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恋物語  作者: まきまき
11/14

あいあむ

編み物が趣味な高校生ってどう見られるのかな?

暗い?家庭的?地味?


私は冬が大好き。

なぜなら編み物の季節だから。


今年の冬もお父さんにネックウォーマーお母さんに手袋自分用にマフラー編んだ。


「それ、手編み?モフモフで暖かそうだな」

同じクラスの高瀬君が私が首に巻いてるマフラーを触って言った。

「相田さん作ったの?」

「まぁ…」


「スゴいねとかね、俺にも編んでよ」

「え?」

「ダメ?」

高瀬君は笑顔で言った。

イケメンで誰にでも優しくて学年でも断トツ人気のイケメン高瀬君に言われたら断れない…。

だって、釣り合わないのは分かってるけど私も密かに憧れてるから。

「いいけど…」

「マジ?じゃ、よろしくね」

そう言うと高瀬君は教室に入ろうとした。

「あ、あの色とか」

と私が言うと

「相田さんにお任せでいいよ」

と言って高瀬君は友達のところに行った。


お任せと言われても…。

とりあえず、帰りに毛糸見に行って決めようかな?

なんて思ったけど、せっかくなら喜んでもらえるような物を作りたいし…模様は入れた方が良い?それともシンプルな方が良い?

私はその日1日高瀬君に編むマフラーの事ばかり考えていた。


帰り道、行き付けの手芸用品の店に行き毛糸を眺めた。

シンプルに紺やグレーや茶色が良いかな?

でも、高瀬君は明るいイメージだからクリーム色とか明るめの色が良いかな?

とか考えながら眺めていると、紺をベースに緑と青と赤が混ざったとてもキレイな毛糸が目に入った。

これなら、派手すぎないしオシャレだし…高瀬君に似合うはず。

私はその毛糸をかごに入れてレジに行こうとしたら、編み針売り場に佳之子ちゃんを見つけた。


佳之子ちゃんは隣のクラスの女の子。

アイドル並の顔で性格も可愛いし、嫌味な部分もないからみんなから好かれてる。

学校祭のミス&ミスターコンテストで、高瀬君とともに優勝した女の子。


佳之子ちゃんに話しかけようかどうしようか迷っていると佳之子ちゃんも私に気付いたみたいで

「瀬里ちゃん」

と私のところにきた。

「瀬里ちゃん、お願いがあるの。私、マフラー編みたいんだけど編み物したことなくて…毛糸は決まったんだけど何を買えば良いのか分からなくて。瀬里ちゃん選んでくれる?」

と瀬里ちゃんはお願いのポーズをした。

「その毛糸ならこの針がいいと思うよ」

と私が編み針を選んであげた。

「とじ針は要らないの?」

「それはあとで買ってもいいから大丈夫だよ」

「そっかぁ。じゃ、これだけ買えば良いんだ。…その毛糸良い色だね。瀬里ちゃんは何を編むの?」

と私のレジかごを見て言った。

「…マフラーだよ」

と私が言うと

「一緒だね。もしかして瀬里ちゃんもバレンタインに向けて編むの?」

と佳之子ちゃん言ったので、

「違うよ!私はその…頼まれて」

「そうなの?でも好きな人に編むんでしょ?」

「え?いや…」

「大丈夫、誰にも言わないし相手も聞かないから。…私も好きな人に編むんだけど誰に編むのかとか聞かれたくないし」

と佳之子ちゃんは笑った。


会計をして二人で店を出ると佳之子ちゃんに寄り道して行こうと誘われて、ファーストフードのお店に寄った。


そういえば、これまでこんなふうに佳之子ちゃんと二人で話した事無かった。

クラスが違うからって事だけじゃなくて、なかなか接点が無いから話したこと無かった。

話してみると佳之子ちゃんはますます可愛い女の子だった。

以外と不器用らしく、今まで編み物なんて自分には無理だと思いやった事が無かったから、マフラー編むのも本当に作れるか不安だと言っていた。

「どうして編もうと思ったの?」

と私が聞くと

「私の好きな人って幼なじみでずっと兄弟みたいに育って…その人が手編みのマフラー欲しいっ言ってたから…。だから、マフラー編んでバレンタインに渡して告白しようと思って」

