【魔法防御】スキルを突破すれば、問題無く討伐できるはずだから気合入れて行くわよ!」
「「「「おおー」」」」
「ニャア~」
あの~、凄くフラグっぽいんですけど……嫌な予感が、気のせいならいいんですが。
ギッギッギィ~~~、と酷く重い金属製の扉を開けて中に入ると、体育館ぐらいの部屋の奥には祭壇が鎮座していて、その前には予想通り10mぐらいはあるアイアンゴーレムが――あれ? あれれ?
「あれって、アイアンゴーレムじゃ無いような気がするんだけど……」
「奇遇ね、ハクロー。私も同じことを言おうとしていたのよ」
ドヤ顔してアリスさんが振り向いてきますが、殴っていいっスか?
すると、『車椅子』に座ったユウナが、【賢者の石】からの情報だと思うが、冷静な声で聞きたくもないウンチクを垂れる。
ああ、そう言えば既に【鑑定】も習得していたっけなぁ。
「あれはジャイアントミスリルゴーレム。何故、中級地下迷宮になんか出現しているのかは不明。
元々高い物理防御に加えて【魔法防御】スキルも合わせてかなり高い耐性を持っている化物で、極めつけは魔力残量のある限り【自動再生】を続けることができる上級モンスター」
「「駄目じゃん!」」
ギッギッギィ~……バタン。
「「「「「「あ」」」」」」
「ニャア?」
前方に気を取られている間に、後ろでボス部屋の入り口の扉が閉じてしまっていた。ということは閉じ込められた? ぎゃあ~~! どーすんだよぉ!
などと、脳内漫才をしていると、フフンと鼻を鳴らしてアリスが長い真紅の髪をなびかせながら腕組みをして仁王立ちする。
「上等じゃない! ようは、あのデカ物をぶっ倒して討伐後に転移魔法陣を使えってことでしょ? ルリは魔術結界、コロンとフィは後衛の直援、ユウナは長距離射撃で援護、ハクローは……適当にまかせた!」
「おい」
「魔術結界、張ったよ! 補助魔法を付与するね!」
「速っ」
ルリさんは結界の展開速度が、尋常じゃ無いぐらい速くなっているようです。あ、みんなへのバフの付与も速い。
さて、ここまでちっとも仕事らしい仕事をしていない男の子としては、ここいらで一働きしておかないと、また役立たずと言われてしまいそうなので――まあ、頑張ってみるとしますか。
「『マルチタスク』並列処理、同時起動、【チューブ(転移)】、【AMW(ノイズ)】、【波乗り(重力)】、起動待機! 行っくぞぉ、まずはこいつはどうだ、【HANABI(爆裂)】!」
ジャイアントミスリルゴーレムの顔面で爆裂魔法を起爆させる。低い爆発音と共に白煙が舞う――が、魔法防御も相当に高いあいつには、やはりかすり傷ひとつ付かない。
「やはり、魔法防御も極端に高いようだ――ならば、これならどうだ! 【AMW(ノイズ)】」
既に単パルスの反射波で魔力パターンを解析済の奴の固有周波数に合わせてジャミングをかける――が、高い魔力量と高い防御耐力に妨害し切れない。
しかし、ここまでは想定範囲内だ。次は、固有周波数に逆位相で共振させて奴の出力そのものをキャンセルさせる――と、よおっし!
