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凛達が大学に到着した頃には昼になっていた。

予定ではもっと早く到着する予定だったが、零次の指示でイレイザーやガーディアンに見つからないよう迂回したため、遅くなった形だ。

「実験で使用したデータは研究室に全て残っている。多分、加代子と正人がいるから俺が1人で行って簡単に状況を説明する」

司はわかり易く状況を説明するだけでなく、自らが取るべき行動も提案してくれた。

それは、凛や零次が一緒では不審に思われる危険もあるため、司が1人でデータを取りに行くというものだ。

凛はここに長居する事で危険を呼ぶ可能性があると考えているため、司の提案に賛成だった。

「だったら、お願いするわね」

「それじゃ待ってるのもつまらねえし、俺は別行動を取るよ」

「え?」

零次の言葉に凛は驚きを隠せなかった。

「別行動って何するつもりよ?」

「女子大生と接する機会なんて少ねえしナンパでもしてくるよ」

「それ、本気で言ってるの? 早くここを出て……」

「30分後にここ集合とかで良いよね? それじゃまた」

凛の話も聞かず、零次は軽く手を振った後、足早に行ってしまった。

「……何なのよ?」

零次の行動に凛は呆れてしまった。

「凛、さっき話した通り、俺は1人で行くから零次を追ってくれないか?」

「え?」

「零次は信用出来ない。何か企んでいる可能性もある」

凛も司の意見に同感だった。

「わかった。零次が言ってた通り、30分後にここ集合で良いわね?」

「ああ、構わない」

既に零次の姿は遠くなっている。

そのため、凛は足早に移動した。

今のところ、凛がついて来ている事に零次が気付いた様子はない。

もし気付かれればまかれてしまう可能性もあるため、凛は一定の距離を保ちながらついて行く。

その時、零次が廊下を曲がり、姿が見えなくなったため、凛はまた足を早める。

しかし、零次が曲がった場所まで行き、凛は足を止める。

「ついて来られるとナンパしにくいから嫌なんだけど」

零次は凛の尾行に気付いていたようで待ち構えていたのだ。

「それとも凛ちゃんがデートしてくれるのかな?」

「あなたは何が目的なの?」

凛が質問をしてから少しして零次は表情を変える。

「さっき言ったでしょ? 金だよ」

「じゃあ、金のためなら私達を組織に売る事もあるって事?」

「いや、今回それはねえかな」

「どうして?」

零次はニヤリと笑ってみせた。

「あんたらに味方した方が稼げるって知ってるからだよ」

「え?」

「司からの報酬、一千万ぐらいは固いと思ってるし、他にも当てはあるしね」

「他の当てって何よ?」

「それは企業秘密だよ」

零次は何か隠しているという事をあえて示している。

その事が零次に対する凛の信用をさらに下げた。

凛は少しだけ考えた後、別の方向で探りを入れる事にした。

「じゃあガーディアンの知識を持ってるのは何で?」

「別に俺が持ってる知識は凛ちゃんと同じ程度だよ。国を守るために色んな兵器……具体的には銃とか爆弾とか、大きいものだと装甲車なんかを所持してるって事は誰でも知ってるでしょ?」

「ガーディアンの動きを掴んでるのはあなたがガーディアンに所属してるからじゃないの?」

零次は突然笑い出す。

「鎌を掛けてるつもりかな? 言ってなかったけど、イレイザーの情報だって俺は手に入れてるよ?」

「え?」

「別に組織に入らなくたって組織の情報は手に入れられるしね」

凛は零次が何を企んでいるのか全くわからず、そこで黙ってしまった。

零次は相変わらず、そんな凛に笑顔を向けている。

「まあ、俺は足立凛ちゃんの味方だからそんな風に疑ったりしないでよ」

「だからそんな風に呼ばないでって……」

そこで凛は違和感を覚える。

まず、零次がフルネームで凛を呼んだ理由がわからなかったが、それからすぐに別の疑問に繋がった。

それは零次が凛の姓を知っている理由だ。

司と零次には凛としか名乗っていないため、足立という姓は知らないはずだ。

凛は少しだけ考え、零次がフルネームで自分を呼んだ理由に気付く。

零次は凛の事について調べ、何か情報を得ている。

そしてそれを司に言わない事を条件に、自分を詮索するなと伝えているのだ。

「それじゃまたね」

凛が考えている間に零次は足早に行ってしまった。

凛は慌てて追い掛けたが、気付いた時には姿を見失っていた。

それでも零次を捜そうと、凛は大学の中を移動する事にした。

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