続、ミンチ製造機バロゥズ3
もう随分前に賢者クラウディアから聞いた話なので、もう一度再録しておくと、この世界で勇者として存在する人間し、自らの限界と悟ってくじけない限り死ぬことは無い。
そして、勇者の従者、つまりパーティメンバーも死ぬことはない。
だからパーティと言うのは勇者を中心として作られている。
勇者抜きでもパーティは作れるが、事故や戦闘で死者が出た場合、脳か心臓が破壊されたらハイそれまでよ。完全に人生は終了する。蘇生など出来ない。
その勇者が、文字通り蚊帳の外ってのはナンなのか?
聞いてみる事にした。
「自分はマサムネといいます。貴女は何故ここに?」
隣の女はチラリとこちらを見た。俺よりも10センチは背が高いから、185センチメートルくらいある、でかい女だ。
「私はアンジェリーナ。アンジーとでも呼んでくれ」
正直俺は、良いのか?と思ったが、まあ良いのだろう。イメージ通りってヤツではある。
「部外者はバリアーの中へ入れないんですが、アンジーさんも入れないんですか?」
「そうだ。所属パーティが一旦全滅するか、戦闘フィールド内にいる全員が外へ出なければ、中へ入ることは出来ない。それと、私の名前は呼び捨てで構わない」
「確か、強敵と戦う時はアライアンスを組むって聞きましたが?」
「6パーティのアライアンスを組んでいたが、勇者は全て初撃で斃されてしまったのだ」
「なぜですか?」
「フッ・・・・情けない話だが、カニに躓いたヤツがいたらしく、大勢が将棋倒しになって、運悪くバロゥズの下敷きになってしまった」
「はあ・・・・」
確かに混戦状態だったが、ちょっと情けない理由だ。
「まだ勇者は一人フィールド内に残っているはずだが、回復に手間取っているのだろう」
アライアンスに一人も勇者が残ってなければ、戦闘を続行する理由は無いから当然か。
アンジーと会話をしているうち、遂に詩人は強烈なブレスを浴びて倒れた。縦として頑張っていた戦士も左手を失って跪き、飛び交っていた矢も今では見られない。
そして、バロゥズの強烈な尻尾の一撃で、戦士は俺達のすぐ手前まで吹っ飛ばされて来ると、そのまま動かなくなった。
「残念ながら、次のチャンスを待つことになった。また後でな」
アンジーは俺にそう言い残して、数人の仲間と共にバトルフィールドへ戻った。
しかし、これは、バロゥズの占有権が他のアライアンスに取られてしまったという事だ。
フィールドの中では、複数の勇者がピカッと光って、バロゥズのヘイトを高め、フォーメーションを組んで戦い始めていた。
「そろそろ帰る?」
ロゼが俺に聞いてくる。
「最後まで見ないのか?」
「いつ終わるか分からないもの」
「そんな長期戦になるのか?」
「長いと、丸一日ね」
「帰るか・・・・」
俺は斃れていた戦士を肩を貸して仲間と合流するらしいアンジーの後ろ姿を見ながら、テレポートの呪文で外に出た。




