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8. 賭け

「あは、あはははは……」

「おい真千佳! しっかりしろ、気を持て!!」


 森田拓也(男子20番)はなるべく小声で榎並真千佳(女子03番)を正気に戻そうとした。

 するとそれが実ったのか、口ぶりほんの少し戻ったような気がした。


「真千佳! しっかりして!!」


 横で錦織千尋(女子16番)も榎並の心配をしていた。

 的場日向(女子20番)は相変わらず泣き続けている。


「……見られてる」

「え?」

「目に見張られている。わたしたち……」


 森田は榎並が突然口走った事を理解するのにそう時間は要らなかった。

 おそらく榎並は直感で感じたのだ。

 まだあの怪物が俺らを狙っている……

 森田はそう決めつけた。


「……」


 榎並の言葉に錦織は黙り込んだ。

 おそらく恐怖からだろう。

 無理もない。あの榎本亮(男子03番)を喰らった怪物が自分たちを狙ってるとすれば――


 ガサガサ……


 前方の草むらから草をかき分ける音がした。

 ……畜生、きやがった。


「そっそんな、うそでしょ……」


 錦織がへたれこんだ。的場は相変わらず泣いている。

 この状況に気づいているのかどうかは判断しづらかった。


「お前ら……屈んどけ」


 森田は先ほど奇襲に失敗したナイフをもって草むらに向かって構えた。

 このナイフはあのバスでの揺れのときに偶然拾ったものだった。

 その後の記憶はあやふやで気がついたらこんなとこにいた。

 おそらくこのナイフはあの不良グループ――和合公平(男子23番)の一派のうちの誰かのものだろうがそんなことは今はどうでもよかった。


 ザサザサザサ……


 さっきより格段に近づいてきている。

 森田は何を思ったのか、音のする茂みの中に向かって思いっ切りナイフを投げた。

 さっきの奇襲のこともあり、一か八かの奇妙な賭けに出たのだ。


「ぎゃあっ」


 それに答えたのか、森田が投げたナイフには確かな手ごたえがあった。

 その瞬間、茂みの中から何かがドサリと身を崩した。

 それは左胸を抑えたまま昏倒しピクリとも動かなくなった。

 森田は賭けにでた自分を呪った。

 投げたナイフが命中したその先は――あのハーレム男、宮島和幸(男子19番)のグループの少女のひとり、曽根井樹(女子11番)だった。


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