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入れ替わって知ったお互いの真実。殿下、元さやはありません! 公爵様がいますので  作者: ミカン♬


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5 レオン&セリーナ

 今、目の前にいる二人の顔。


 それが、きっと本当の顔なのだろう。


 口元が歪んで。

 醜く、ニヤついている。


 私が何か言う前に、

 ポーラが私の前に立ちはだかった。


「ここへの立ち入りは、旦那様から禁止されているはずです!」


 だけど。


 レオンは躊躇なく、ポーラを蹴り倒した。


「引っ込んでろ!」


 鈍い音がして、ポーラが床に倒れる。


「よせ!」


 体を起こした瞬間、セリーナの指が私の顎を持ち上げた。


 冷たい指先。


「殿下は気の毒だわ~。お前との婚約を嫌って自害しようとしたのよ」


 胸がざわつく。


 レオンが鼻で笑った。


「ふん、これで殿下との婚約は解消されるな」


 ――私がその殿下だと知らないで、いきなりこれだ。


 怒りが込み上げてくる。


「殿下は事故で落ちたのだ。知りもしないで、いい加減な事を言うな!」


 言い返した途端、


 パシン、と音がした。


 頬が熱くなる。

 セリーナに殴られた。


 長い間、私の中で輝いていた理想の像が――

 その一撃で、粉々に砕け散った。


「生意気ね! 無能のくせに」


「違う! 王子妃に向かって不敬だ!」


 言い返すと、セリーナの目が吊り上がる。


「エリック殿下はね、私を愛しているの。お前なんか一生愛されないわ!」


 もう一発、頬を打たれた。


 視界が揺れて、

 痛くて、涙がにじむ。


 ――ああ。


 アーシャをずっと虐めていたという話。

 本当だったのか。


 なんて恐ろしい女だ。


 レオンが私を見下ろした。


「今日はどうしたんだ? 生意気が過ぎるぞ」


 次の瞬間、髪を掴まれた。


 激痛が走る。


「っ……!」


 こいつを、私は親友だと思っていたのか。

 情けない。


 ポーラが必死に叫ぶ。


「お止め下さい。お嬢様は病気なんです!」


「それがどうした!」


 レオンは私の髪を掴んだまま、乱暴に揺さぶった。


「痛たっ、たたたっ……レオン、やめろ!」


 ――こいつ、後で殺す!

 本気でそう思った。


 いったい、これはどういうことだ。

 誰も来ない。


 ポーラ以外、使用人は誰も。

 警護もいるはずなのに。


 どうして来ない?


 セリーナが笑う。


「王家には絶対嫁がせないわ! 私の上に行けると思ったら大間違いよ!」


 ああ、そうか。


 それが本音か。


「この卑しい女め。処刑してやる。覚えていろ!」


「何ですって!」


 怒り狂ったセリーナは、花瓶から花束を引き抜いた。


 そして――

 それで、私を何度も殴りつけた。


 無力な私は、されるがままだ。


 ベッドに花びらが、ちぎれて散乱した。


 セリーナは最後に、

 花瓶の水を、頭からぶちまけた。


 冷たい水。

 全身、びしょ濡れだ。


 その時になって、のんびりと護衛が現れた。


「そろそろお帰りいただかないと、旦那様に叱られます」


 金を握らされて、二人を通したのか?

 ――絶対許さない!


「ゲホッ……ゲホッ……」


 咳が止まらない。

 胸が痛い。


 セリーナは、吐き捨てるように言った。


「肺炎で死ねば良かったのよ」


 レオンも続く。


「はっ! 生まれたのが間違いだ。亡くなった母が哀れだ。こいつなんか産んで、命を落とすなんて」


 ……なるほど。

 母を失ったことを、レオンはアーシャのせいにしているのか。


 馬鹿が!

 アーシャに罪なんてないだろう。


 ポーラが急いでタオルを持ってきて、私を拭いてくれる。


「旦那様に報告しますよ!」


 ポーラの叫びに、二人は笑った。


「ふふ、お父様にまた叱責されるわね」


「謝れば終わりだ、ははは」


 護衛に促されて、笑いながら二人は去った。



「大丈夫ですか? あの二人、今日は早く帰って良かったですね」


 思わずポーラを見た。


 ――早く帰って良かった?


 じゃあ、いつも、

 アーシャは、どんな目に遭わされていたんだ。


「護衛はクビにして、交代させろ!」


「何度も交代したんですけど……みんなセリーナ様達には逆らえなくて」


 それだと、護衛の意味がないではないか!


「旦那様も、あのお二人には甘いから……暇つぶしに時々、虐めに来るのですよ」


 ブツブツ言いながら、ポーラは着替えさせてくれる。


 大した罰も受けないから、あいつ等、好き勝手しているのだな。

 虐めなどと、いい年をした大人が!


「殿下のご友人なだけのこと、ございますわね。最低!」


 その言葉、

 今日一番、私の胸に刺さった。


 ポーラお前、まさか……

 私が王子だと分かってて、侮辱してないか?



読んでいただいて、ありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
ポーラ良い~!続きが楽しみです。
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