と佳之子ちゃんは顔を真っ赤にして言った。

こんな姿を見たら男なら誰でもギュッて抱き締めたくなるんだろうな…女の私でも可愛い過ぎて抱き締めたくなるもん。

「佳之子ちゃんさえ良ければなんだけど…一緒にマフラー編まない?」

と私が言うと

「いいの?」

と佳之子ちゃんは嬉しそうに言った。

「うん。一緒に編んだ方がきっと挫折しないで編めるし一人でやるより楽しいよ」

と私が言うと佳之子ちゃんは

「ありがとう。スゴく嬉しい」

と言った。


次の日から私達は放課後には教室に残って、編み物をした。

「私、瀬里ちゃんがいなかったまだ編み始める事も出来て無かったかも」

と佳之子ちゃんは言った。

「初めは難しいんだよね」

本当に難しい。でも最近馴れてきたのか凄い楽しいんだよね。少しずつでも完成が近付くと思うと楽しい」

と佳之子ちゃんは編みかけのマフラーを広げて嬉しそうに笑い、私のマフラーを見て

「瀬里ちゃんのマフラーカッコいいね。編み目のなんか難しそうだけどポコポコしてていいね」

と言った。

「ねぇ、瀬里ちゃんにマフラー頼んだ人ってきっと瀬里ちゃんの事が好きなんだよ」

と佳之子ちゃんは言った。

「そんな事ないよ」

と私が言うと

「絶対好きだよ。じゃないと頼まないじゃない」

と佳之子ちゃんは言った。

「違うよ。私のマフラー見て羨ましくなったんだって。もし好きだとしてもそれは私じゃなくてマフラー。モコモコのマフラーが好きなんだよ」

と私が言うと

「そうかな?でもさ、瀬里ちゃんはその人の事が好きなんでしょ?だったら渡すときに告白しちゃおうよ」

「いやいや、無理無理」

「いいじゃん。私も脱幼なじみ目指して頑張るから瀬里ちゃんも一緒に頑張ろうよ」

私が高瀬君に告白?

いやいや、無理でしょ?

だいたいあれからマフラーの話をたまにするだけでそれ以外の会話なんてしたことないし、興味があるのはマフラーだけ。

…でもきっとこのチャンスを逃したらずっと告白なんて出来ないし…。

「佳之子ちゃん、ダメもとだけど私告白してみるね」

と言うと

「大丈夫。きっと上手くいくよ。チョコ作りは私の家で一緒にしようね」

と佳之子ちゃんは言った。


バレンタインが近付き、私達のマフラーも完成した。

佳之子ちゃんに連れられてラッピンググッズも買って可愛いラッピングも出来た。


「あとはチョコだね。なんかいよいよ明日だと思うと緊張するね」

と言いながら二人でチョコケーキも作った。


あとは明日のバレンタインを待つだけ。


その夜は緊張して寝れなかった。

マフラー喜んでくれるだろうか?

チョコもらってくれるだろうか?

好きだって言ったら高瀬君はどんな反応するだろうか?

ドキドキする事ばかりが頭に浮かんで寝れなかった。

そういえば、最後まで教えてくれなかったけど、佳之子ちゃんは誰に渡すんだろう?

「瀬里ちゃんの知らない人」

って言っていたけど、あんなに可愛い女の子から貰う男の人ってどんな人なんだろう?


