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健斗は銃声を聞いてからしばらくの間、大学の方を探るように見ていた。

「何でしょうかね?」

「わからないが、気を付けた方が良さそうだ」

健斗と窪田の他にもイレイザーの者は4人程ここに来ている。

その理由は加代子を殺害した犯人が恐らく同じ大学の学生であると考えたからだ。

さらに司がそれを確かめるためにここへ来る可能性が高いとも考えた。

全て推測だったものの、銃声が何度か聞こえている事を考えれば来て正解だったようだ。

「そろそろ自分達も入りますか?」

「そうだな」

既に他の者は中へ入っている。

健斗は窪田の指示で今まで待機していた形だ。

窪田は司に撃たれ、右腕を怪我している。

銃は左手でも右手同様に撃てると言っていたが、それでも心配だ。

「そういえば、屋上で誰かが倒れているのかもしれないですね」

健斗は先程から何度か屋上に目をやり、その度に動かない人影に気付いていた。

その人影は横になっていたため、単に誰かが寝ているだけかと思ったが、それにしては不審だと思ったのだ。

「だったら屋上に上がってみよう」

その時、他の者から連絡が入り、窪田が出た。

「わかった、気を付ける」

窪田はそれだけ言うと電話を切った。

「仮面を被った者が攻撃を仕掛けてきているらしい」

「それって……」

「ガーディアンを襲撃したという死神の可能性が高いな」

ガーディアンの者が死神に殺されたという話はイレイザーにも伝わっている。

「死神の相手はするな」

「言われなくてもしませんよ」

健斗も死神の噂は散々聞いている。

とても自分の手に負える相手ではない事も知っている。

そのため、死神が近くにいるという事実だけでも健斗にとっては恐怖だった。

「でも、何で死神までいるんですか?」

「わからないが、もしかしたら神野司を標的にしてるのかもしれないな」

健斗と窪田はそのまま屋上を目指す。

そして、屋上で健斗達は正人の死体を見つけた。

「こいつが小泉加代子を殺した犯人かもしれないな」

そこで健斗は外に目をやる。

そして車に乗ってやってきた人物に気付いた。

「あれは……」

「凛だな。司と一緒に行動してないのか?」

その時、足音が聞こえ健斗は振り返る。

そこには司がいた。

窪田は即座に銃を向けたが、その前に司は距離を詰めると窪田の銃を弾き飛ばした。

同時に健斗も司と距離を詰め、正拳突きを繰り出す。

司が体を横にするようにして、その攻撃は簡単に避けられてしまったが、そのまま健斗は司の胸倉を掴むと背負い投げを仕掛ける。

しかし、そこで違和感を覚えた。

司が明らかに軽過ぎるのだ。

そして司が投げられる直前に健斗を飛び越えようと自ら地面を蹴っていた事に気付いた。

司は健斗の投げを利用して位置を変えると共に体を捻らせ、向きも優位な状態にしていた。

一方、健斗は司を投げようとした事で体勢を崩していた。

それでも健斗は司よりも先に蹴りを繰り出した。

しかし、司が脚を軽く上げ、その蹴りは意図も容易く防がれてしまった。

それだけでなく、次の瞬間にはガードをしていたはずの司からハイキックを繰り出されていた。

健斗は咄嗟に腕で防いだが、結局抑え切れずに体ごと吹っ飛ばされた。

それから司は窪田が落とした銃を拾い、構えた。

「シヴァウイルスのデータが残されている可能性が高いです」

司は無表情でそう言った。

「あの時から1年後の7月7日……つまり明日、シヴァウイルスのデータを回収出来ると高野俊之が言っていました」

「本当か?」

窪田は驚いた様子を見せている。

当然、健斗も驚きを隠せなかった。

「pHの記憶が確かであれば本当だと思います」

「でも、どうしてそれを俺に話すんだ?」

「pHの記憶からあなたは信頼出来ると思ったからです」

司はそう言うと金網に向かって銃を数発撃つ。

それから金網に突進するように自らの体をぶつけると同時に金網を掴んだ。

それにより屋上の角の部分から金網が外れ、直後に隣の金網も土台から外れた。

その後、司と金網自体の重さにより端から順番に金網が土台から外れていき、それによって金網が下に垂れ下がる形になっていった。

金網がある程度の高さまで下がったところで司は飛び下りた。

そんな司を追う事等出来る訳もなく、健斗はただ呆然とそれを見ていた。

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