ゴブリンの錬金術士2
俺がボケッとしていると、ロゼが後ろを通りすぎて水瓶の脇に立った。
そして柄杓で水を掬うと、何かにかけ始める。
どうやら金属製のフラスコの様だ。
「落ちないわね」
ロゼは部屋のランプにそれをかざしながら言った。
「脂肪はアルカリで溶かさないと、落とせないのだニャー」
ゴブリンの死体の脇でゴソゴソやっているミケが忠告する。
「アルカリか・・・・」
ロゼは机の上にある薬品を物色して、
「あった」
と、茶色いビンを手に取る。
うーむ・・・・死体をゴソゴソやって、脂肪が取れない・・・・つまり、解剖したのか。
俺は率直に尋ねる。
「それは、ゴブリンの体内から取ったアイテムなのか?」
「そうよ」
ロゼは即答した。
「いやいや、なんとも・・・・」
「何言ってるのよ。これが目的だったんだから」
モンスターがドロップするレアアイテムとは、その場に転がっているものとか、秘匿しているものであるとか、宝箱に保管してある物だと思っていたが、まさか体内に保存しているとは思わなかった。
「よし、綺麗になった」
ロゼは満足そうに微笑む。
「それは?」
「これは『一発狙いのフラスコ』と言って、クリティカル発生率が一〇%アップして、ハイクオリティ品が造りやすくなるのよ」
「へえ」
「このレベルでは相当な逸品よ」
「ちょっと聞きたい事がある」
「なに?」
「ここにいたモンスターは時間が来ると復活するんだろう?何故だ?」
「知らないわよ。ダンジョンの管理者に訊けば?」
「そりゃ、そうか・・・・」
「まあ、大抵は元々ここに居たモンスターのコピー、つまりホムルンクスらしいけど」
「ほう・・・・」
「管理者が魔法使いか、錬金術士かで変わってくるけど、別にどうでも良いじゃない?」
「ああ・・・・もうひとつ、ダンジョンがリセットされるとモンスターの再配置があるらしいけど、時間の猶予があると聞いた。だが、ヤツは既にここに居て、不意打ちを食らった」
「それね・・・・ネームドモンスターは普通退治されていて、時間までポップしない事が大概なんだけど、討伐されていない場合は、メンテ後、そのままそこに配置されるのよ」
「つまり、コイツは放置されていたわけか」
「そうね」
「何故?」
「人気が無いから」
俺は精神的にズッコけた。




