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加代子は調子が落ち着いた司と共に研究室で残された資料等を確認する事にした。

ここでリライトが出来ない事は確定しているものの、何か手掛かりがある可能性があるためだ。

とはいえ、パソコンも破壊されているものがほとんどで紙として残された資料となると僅かしかない。

それでも何もないよりかはマシだと考えた形だ。

「何か見つかりそう?」

凛と零次は資料に書かれた内容がわからないからと整理を手伝ってくれている。

「少し時間は掛かると思いますけど、リライトについては私もあまり知らないので情報は集めたいんです」

そこで零次は携帯電話を取り出し、何かを確認する。

「俺、ちょっと出掛けるね」

「え?」

「そのままここには来ねえで隠れ家に戻る予定だから」

零次の言葉に凛は驚いた様子を見せる。

「出掛けるって何処に行くのよ?」

「デートに決まってるじゃん」

零次はそう言うと笑う。

「こんな時に何言ってるの?」

「代わりに凛ちゃんが付き合ってくれるなら行かねえけど?」

凛は零次の言葉に何も言わず、睨んでいる。

そんな凛の様子に対して、零次はわざとらしく溜め息を吐く。

「それじゃ行ってくるね」

零次はそう言うと行ってしまった。

「あの人、味方なんだよね?」

「一緒に行動してるけど敵か味方かはわからない」

司の言葉に加代子は少しだけ不安になってしまった。

しかし、零次と会ったばかりではあるものの、敵という事はないだろうと何となく感じている。

その理由を聞かれれば困ってしまうが、単純に悪い人には見えないのだ。

「こっちもある程度資料をまとめたら戻ろう。詳細な確認は戻ってからで十分だろ?」

「うん、そうだね」

「俺はここ以外に何かないか探してくる」

「うん、わかった」

「私は念のためイレイザーとガーディアンの動きを追ってみるわね」

司と凛がそれぞれ出て行き、この部屋に残ったのは加代子だけになった。

既にある程度は探し尽くしたものの、加代子はそこにあった机の下等も見る事にした。

ここは荒らされているため、何かの拍子に陰へ行ってしまっている可能性もあると考えたためだ。

そして、加代子は机の下に落ちていた携帯電話に気付き、手を伸ばすと手に取った。

当然、電源は入っていないが、壊されてはいないため充電すれば中を確認出来そうだ。

加代子はそう考えると携帯電話を仕舞った。

そして司や凛がすぐには戻ってこないだろうと予想すると1枚の資料を手に取った。

リライトはその人が持つ全ての記憶を覚え直すという事ではなく、特定の記憶のみを覚え直すもの。

そこにはそう書かれていた。

確かに全ての記憶を覚え直した場合、せっかく思い出した特定の記憶が他の記憶に埋もれてしまい、意味がなくなると考えられる。

しかし、それは司がpHの記憶を思い出すためにpHの記憶を特定しなければいけないという事を表している。

特定の記憶のみをデータとして保存する方法も同様だが、一部の記憶のみを特定するにはそれを記憶した日時や場所等、その記憶を特定するユニークな情報が必要になる。

しかし、司が持つpHの記憶はそれを持った経緯も通常と異なるため、普通の手順で特定出来るとはとても思えない。

つまり、もしも機械が壊されていなかったとしてもリライトは出来なかった可能性が高いのだ。

それは別の場所でリライトをしようとしても同じ事だ。

リライトをするために必要最低限の情報を集めなければならないのだ。

しかし、加代子は他の方法があるかもしれないと考え、また他の資料を探した。

いつも司に助けてもらってばかりの自分が反対に司を助けられるかもしれない。

それは加代子がずっとしたかった事だ。

銃等が普通に登場する世界で加代子に出来る事はほとんどない。

むしろ誘拐されてしまう等足を引っ張っている状態だ。

そんな加代子に出来る事があるかもしれないのだ。

加代子はそうした思いを胸に決して諦めはしないと誓った。

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