「奴の魔法防御の耐性が半分以下にできたぞ! ジャミングも半分以上が効いてる! これなら、見てろぉ~【HANABI(爆裂)】連続起爆!」
さっきよりも大きな爆発音が爆風と共に辺りを荒れ狂い、黒煙の中から金属破片が周囲に飛び散って地面に散乱する。
「よっしゃあー! 後は回復できなくなるまで削るぞ!」
そう叫んだ瞬間、黒煙の中から表面装甲が剥がれ落ちたジャイアントミスリルゴーレムの巨体が前進を開始して来た。
次の瞬間、後方から紅いレーザー照射が立ち昇る黒煙に四本の線を描くと、目の前まで真っ白に覆ってしまうほどのマズルフラッシュが煌く。
続けて耳をつんざく射撃音が轟き、黒煙に風穴を開けながら奴の巨大な躯体にクレーターをいくつも造っていく。
しかし、ジャイアントミスリルゴーレムはそれぐらい何でも無いとでも言うように、前のめりになると走り出そうとする。
「本気か! あの巨体で走るつもりか? 不味いぞ、あの質量で激突でもされたら唯じゃすまないぞっ」
すると、アリスの冷静な声が後ろから聞こえて来る。
「ハクロー、足止めをする!」
「了解っ、【波乗り(重力)】発動!」
起動待機させていた大波を最大まで増幅して、それでも5mぐらいだがぶつけてやる。腰ぐらいまである大波に、10mの巨体と言えど足を踏ん張って一時的に動きを止められる、と。
「出し惜しみは無しよっ、超位氷魔法【ゼロ・ケルヴィン】!」
ビシビシビシッ、と奴を押し戻していた大波が絶対零度に凍り付く。奴の本体に対する魔法行使では無いので、魔法耐性に関係なく凍結して物理的に地面に固定して釘付けにしてしまう。
その間も9x19mmパラベラム弾が雨霰と、奴の剥き出しの上半身に降り注ぎ、その強大なミスリルでできた装甲を散り散りに吹き飛ばしていく。
ジャイアントミスリルゴーレムは前進できないことが分かると、今度は自分自身で腰から下の氷を両腕で殴って割ろうとし始める。
「不味い、唯の氷だから奴の馬鹿力で殴られ続けたら割れるぞ!」
畜生、これはやりたくなかったんだが。
「【チューブ(転移)】、【AMW(ノイズ)】!」
ジャイアントミスリルゴーレムが振り上げている右腕のすぐ後ろに転移すると、その肘にだけ最大出力のランダムノイズでジャミングをかけて、直刀【カタナ】の片刃を高周波励振させながら【抜刀術】で一閃する。
バァン、という斬撃音と共に、直径が1m以上ある大樹のような腕を、ちょうど肘から斬り飛ばす。
ドシンッ、という右腕が地面に落ちる落下音がすると、ようやく右腕が肘から無くなっていることに気がついたらしく、一瞬だが動きが止まる。
その瞬間、左腕も切断すべく流れるように直刀【カタナ】を納刀する。
「【チューブ(転移)】、【AMW(ノイズ)】!」
同じように動きの止まった左腕の肘をジャミングで魔力耐性を劣化させて、高周波励振させた直刀【カタナ】を【抜刀術】で振り抜く。
が、今度は奴も気がついていたのか、空中に連続転移した俺めがけて闇雲にその左腕を振り回して来る。
しかし、その時を狙ったように、奴の顔面に大量の9x19mmパラベラム弾が援護とばかりに着弾する。ありがたい!
「くっ、【ビーチフラッグ(加速)】!」
空中に足の踏み場も無い状態で、強制的に姿勢制御を最大加速させて、迫って来る左腕とすれ違いざまに直刀【カタナ】を交差させる。
今度は、バッギン、という鈍い衝突音がして、奴の左腕が肘から半分だけぶら下るように斬れる。だが直刀【カタナ】は真ん中からふたつに折れて、俺も右腕への衝撃と風圧を全身に受けて吹き飛ばされてしまう。
「ぐあっ、【ドライスーツ(防壁)】最大出力!」
上下も分からない程に、まるで文字通り木の葉が舞うようにして、そのまま岩だらけの地面に叩きつけられるのを防壁魔法で耐えながら、同時に【ライフセーバー(救命)】を発動させる。
壁際の大きな岩を砕いてようやく地面を転がるのが止まると、直刀【カタナ】を持っていた右腕以外はどうにか軽症で済んでいるようで何とか動かせそうだ。
直接の魔法攻撃も物理攻撃もある程度は防御できるが、右腕は直刀【カタナ】が食い込んだ奴の左腕ごと反対側まで物理的に持って行かれたので、筋肉が断裂して骨も折れてしまったようだ。
右肩から先に激痛が走り右腕の感覚が無くなっていた。でも右手は折れてしまった直刀【カタナ】を握ったままだ。這うように左腕だけで身体を起こすと、奴が千切れかけた左腕をこっちに投げつけようとしているところだった。
「くそっ、【チューブ(転移)】っ」
車ほどもあるあれだけの絶対的な質量の直撃をもらう訳にはいかない。どうにかこうにかルリの結界の中に緊急転移して逃げ帰る。遠くに奴の左腕が地面に叩きつけられる衝撃音を聞きながら、そのままの勢いで地面に転がりなんとか膝立ちする。
「ハクローくん!」
「ハクロー!」
「ハク様!」
「ハクローっ」
「クロセくん!」
