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司はドアに書かれた数が4桁になってから移動に時間が掛かっていた。

最も催涙ガスに追い付かれる事なく余裕を持って移動は出来ている。

時間が掛かっている1番の理由は素数を見つけても全てのドアに書かれた数を念のため確認し、また道が分岐していないかを確認しながら進んでいるためだ。

案の定、道の分岐はいくつかあり、その度に司はどちらに進むべきかを考えながら進んだ。

最も道を変えた事による違いは単純に目的地へ到達するまでの時間だと予想している。

そのため、司は方角的に中心を目指すドアを探しては進んでいる形だ。

その時、司は背後から物音が聞こえたため、足を止める。

その音の正体が大勢の足音だと気付いたところで司は自らが入ってきたドアに近付く。

同時にドアノブが回ったため、司はドアを蹴った。

ドアは司から見て押して開くようになっていたため、それによりドアが勢い良く開き、ドアの向こうにいた者を吹っ飛ばした。

その影響でドアが開き、司はドアの先にガスマスクを被った者が数人いる事を確認する。

「待て!」

そんな窪田の声が聞こえたが、司はドアを閉めると奥を目指す。

この廊下にあるドアのうち、1つを残して書かれた数は確認した。

その中に素数はなかったため、残りの1つが正解のドアだ。

しかし、背後からドアが開く音が聞こえたところで司は後ろに向けて1発だけ銃を撃った。

その銃弾は途中にあったドアのドアノブに当たる。

それにより罠が発動したようで爆発が起こった。

先程、ドアノブを回す事で罠は発動した。

そのため、大きな衝撃を与える事でも罠は発動するだろうと司は予想していたのである。

司はそうして足止めをしたところで奥のドアを開け、先に進む。

それから素数を求める事なく、司は自分の勘を頼りにドアを選択して開けた。

ドアの先は短い廊下が続いていて、その先に1つだけドアがあった。

司は迷う事なく廊下を進み、ドアを開ける。

「司?」

そこには凛と零次がいた。

どうやらここが目的地らしい。

「情報が流れていたみたいで後ろからイレイザーが来てる」

「ああ、知ってるよ」

零次が不敵に笑みを浮かべた事から司はある推測を持つ。

イレイザーが来た理由は誠二によるものではなく、零次によるものではないかという推測だ。

最もその答えを見つける前に倒れている誠二を見つけ、考えを中断した。

そして視界に零次と誠二のみが入ったところで視界が真っ白になった。


廊下を進み、奥のドアを開けた。

そこには床に座った高野俊之ともう1人男がいた。

「動くな」

咄嗟に男に銃を向けると、男はゆっくりとこちらを向いた。

男の顔に見覚えはない。

「タイムオーバーみたいだね。まあ、しょうがねえかな」

男はそう言うと銃を仕舞い、手を上げる。

「あんたが相手じゃ不利だし、降参するよ」

そこで男の左手首に着けられたミサンガに気付いた。


視界が戻ると同時に司は銃を向けたが、直後に零次から攻撃を受け、銃を落とした。

「何かまずい事を思い出しちゃったみたいだね」

既に零次は銃を取り出し、司に向けていた。

「何? どういう事よ?」

凛は訳がわからないようで驚いた様子だ。

「pHがここに来た時、既に先客がいた。見覚えのない顔だったが、左手首にミサンガを着けていた」

零次が変装を繰り返している事を知っていたからこそ、司は零次のミサンガに注目していた。

その上でpHの記憶を思い出したため、あそこにいたのが零次だと気付けたのだ。

「pHが来る前に……零次はここにいたって事なの? 何のために?」

凛の質問に零次は笑みを浮かべる。

「俺の目的はいつだって金稼ぎだよ。だからシヴァウイルスのデータを手に入れるため、ここに来たんだよ」

「シヴァウイルスのデータを使って金稼ぎなんて……」

「出来るよ。生物兵器を欲しがってるとこなんていくらでもあるでしょ? そこに売るだけで金は手に入るよ」

「そんな事したらテロや戦争が起こるじゃない」

「そうはならねえよ。これが使われるとしたら一部の者だけが所持した時でしょ? 敵対するとこも含めて全部に売っちゃえば、誰も兵器としては使えなくなるよ」

その時、司の背後でドアが開き、イレイザーの者が入ってきた。

その直後、誠二が何か携帯電話を操作している事に司は気付く。

同時に何処からか大きな機械音が聞こえた。

「全員動くな!」

そんな窪田の声が聞こえたが、そこで部屋の中を白いガスが充満した。

一瞬、催涙ガスかと思ったが、このガスはどうやら単に視界を遮るためのもので吸ったところで影響はないようだった。

司はそこでこの場から移動する2つの足音を聞き、即座に凛がいた辺りを目指す。

「凛、いるか?」

「あ、うん!」

「零次と誠二が逃げたようだ。手を引くからついて来い」

司は凛の手を引き、走り出す。

1人で行く事も考えたが、零次と誠二は仲間同士ではないため、別々の方向へ逃げる可能性が高い。

そのため、凛も連れて行く事にした。

司は開けっ放しになっていたドアを抜け、少しだけ晴れた視界の先に階段がある事を確認する。

その階段は天井を貫き、どうやらこの建物の上に続いているようだ。

「何これ?」

「いざという時のために用意した脱出経路だろう」

誠二はこちらの隙を見つけ、用意していた逃げ道を使ったのだ。

そして、元々そんな逃げ道が用意されている事を知っていたのか、零次もその逃げ道を使い、この場から逃げる事にしたのだ。

階段を上り建物の上に出たところで司は周りに目をやる。

案の定、零次と誠二は別の方向に逃げている。

「司は零次を追って」

凛はそう言うと司の返事を待つ事なく誠二の方へ行ってしまった。

そのため、司は零次を追い掛ける事にした。

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