賢者との対話
それでも俺は俄然とやる気が出てきた。
「あ、でも、何で魔王を倒せるのは勇者だけなんですか?」
俺はもっとも重要なことを訊ねる。
「魔王の本拠地に迫るまで、様々な障害がある事は聞いたな」
「はい」
「その途中で命を落とす事もある」
「死んだら・・・・教会で復活出来るんじゃ、なんちゃって」
俺はジョークで言ったのに、
「その通りだ」
と賢者クラウディアは肯定した。
「は?」
「勇者だけ、何度死のうか復活出来る。この世界で生まれた者は、一度死んだらそれまでだ」
「ええっと・・・・強力な力の僧侶とか、復活の呪文なんか持っているんじゃ?」
「いかにレベルの高い呪文の使い手であっても、復活させる数には限度がある」
「ま、そうだな・・・・」
「魔物の中には集団即死呪文の使い手も居る。連発されたら魔法では防ぎきれない」
「勇者は、その即死魔法で死なないんですか?」
「勇者には効かない」
「そりゃ良い」
「それならば、こう考えられないか?勇者を多数結団させて、魔王を倒せば良いのでは無いか、と」
「そうですね」
「パルディアと言う国の王がそう考え、自らの国をやって来た勇者を多数ストックして、軍事教練も行い、総勢200名のレベル99の勇者で魔王の城へ向かった」
「そりゃ凄い」
「彼らはどうなったか?」
「ええっと、ここ最近魔王は倒されていないんですよね?いつ頃の話ですか?」
「10年前だ」
「じゃ、全滅だ」
「正解だ」
「でも、何で全滅?」
「魔王の城へ到着した一行に、天空から巨大な光が降り注ぎ、後に残ったのは複数の塩の柱だ。多分200のな」
「神の怒りに触れたって事ですか?」
「そうだ。勇者とは己一人と、その従者のみで魔王に立ち向かわんとする者」
「なるほど」
「ところでマサムネよ。勇者に必要な資質は何だと思う?」
「ええ、と、勇者だから、勇気かな」
「違う」
「では強力な力とか魔力」
「違う」
「では正義」
「違う」
「愛だ」
「違う」
「え?何だろう・・・・」
「勇者に必要なもの、それはただ一つ、『くじけぬこころ』、だ」
賢者クラウディアはそう言いながら、俺に向かって『ドーン』とやった。




