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恋物語  作者: まきまき
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なつとかず よん

暑い夏が過ぎ、受験に向けて勉強浸けの秋と冬が終わり、新しい土地での一也との生活が始まった春を迎え私たちは最近お互いの大学での生活にも二人での生活にも慣れてきた春が過ぎ、私たちが付き合い始めて1年が過ぎ、2年が過ぎ私たちは20歳になった。


卒業式の日に一也に

「大学卒業したら結婚しよう」

とペアリングをプレゼントされて、

「これは私がプロポーズされたときに渡された指輪なのよ」

と一也のお母さんにはダイヤの指輪をプレゼントされて、

「4月からは結婚するんだし同じ部屋で良いよね?」

と言われて私と一也の両親から部屋の鍵を渡された。


大学に入りサークルに入ったり、家庭教師のバイトも始めた。

そうそう、一也はスカウトされて男性ファッション誌の読者モデルを始めた。


最近は同じ部屋で暮らしているけど、お互いの生活が忙しくてすれ違いの日々が多くて、朝や夜に少しだけ会うような…眠るときだけ一緒みたいな生活が続いている。


『撮影で遅くなるから先に寝てていいよ』

一也からのメール。

寂しくないと言ったら嘘になるけど、早く帰ってきてなんて言えないから

『私も今夜はサークルの飲み会だから遅くなるか、友達の所に泊まるから』

とメールを打つ。


「彼氏にメール?」

と佐伯先輩が後ろから声をかけてきた。

「飲み会で遅くなることも連絡しなきゃいけないの?一緒に住んでると面倒だよな」

と先輩は私のスマホを除きこんで言った。

「別に面倒じゃないですよ」

「そう?でもいちいち連絡しないといけないとか俺はちょっと…」

「先輩はいろんな女の子と遊んでるから連絡しづらいですもんね」

と、私がちょっと意地悪な事を言うと

「なっちが彼女になったら他の子となんて絶対遊ばないよ。でもなっちが振り向いてくれないから寂しくて…なっちのせいだろ」

と、先輩はまた訳のわからない事を言っている。

先輩はすごく女の子にモテるけど、私の事が好きだと言って特定の彼女を作らない。

何度彼氏がいるって言っても

「人の気持ちはいつ変わるか分からないから諦めない」

って、いつも笑っている。


「彼氏は本当にいつも仕事なのかな?本当は他の女の子と、遊んでるんじゃないの?読モなんだろ?絶対モテるだろ」


確かに私の知ってる一也はずっとモテてて女の子と遊ぶ事も多かった。

けど、付き合い始めてから

「俺はなつ以外は必要ないから」

と言って女の子たちと遊ぶことは無くなった。

今も女の子と遊びに行くことは意味がないからしないと言ってるし、私もその言葉を信じてる。

…けど、たまに不安になるときも正直ある。

大学に入って別々の学校になり、お互いに知らない世界で生活していて、一也はモデルまで始めた。

大学にも、仕事にも可愛い女の子はたくさんいるはず。

信じてるけど、不安になる。


「何ボーッとしてるの?キスするぞ」

と先輩は顔を近付けてきたので、慌てて顔を避けると

「冗談だよ」

と先輩は笑った。

「あー、また佐伯がなっちに迫ってる!なっちもキスくらいさせてやれよ」

と佐藤先輩が言うと

「バカ。簡単にキスできないからなっちなんだよ」

と佐藤先輩の事を叩いて、

「いいか、みんな俺はここに誓う!卒業までに俺はなっちの恋人になるからな!」

と佐伯先輩は立ち上がって大きな声で言ったけど、サークルの仲間はその台詞は聞きあきたって顔で相手にしていない。

「おい、みんな聞いてるか?俺は…」

「はいはい、佐伯飲み過ぎ。おとなしくしましょうね」

「バカ。飲み過ぎてないよ。俺は本当に…」

「そんな事ばかり言ってるとなっちに嫌われるぞ」

「そんな訳…無いよな?」

と佐伯先輩は私の顔を見たので

「飲み過ぎてますね。お水飲みますか?」

と水の入ったグラスを渡すと佐伯先輩はおとなしく水を飲んだ。

「佐伯はなっち敵わないんだな」

とみんなが笑った。


時間も経ち、私たちは二次会のカラオケに行き終電近くの時間になったので帰る事になった。


『もうすぐ仕事終わる。なつはもう家に帰ってる?』

と一也からメールが来たので、

『まだ家にいないよ。もうすぐ帰るよ』

と返事を打っていると

「夜道危ないし俺送ってやるよ。彼氏に先輩に送ってもらうってメールしておいてよ」

と佐伯先輩は言った。

