岩の洞窟2
ダンジョンというのは公営ギャンブルみたいなもので、ここにある露天の売上税やら、ギルドの上がりやらから、国庫に分前が入る仕組みになっている。
ダンジョン内部でくたばったり、モンスターに色々とぶん取られたりしたものはプールされて、他の冒険者の儲けになる。
要は、一見経験値などを稼いでいるように見えても、その裏で大損している連中もいるわけだ。
この穴から中へ入る連中は、誰しも「自分だけは損をしないし、五体満足で出てくる」と思っているが、ボロボロになって排出される連中が後を絶たないのが現実だ。
と、気合を入れて俺はここにいるのだが、他のメンバーは物味遊山というわけで、露天を冷やかしているのである!
とりあえずロゼが戻ってきた。
「どうしたの?怖い顔して」
「俺はリーダーとして言いたい」
「あら、いつあなたがリーダーになったのかしら?」
「じゃあ、誰がリーダーなんだ?」
「それは、私以外にいないじゃない」
「それは無いんじゃ・・・・」
これまで、このダークエルフがリーダーらしき事をした覚えが無い。
「私がリーダーシップを取ったことが無い。そう思っているわね?」
「いや、事実だから」
「フフフ・・・・それはあなたが本当の私を知らないから」
「なら、頼んだよ」
「フフ、任せて」
そんな会話をしていると、人の良さそうなおっさんが近寄ってくる。
「お兄さん、アタシはここの案内人をしてるんですがね、少しの金額で穴場や効率の良い周回コースなんか、紹介できるんですよ」
「ほう・・・・」
俺は疑いの眼差しでおっさんを見る。
「疑ってる。疑ってますね?よござんす。これを見て下さい」
おっさんは『マインツ観光局公式ガイド』と書かれた、免許証みたいなカードを俺に見せた。
市の紋章や、市長のサイン、ギルドの捺印。ホンモノのようだ。
「ちょっと見せて」
ロゼに免許を取り上げられた。
しばらくそれを見ていたロゼは、
「ふうん」
と言って、手に持ったカードを燃やしてしまった。
「あっ」
「ああっ」
俺とおっさんはビックリした。当然だ。
特におっさんはがっくりとうなだれて、天を仰いだ。
「何を大袈裟な・・・・予備の道具がいっぱいあるでしょ?それとも、これ一枚作るのに結構な経費がかかってるのかしら?」
ロゼは妖しく微笑った。




