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11. 着地

 ガタガタガタガタッ

 ものすごい勢いでバスの中は揺れ始めた。

 まだ金網の中に残っていた荷物がバサバサ落ちてくる。

 バスの中にいた7人も困惑する。


「なっなんだなんだなんだ!?」


 西島圭一(男子15番)が叫んだ。

 バスは前方の運転席を下にして、まるで滑り台のように傾いた。

 その角度の大きさで運転席に大量の荷物やら空き缶が集まった。

 その場所にいた西島と佐藤昌平(男子08番)は滑ってくる荷物を蹴りつつ、浜島達郎(男子17番)たちがいる最後部座席へと移動しようとした。

 だがそれは無駄に終わった。

 運転席部分が突然パックリとひらき、あの――浜島が目にしたあの何にも比喩できない怪物があの3つの頭を突っ込んできた。

 佐藤と西島は悲鳴を上げた。

 その瞬間、頭のうちのひとつが西島の足を捕らえた。

 西島はなすすべもなく、運転席部分から外へと吸い込まれていった。


「うわァアアアア!!」


 その光景を見た佐藤は必死の形相で浜島たちのいる後頭部座席へ上ってきた。

 その瞬間、ものすごい衝撃がバスを襲った。

 ただでさえ傾いてアンバランス状態のバスがここまで衝撃を受ければ耐えられるはずがない。

 6人を乗せたバスは運転席を下にして垂直落下した。


「きゃァアアアア!!」

「うぎゃァアアアア!!」


 ズドンッ


 鈍い音と共に落下したバスがようやく地面に横倒しになった。

 さらにそれだけではなく、バスの席と席の間が狭まっていった。

 怪物が圧力をかけてバスを潰しているのだ。

 その圧力に耐え切れず、まだ割れていなかった窓もすべて粉々に砕け散った。

 その砕け散った窓からあの怪物がグロテスクな触手を突っ込んできた。

 その触手が捕らえたのは木村が抱きかかえている藤原蛍だった。


「いやァ――!!」

「蛍――!!」


 木村の必死の抵抗も空しく、藤原蛍は触手と共に外へと吸い込まれていった。

 浜島はこの光景を見て自分の目の前で同じように触手に連れて行かれた新名朋江(女子15番)を思い出した。


「畜生!!」


 木村が蛍を追いかけて、その蛍が吸い込まれた穴に飛び込んだ。


「おっおい! よせ、木村!!」


 浜島の怒号は木村の耳にも間違いなく届いたはずだが、木村はそのまま蛍を追いかけ、穴の中へと消えていった。

 その穴の向こうでは、耳を追いたくなる悲鳴が聞こえた。


【残り41人】

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