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子供達と遊んでいた麗美だったが、さすがに動き回るのは疲れてしまい、途中からはほとんど休んでばかりだった。
麗美はそれなりに運動が出来るといった程度の身体能力を持っている。
それでも子供達を相手にするとなると、やはり敵わなかった。
そんな持久力が何処にあるのかと疑問に思える程、子供達はいつまでも走り回っていられる。
麗美は自分もこんな風に走り回っていたのだろうと思い返しつつ、冗談混じりに年を取ってしまったと思っていた。
「あの……?」
その時、勉が不安げな様子でやって来た。
「来てくれたんだー?」
今日、ここにいる事を勉に話し、もしも時間があったら来て欲しいとお願いしていた。
「バイトなのに寝てなくて大丈夫なんですか?」
今夜は勉と一緒に22時から翌日の6時まで深夜のバイトに入る予定だ。
勉がこんな心配をするのも納得出来る。
「終わってから少し寝れば十分だよ。それに勉君だって大学あるのに大丈夫なのかなー?」
「明日は大学が午後からなので……」
「お兄ちゃん、誰?」
「もしかして、お姉ちゃんの彼氏?」
子供達からそんな事を言われ、勉は顔を赤くする。
「え、いや、違うよ!」
「そんな風にはっきりと否定されると寂しいなー」
「……え?」
麗美がからかうと勉は困った表情を見せる。
その様子を見て麗美は笑った。
「この人は勉君って言って……もしかしたら私の恋人になるかもしれない人だよー」
「えぇ!?」
勉が驚いた様子を見せ、麗美はまた笑ってしまった。
「お兄ちゃん、お姉ちゃんの事が好きなの?」
「何処で会ったの?」
「えっと……」
子供達から質問を受け、勉はますます困っている様子だ。
「ほら、せっかくだからみんなで遊ぼうよー」
麗美はそう言うと勉も巻き込む形でまた追いかけっこを始めた。
しかし、勉は麗美よりも運動が苦手なようで追いかけっこを始めてから少ししてもうばててしまった。
「お兄ちゃん、もっと遊ぼうよー」
「ああ、ごめん……」
勉はそう言ったものの、息が上がってしまい立ち上がれない様子だ。
「勉君、そんなんじゃ私の事、捕まえられないよー」
「え?」
「冗談。1度で良いから言ってみたい台詞だったの」
小悪魔のような真似をするのが楽しく、麗美はまた笑った。
「麗美ちゃん?」
「あ、はい?」
その時、職員から声を掛けられ、麗美は返事をする。
「さっき話してた前にここで働いていた人の件なんですけど、さっき連絡してみたら明日の夕方なら時間取れるみたいなんです。どうしますか?」
「あ、だったら会ってみたいです!」
「じゃあ、伝えておきますね」
手掛かりになるものが見つかるかどうかはわからないものの、何かしらかの進展があるだろうと考え、麗美は嬉しくなった。
「麗美さん、何かあったんですか?」
「ここで昔働いてた人に会えるみたいなの」
「へえ……」
勉は麗美の目的等を知らないため、疑問を持っているような反応だ。
そのため、麗美はバイトの空き時間にでも話をしようと思った。