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佐藤は刑事として加代子の遺体が見つかった現場に来ていた。

今、ガーディアンは司の確保と同等といえる程の優先度で鈴木を殺した死神の確保も指示されている。

しかし、遺体の様子から加代子を殺した犯人が死神じゃない事はすぐわかった。

ただし、誰が犯人かという点についてはまるで見当が付かなかった。

「佐藤さん、被害者の恋人である神野司が数日前から行方不明だそうです」

「容疑者として挙げておけ」

「わかりました」

部下に指示をしたものの、司の仕業とも考えにくい。

コンビニでアルバイトをしていたという2人にも話を聞いたが、1人が同じ大学だというぐらいで特に気になる情報はなかった。

また、このコンビニでは数日前にも強盗があったとの事だが、犯人が捕まっているためそれも関係ないはずだ。

「たく……」

思わず、佐藤は溜め息を吐いた。

ガーディアンから逃げた後、恐らく司と一緒にいたはずの加代子が殺されたという事実そのものが佐藤を悩ませている状態だ。

危険な状況に置かれている司の近くにいた加代子が巻き添えを食らう事等、十分ありえる事ではある。

しかし、そう考えると首を絞めただけという殺害方法が不自然だ。

死神であれば、もっと酷い殺し方をしているはずだ。

イレイザーであれば、銃を使う等してもっと簡単な殺害方法を取っている。

首を絞めるという殺害方法を用いる者として、佐藤の中には何の候補もなかった。

「後は任せた。何かあったら連絡してくれ」

佐藤は加代子殺害の犯人を追っても死神や司には辿り着けないと考え、ここを後にする事にし、車に乗った。

そしてまた佐藤は溜め息を吐く。

今は完全に行き詰ってしまっている。

深夜、司達が隠れ家として使っていたと思われる場所へ行ったが、司達の姿は既になかった。

詳しく探せば手掛かりもあったかもしれないが、イレイザーと鉢合わせになる危険があったため、すぐに立ち去る必要もあり、何の進展も得られないままそこを後にしたのだ。

現にあの場を後にする際、イレイザーの窪田がいたのを見ているため、その判断が正しかったと佐藤は考えている。

ふと佐藤は鈴木の事を思い出した。

恋愛感情こそなかったが、鈴木は頼りになる相棒だった。

それは表である刑事としても、裏であるガーディアンの仲間としてもだ。

いつも一緒に行動し、時には命を助けられ、反対に助けた事もある。

そうして強い信頼関係をお互いに持っていた。

それにも関わらず、鈴木はあんなにもあっさりと殺されてしまったのだ。

そこで佐藤はハンドルを思い切り叩き、クラクションが鳴った。

やり場のない怒りをどうにも出来ず、佐藤は暴れ出しそうだった。

しかし、そんな事をしても意味はないと考え、佐藤は必死に気持ちを落ち着ける。

ガーディアンの目的はその名の通り、守る事だ。

この国は戦争を行わないと決めた国だ。

とはいえ、周りはそうじゃない。

もしも戦争が起これば、一方的に攻撃を受けるだけになる可能性がある。

そんな時、そうした脅威に対抗する兵器は必要だ。

それも国が持つ兵器ではない。

国が全く認識していない非公式の兵器が必要なのだ。

しかし、佐藤の中で今はそんなガーディアンの目的も薄れていた。

脅威が現れた時はイレイザーと同じようにそれを排除するというのもガーディアンの思想だ。

佐藤にとって死神はそうした脅威の1つだ。

次に見つけた時は必ず殺さなければならない。

そんな誓いを胸に込め、佐藤は大きく深呼吸をした。

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