「ニャア~!」
グラッと身体が傾き横倒しになりそうなのを、駆け寄って来たルリに支えられる。噴き出る脂汗に霞む目を奥歯を噛んで耐えていると、その時、両腕を失ったジャイアントミスリルゴーレムが口を大きく開けて咆哮する。
「がぉおおおおお!」
おお、ゴーレムも上位種になると叫ぶんだ。両脚も固定されて両腕も斬り落とされ、強大な躯体の真ん中には大量のクレーターを造って、身体の構成を三割ほど吹き飛ばされてさしもの奴も頭に来たのか。
そして、大きな口を開けたまま俯くと。
「ルリ――精霊結界、用意! 来る!」
【未来視の魔眼】で奴の攻撃を察知したアリスから、指示が飛んだ時には。
「精霊さん、お願い! できた!」
すぐさま多重展開された六色に輝く精霊結界が俺達をドーム状に覆っていた。本気で速い……ぎゃ、まさかあいつ。
バシューッ! と、黒煙を二つに切り裂いて、大きく開けた口から青白い極太のビームが発射された。
本気かよ! ヤツのビームと精霊結界が干渉し合って視界が真っ白に染まって、耳が聞こえなくなるほどの爆音が響き渡る。爆風によって後ろにコケそうになるのを右腕を庇いながら、左腕でルリを抱き締めて必死に堪える。
青白い煙の中でジャイアントミスリルゴーレムが口を開けたままの姿勢で、発射後硬直していた。しかし、火竜のブレスもそうだったが、高位六精霊の精霊結界って本当に頑丈だ。
「今よ! リキャスト前に叩く!」
そう言って、パカッと開いたままの口めがけてレーザーサイト付きの魔法自動拳銃P226が轟音と共に火を噴く。
流石のジャイアントミスリルゴーレムも体積の三割以上を失っていては自動再生も追いつかないとみえて、9x19mmパラベラム弾で爆発音を轟かせながら顔の半分を吹き飛ばされて咆哮を上げることもできなくなっていた。
「見えた、胸の【魔石】よ! 止めだぁ! 超位氷魔法【ゼロ・ケルヴィン】!」
アリスの叫びと共に、とうとう【自動再生】が間に合わず胸部の装甲が吹き飛んで剥き出しとなった、巨大な【魔石】が絶対零度に原子振動が凍結される。
ミスリルが如何に魔力導通が高い金属だと言っても、量子的に振動しなければ唯の動かない無機物だ。
しばらくすると、その巨大な躯体全てが末端まで絶対零度に凍結される。ついにはジャイアントミスリルゴーレムはその巨体の自重を支えることができなくなって、崩れ落ちながら光の粒子となって消えて行った。
「ハクローくん! 聖精霊さん、水精霊さん、光精霊さん、回復魔法をお願い! お願いします、助けてっ!」
「ハクローっ、【ハイヒール】!」
膝立ちになったままで全身から脂汗を垂らしていると、ルリとアリスが大量の回復魔法をかけてくれて、ようやく感覚が無くなっていた右腕が少し動かせるようになる。
しかし、握ったままの直刀【カタナ】を上手く右手から離すことができないので、左手で指を一本づつ引き剥がそうとしていると、ルリが泣きそうな顔をして折れた直刀【カタナ】ごと俺の右手にしがみ付くように抱きしめてしまう。
そして、ゆっくりと擦るようにしながら、優しく右手の指を一本づつ開いていってくれる。
「……悪い。しくじった」
「無茶しないでください」
俯いて長い睫毛を伏せながら紅い瞳に涙を溜めたまま、右手の指をゆっくりと擦るように開いてくれているルリが震える声でつぶやく。
「ゴメン……」
「……はい、外れましたよ。でも、断裂していた筋肉が再生したばかりで硬直しているようなので、まだ動かさないでくださいね」
そう言いながら、ルリは【収納】から取り出したタオルで右腕を肩から吊ってくれる。
「ハク様、だいじょぶ? 痛くない?」
「ハクロー、コロンを泣かしちゃ駄目じゃないのよ」
金色の瞳に涙を一杯に浮かべた小さなコロンと妖精のフィが心配そうに覗き込んで来るので、脂汗を浮かべたままで左手をヒラヒラさせて笑って見せる。
「ああ、もう痛くないよ。心配かけてすまない」
すると、少し安心したのかコロンとフィも微笑み返してくれる。
「もう、冷や冷やさせないで」
『車椅子』に座るユウナが少し怒ったように睨んでくる。その膝に乗っていた聖獣ルーが飛び降りて来て、座り込んだ俺の太腿を「ニャア~」と鳴きながら前足でペシペシと叩き始める。
「あはは、悪かったって」
「ふ、フンだ。何だ結構ピンピンしてるじゃないの」
小さな唇を尖らせてそんなことを言いながら、アリスは視線を逸らすようにジャイアントミスリルゴーレムが消えた方にスタスタと歩いて行ってしまう。
「おおー、でっかい【魔石】ねぇ。もしかして、売らないで残してある火竜と同じぐらいある? わっ、しかも延べ棒がピラミッドのように積まれてる! これって、もしかして全部ミスリル?」
後に残った【魔石】とレアドロップに、一喜一憂するアリスさん。
これって、やっぱり中級地下迷宮のレベルじゃ無いような気がするんだが、もしかしてレアボスでも引き当てたか?
