続・岩の洞窟3
ようやく、そこら辺に散らばっていた戦利品の分配が終わると、あれほど大量にいたパーティはどこにいってしまったのか、と、再びダンジョン内は閑散としていた。
こんな乱戦で、いったい戦利品をどう分配しているのか、と言うと・・・・
最初にターゲットに対して敵対行動、つまり、ぶん殴るとか、魔法を使うとか、行為を行うと、そいつに優先的フラグが立つ。モンスターが戦闘不能になった場合、最終的にどれだけ貢献したか、で優先順位が決まり、残った戦利品に「タグ」が付く。
「タグ」はそれを取ったヤツが見ると「光る」ので、自分のものか他人のものかの区別が付く。他人の「タグ」が付いた戦利品を手に取る分には問題ないが、座標が動いたり、自分の袋に隠して「確定」を謀ると、えらい勢いでアラートが鳴る。
万引きがバレてしまう訳だ。
このまま遁走すると、お尋ね者になって、それなりのペナルティを受ける。まあ、万引きはダメだと云うワケである。
ロゼとソフィアが、散々DPSの事に触れていたのは、乱戦ではモンスターにどれだけダメージを与えたか、がスコアに大きな加算となるためだ。
俺はヘタレだったので、大した「タグ」が付かなかった。
「キララ、次のフィーバータイムは何時?」
ソフィアが尋ねると、キララは再びパンフレットを取り出して、
「16じからだよ」
と答えた。
「二時間おきかよ。ケチくせえなぁ」
ソフィアは不満を口にする。しかし、
「15じからスーパー・フィーバータイムがあるよ」
とキララ。
「何だ、それは」
ソフィアはキララからパンフレットを分捕って、その項目を見た。
「すごいよ!つうじょうの3ばいだよ!」
キララが俺たちに説明したが、先程の三倍とは、正直げんなりしてしまう。
「ま、それまではここも閑散としてるんだし、一旦出ましょ」
ロゼが先頭に立つと、一行はそれに続いて出口へ向かう。
人気のダンジョンなのに、一見してひとけが無い理由が分かった。
フィーバータイムまで表で英気を養っているのだ。
表に出ると、露天には冒険者が群がり、戦利品を売ったり、商品を買ったり、と繁盛していた。
「フィーバータイムの15分間で稼いだ経験値は、なんと同レベルの近隣野外エリアで稼ぐ3時間ぶんになったのだニャー」
ミケが突然そんな事を口にした。
ほう、そうなのか。
「しかもパーティが手にした戦利品の資産価値は7825498クレジットになるのだニャー」
クレジットとは、金の価値に換算した数値で、世界共通の通貨価値だ。
「相変わらず数字が絡むと強いな」
ソフィアがミケに云う。
ネコ型ヒューマノイドはぬけているイメージがあるが、計算高く狡猾なのが実態だ。
「マサムネではないか」
俺は人混みの中から声をかけられる。
その主は、賢者クラウディアだった。




