表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/77

29

鈴木は入ってくる情報を整理しては司達を捜しているが、手掛かりが全く見つからず、焦りを感じていた。

最もガーディアンが持つ技術を駆使すれば、情報自体はたくさん入ってきている。

問題はそれらの信憑性が全くないという事だ。

「どうだ?」

佐藤が声を掛けてきたが、鈴木は溜め息を吐く。

イレイザーと異なり、ガーディアンの者は表と裏を使い分けている者が多い。

表で佐藤は刑事であり、鈴木は刑事の捜査に協力する探偵だ。

今は捜査をしている最中という事で、車の中で待機しながら何か手掛かりを探しているところだ。

「エースの存在は厄介だな」

昨夜、加代子を奪回された際に現れた人物。

クライムプランナーのエースといえば、裏の世界で知らない者はほとんどいないと言える程の有名人だ。

犯罪の計画を立てるだけでなく自らも実行犯の1人として協力するという事が他のクライムプランナーと違う部分だと言われているが、彼はそれだけじゃない。

高いハッキング技術とそれを生かした情報収集や情報操作、さらには身体能力も高く接近戦では彼と互角に渡り合える者はいないと言われている。

それに加え変装の技術まで持ち合わせている等、とにかく出来る事がとても多い。

そうした数々の優れた能力から彼をクライムプランナーとは評価しない者もいる程だ。

そんな人物が神野司に味方している等、とても厄介な事だ。

「何だあいつは?」

その時、佐藤がそんな事を言ったため、鈴木は顔を上げる。

そこで車の前に仮面を被った人物がいる事に気付いた。

何者なのかわからず、少しの間眺めていたが、そこでその人物が銃を向けてきたため、鈴木は咄嗟に体を伏せた。

同時に銃声が聞こえ、フロントガラスが割れる。

「何なんだ!?」

佐藤も銃弾を避けるために伏せている。

そこで銃声が止み、鈴木は顔を上げる。

仮面を被った人物は背を向けて何処かへ逃げようとしていた。

その後ろ姿でその人物が男のようだと鈴木は判断した。

「追い掛けるぞ!」

佐藤は車を降りると男を追い掛ける。

それに続いて鈴木も車を降りた。

男の目的は謎だ。

ガーディアンに入っていれば、イレイザーを始めとした敵対する者からの攻撃を受ける事はよくある。

しかし、こんな唐突に襲撃を受ける事は珍しい。

そこで男が脇道に入り、2人も後に続く。

その時、佐藤が突然転んだ。

「トラップか?」

そこには粘着性のある紐が張られていたようで佐藤の足にそれが絡まっていた。

「大丈夫?」

「単なる子供騙しだ。先に行け」

佐藤が足に絡まった紐を解いている間に鈴木は先に進んだ。

しかし、曲がり角を曲がったところで鈴木は男を見失ってしまった。

鈴木は慌てて辺りを見回す。

そして物陰に潜んでいたらしい男の姿を確認した時には男との距離がほとんどない状態だった。

男がナイフを振り、鈴木は咄嗟にそれをかわそうとしたが、かわし切れなかった。

「鈴木!」

追い付いたらしい佐藤の声が聞こえたが、鈴木はそこで力が抜けてしまい倒れた。

「私は死神です。ガーディアンに宣戦布告します」

そんな声の後、走り去る足音が聞こえた。

「鈴木!」

佐藤が駆け寄り、自分の顔を見ていた。

何故自分が死ぬ事になるのか、それはわからない。

しかし、ガーディアンに入った時から自分が死ぬ時は突然で呆気ないものなのだろうと何となく思っていた。

鈴木はそのまま目を閉じると深い眠りに就いた。


それからガーディアンの間で男の抹殺命令が出るまで1時間も掛からなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