そういえば、俺達って『運』パラメーターって異常に高かったんじゃ――ドロップアイテムも、全部レアだし。
おおぅ、何か嫌なことに気がついてしまったかも。もう、討伐後に自動起動されている転移魔法陣から、サッサと帰ろう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「お帰りなさいませ。今日はどちらに? わっ、ハクローさん怪我されてるじゃないですか、治療してもらいますか? あ~、皆さんの場合、必要ないですよねぇ」
冒険者ギルドに帰ると、いつものようにネコ耳受付嬢のニーナがビックリした顔をしながら手招きする受付カウンターに向かう。だんだん、ニヤけた招き猫に見えてきたぞ。
「はい、これ」
何か疲れた表情でアリスがダンジョンコアの『水晶石』を受付カウンターの上に置くと、それを取り上げたニーナがネコ耳をピクピクさせながら覗き込んで、ポカンと口を開けてそのままの姿勢で聞いてくる。
「あ~ぁ、今度は中級地下迷宮『人形の館』ですか。あれ? そう言えば、ラスボスのジャイアントアイアンゴーレムの【魔石】はどうされましたか? 換金されますよね?」
「あー、それなんだけどねぇ~。これが出たのよ」
そう言って、ゴトン、とデッカい【魔石】を受付カウンターにアリスが乗せる、と。
ガンッ、とダンジョンコアの『水晶石』を受付カウンターの上に落としてしまう駄目受付嬢のニーナ。それって、割ったりしたら明日になっても、元の祭壇に戻らなくなっちゃうんじゃないのか?
「こ、これは……もしや、中級地下迷宮『人形の館』のレアボス……伝説のジャイアントミスリルゴーレムの【魔石】では?」
「あー、やっぱりレアボスだったんだ? 中級地下迷宮にしては強過ぎると思ったのよねぇ。しかも扉が閉まってボス部屋にじ込められるしさぁ……あれって、逃げられないから倒せなかったら全滅するしかないわよねぇ?」
「そ、そうなんですよ。だから、間違って――げふんげふん、運悪く出会ってしまったパーティーは、ほぼ間違いなく全滅させられているので、その存在も今では伝説化してしまっている程です。最後に確認されたのは、確か100年以上前のはずですよ。
その強さはAランクとされていますが、実際のところは未確認で、単体では皆さんが先日討伐された火竜と同等かそれ以上と言われています」
「あー、確かにそうかも~。んじゃ、【魔石】は売らないで使うことにするわ。あんにゃろ、口からビームなんて吐きやがったから、良い武器ができるかもしんないし」
「そ、そうですか。口からビームを……って、それで無事だったんですか?」
「火竜のブレスと変わんなかったわよ。でも、口からビームの方が厨二病っぽくて、格好良いわよねぇ~」
「カッコいかったでしゅ。コロンもその【魔石】を使って、口からビームを出してみたいでしゅ」
さっきから金色の目をキラキラさせて聞いていたコロンが、嬉しそうに両手をかわいいキツネのように胸の高さまで上げて見せる。
うーん、お父さんはコロンが口からビームを出して、街を「がおー」とか言って壊して歩くのは、どーかと思うなぁ。
「あはは~、と、とにかく皆さんのギルドカードをお預かりいたしますのでぇ少々お待ちくださいぃ~」
そう言って、泣きそうな顔をしてロシアンブルーのようなしっぽをピンと立てたまま、奥に走って行ってしまった。
その後ろ姿に「がおー」と両手を頭の高さまであげて、白銀の狐耳を得意そうにピクピクさせているコロンがいた。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その後、フラフラになりながらも王族別荘のプチ離宮に戻ったのだが、右腕を吊った俺を見つけるなりわんわん泣き出してしまったミラに「怪我して来るクロセ様は、しばらくはおでかけ禁止です!」と怒られてしまうのだった。