王様
王様にイメージとはどんなものだろうか。
白い立派な髭を生やしている、威厳のある顔つき、王冠を被っているとかだろうか。
いや、俺もそんなイメージで王様に謁見したのだが、目の前にいるのはチョビ髭の小男で、玉座の隣に佇む弟君ビッテンフェルト公爵の方が、よほど王様のイメージに近い。
「よく来た、勇者よ」
お、よく通る声。しかも原語はドイツ語だから尚更響く。
「お、お目にかかれて光栄です」
いや、何と答えて良いのか・・・・
「勇者よ、今世界は魔王の脅威に怯えておる。その暗澹たる雲を払うのが、則ち其方だ。雲間から僅かに漏れる光を、其方の正義で邪悪な覆いを取り払い、蒼天を取り戻して呉れる事を余は期待している」
「ははっー!」
俺は大袈裟に最敬礼した。
顔を上げると俺は、良し気合を入れて今後の抱負を述べよう、としたが、王様は側近に向かって少し首を振り、その意を汲んだらしいそいつと兵士が一人俺の方へツカツカと近寄って来て、
「勇者殿、こちらへ」
と言われて両脇を抱えられるようにして連行され、入り口の右側にある扉を開けて外に連れ出された。
これはアイドルグループの握手会に行って、熱心に自己アピールとアイドルへの熱意をアツく語るが、時間切れで引剥されたヲタの気持ちが判ると言うもの。
それにしても、もう終わりか・・・・
いや、ゲームじゃあるまいし、王様も勇者の謁見ばかりしている訳じゃ無いだろうから、一日三〇人くらいと会うならこんなものか。
「勇者殿、これを」
側近のおっさんにまたもや別の整理券をもらった。
「この番号が書いてあるテーブルの賢者と、今後の抱負を相談して下さい」
側近のおっさんは再び玉座の間へ戻って行った。
「あちらです」
俺を連れ出した兵士が指示する方を見ると、白布の掛かったテーブルがズラリと並び、まるで学生が集団就職相談でもするみたいな風景だった。