「別に一人で帰れるし大丈夫ですよ」

と言っていると

「ねぇ、あれってメンズアンノのモデルのカズヤじゃない?」

とサークルの佳子ちゃんが言った。

「本当だ。あれ、隣にいるのってモデルの…」

佳子ちゃんと有紀ちゃんの話を聞いて、二人の見てる方向を見ると…。


仕事だと言っていた一也が高級そうなレストランから綺麗な女の子出てきたところだった。

あまりにも絵になる二人…。


「やっぱりモデルの人達って私たちとは違うね。お似合いの二人だよね」

と佳子ちゃんが言ったとき、店の前に停まっていたタクシーに女の子が乗り込むときに女の子が一也にキスをした。


「ご、ごめんなさい。私一人で帰れますので。お、おつかれさま…でした」

私は泣き出すのを必死に堪えてみんなに挨拶すると走り出した。


一也は今仕事終わったって言っていた。

だって一也は他の子はいらないって言っていた。

だって一也は私の事を愛してるって…私だけだって…。


「なっち!」

佐伯先輩の声が聞こえた。でもこんな顔見られたくない。

「夏樹!」

佐伯先輩は私の腕を掴んで、自分の方を見させると優しく私を抱き締め、

「夏樹、泣くなら俺の胸で泣け。遠慮なんていらないから思いっきり泣け」

と言ってくれた。

私は大声を上げてまるで小さな子供みたいに佐伯先輩の胸で泣いた。


「夏樹、今日は家に帰れるか?」

大声で泣いて泣いて泣き張らした後の私に佐伯先輩は聞いた。

「……」

「もし帰りづらかったら俺んとこ泊まるか?」

と佐伯先輩は言ったので、驚くと

「いや、こんな弱ってるのをいいことに襲うとか考えてないから。ただ、このままお前の事ほったらかして帰るわけも行かないし…」

「本当に何もしませんか?」

「本当だよ。いや、夏樹がしてほしいならいくらでもしてやるけど」

と先輩はいつもみたいに笑った。


『今夜は先輩の家に泊まります』

私は一也にメールをしたら

「こんな時まで連絡か?」

と佐伯先輩は呆れていた。


一也以外の男の人の部屋に入るのは初めてだった。

整頓されたオシャレな部屋。

机の上にはパソコン、壁にはギターにベースギター。

本棚には難しそうな本がたくさん。

先輩の意外な一面が見えたような気がした。


「あんまりジロジロ見られるとエロ本とか見つかりそうで嫌だな」

と佐伯先輩は私が部屋の中を見てるのが恥ずかしいようだった。

「自分から誘っておいてだけど、女の子入れるの初めてでさ。恥ずかしいな」

と佐伯先輩は笑った。

「そうなんですか?意外ですね」

「そんなに女の子が、出入りしてるって思っていたのか?どれだけ女好きだと思われてるんだか…」

と佐伯先輩が言うので

「いや、何かこの部屋を見て先輩の印象が変わったっていうか…。音楽好きなんだなとか、ずいぶん難しそうな本読むんだなとか、知らなかった部分が見えて」

「じや、俺の事好きになってきたんだ」

といつもみたいに笑いながら先輩が言うので

「それは…」

と言葉に困ると

「冗談だよ。あ、俺は下で寝るからなっちはベッドで寝ろよ」

とベッドを指差した。

「私が下で寝ますよ」

と私が言うと

「バカ、お前に寝てもらってその残り香に包まれて明日寝るの楽しみなのにお前が下で寝たら意味ねぇだろ」

と笑った。


ベッドに横になると一也とは違う男の人の匂いがした。

一也、もう寝たかな?

一也、あの女の子とどうゆう関係なのかな?


「夏樹、お前は俺が心底惚れてる女なんだから自分が思うよりいい女だ。もっと自信もて。多分彼氏も何か理由があるんだよ。」

「先輩…」

「で、もしも駄目だった時は俺が胸貸してやるよ」

と先輩は笑ったのと同時にくしゃみをした。

「先輩寒いんじゃない?…何もしないなら一緒に寝ましょう」

と、私は先輩の腕を引っ張った。

「いやいや無理無理。俺、何もしない自信無いもん。今でさえ、ドキドキなのに」

と佐伯先輩はあわてていた。

でも、佐伯先輩の腕はすごく冷たくて…。

「でも私のせいで風邪とかひいて欲しくないし…」

「いや無理無理」

でも、どうしたらいいのか分からない。

「……」

先輩は私にキスをした。

「この先もあるんだよ。無理だろ」

と暗闇の中でもうっすらと見える佐伯先輩は笑いながらも悲しそうな顔をしていた。

「…無理じゃない。私、先輩と…」

と言いかけた時に先輩はまた私にキスをした。
















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