眠れなくてもきちんと朝は来る。

ついに今日だと思うと逆に開き直って緊張はなくなった。

あくびをしながら歩いていると、後ろから佳之子ちゃんがきた。

「瀬里ちゃんおはよう。昨日、緊張して寝れなかったよ」

と言う佳之子ちゃんに

「私も一緒」

と言うとまたあくびをしてしまった。


さすがと言うかやっぱりと言うか高瀬君は休み時間毎に女の子に囲まれていた。

お昼休み前には既に30個以上のチョコをもらったみた。

「はい。相田さん。」

と高瀬君が私の机に小さな包み紙を置いた。

「何?」

と私が不思議がると

「相田さんへの気持ち。マフラーのお礼も兼ねて」

と高瀬君は言った。

「あ、私もマフラー完成したから持ってきたんだけど」

と、私がいいかけると

「高瀬君、ちょっといい?」

と教室の入口から女の子が高瀬君を呼んでいた。

「今日は忙しそうだから明日にでも渡すね」

と私が言うと

「いや、今日貰いたいな。放課後教室で」

と小さな声で言うと女の子の所に行った。


高瀬君がくれた包み紙をカバンにしまっていると、佳之子ちゃんがやってきた。

「瀬里ちゃん、渡せた?」

と聞く佳之子ちゃんに

「放課後、渡すことになったよ」

と言うと

「よかったね」

と佳之子ちゃんは笑った。

「佳之子ちゃんは?」

と私が聞くと

「渡せないかも…。ちょっと無理みたい」

と今度はちょっと悲しそうに笑った。

「…」

「でも大丈夫。明日でも渡せばいいし」

と言って

「瀬里ちゃんは私の分も頑張ってね」

と無理にわらっているような顔をした。


一緒に頑張って作ったマフラー。

今日のために頑張ったのに。

「佳之子ちゃん、無理じゃないよ。せっかく今日のために頑張ったんだもん。渡そうよ。きっと幼なじみさんも今日貰った方が嬉しいよ」

と私が言うと、

「そうだね。もし告白出来なくてもいいからマフラーとチョコは渡すね。ありがとう。瀬里ちゃん」

と佳之子ちゃんは笑った。


放課後、部活帰りに教室に寄ると言った高瀬君を待ちながら私はなんて告白しようか考えていた。

ストレートに好きです?

ずっと見てました?

彼女にして下さい?

私を好きになって下さい?

緊張する…。


と次の瞬間、ドアを開ける音がして、

「ごめん。遅くなった」

と高瀬君が教室に入ってきた。

「!」

高瀬君はまたもやチョコを何個か持っていたんだけど…見覚えのあるラッピングをされた紙袋も、持っていた。

「その袋…佳之子ちゃんの?」

「あ、相田さん佳之子と仲いいの?あいつ俺の幼なじみでさ…」

「そっか…」

私が小さな声で呟くと

「え?何?」

と高瀬君は聞き返してきた。

高瀬くんと佳之子ちゃんは幼なじみだったんだ。

佳之子ちゃんは高瀬君が好きで高瀬君の為に一生懸命マフラー編んでたんだ。

…佳之子ちゃんに勝てるわけないじゃん。

「ごめん。マフラー失敗しちゃって…。でも佳之子ちゃんのマフラーあるから大丈夫だよね。それが言いたかったの。じゃ、私帰るね」

と涙が出そうで慌てて教室を出ようとすると

「ちょっと待ってよ!佳之子のマフラーってなんだよ」

「しらばっくれないでよ。それ、佳之子ちゃんが好きな人を思って一生懸命編んだんだよ」

と私が泣き出してしまうと

「ちょっと落ち着いて」

「私は落ち着いてるよ。私なマフラーは失敗しちゃったんだし…佳之子ちゃんが編んだマフラーの方が」

「何言ってるの?佳之子のマフラーって言うかこの袋は兄貴に渡して欲しいって頼まれたの!」

「兄貴?」

「そう兄貴だよ。兄貴熱だして早退したらインフルエンザでしばらく会えないから渡して欲しいって」

「…」

「あーもう。俺は失敗作でもいいから相田さんのマフラーが欲しいの」

「え?」

「だから…俺は相田さんが編んだマフラーがほしいの。それに俺昼休みに気持ち渡したよね?あれ見て何も思わなかった?」

「昼休み?あれはカバンに…」

と言って私はカバンから包み紙を取りだし開けてみと小さなチョコと一緒に

『好きです。付き合って下さい』

と書いたカードが出てきた。

「俺の気持ち。マフラーだって相田さんだから作って欲しかったんだよ」

と高瀬君は頭をかいた。

私は編み袋からマフラーを包んだ袋とチョコケーキの入った箱を取り出して高瀬君に渡し

「私も高瀬君が好きです」

と言った。


ラッピングからマフラーを出して

「スゲー。やっぱり相田さんと俺の好みは同じだ」

と言って首にまいて

「暖かい。ほら、相田さんも触ってみな」

と私の手を引っ張ったかと思うとギュッと抱き締めて

「相田さんの方がもっと暖かい」

と言った。


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