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四人でいることが、日常だった ――名前のない楽園――  作者: いもたにし
第四章 汚された盤面と、それを拭う冷たい手
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第四章・エピローグ

――side. ???――


放課後の生徒会室。

窓から差し込む秋の夕暮れが、長机に山積みになった書類をオレンジ色に染め上げていた。

束の一番上に置かれているのは、一カ月後に迫った文化祭の全体企画書だ。


「……実に見事な手際だった。まさか、あの頭の固い嵐田と、ネチネチうるさい高良田を、あんな形で一気に黙らせるとは」


私は窓辺に腰掛け、校門へと向かう生徒たちの群れを見下ろしながら、ふふっと一人で笑みをこぼした。

脳裏に浮かぶのは、今日の臨時全校集会。壇上で無様に頭を下げる教師たちと、それを無表情で見上げていた四人の姿だ。


一般の生徒たちは「あっけなく終わった」としか思っていないだろうが、生徒会長として教師たちの裏の顔をある程度把握していた私には、あの裏で何が起きたのか、おおよその見当はついている。


「やっぱり、凉ちゃんは素晴らしい。あの張り紙騒動が動き始める前に収束させるとはね。昔から頭の回転が速くて、いざという時の度胸もある。……あの三人の入れ知恵もあったんだろうがな」


窓ガラスに映る自分の顔が、ひどく熱っぽく、嬉しそうに歪んでいるのがわかる。

井神凉。私の愛しい従弟。


昔はあんなに私に懐いて、「ねえちゃん、ねえちゃん」と私の後ろをくっついて歩いていたのに。

いつの間にか、あの三人の女の子たちに囲まれて、誰も踏み込めない"城"に引きこもってしまった。


「寂しいじゃないか、凉ちゃん。……私を置いてけぼりにして、自分たちだけであんな世界を作ってしまうなんて」


私はデスクに戻り、文化祭の各クラス実行委員名簿の束を手に取った。

生徒会長として、私が全校生徒を巻き込んで主導する大仕事は、十二月の選挙を前に控えたこの文化祭が最後になる。


私は名簿の束をめくり、二年次のあるクラスのページで指を止めた。

そこには、見慣れた彼と、三人のうちの一人の名前が印字されている。


「一カ月後の文化祭。私の最後の晴れ舞台には、やっぱり凉ちゃんの力が必要不可欠だ。……さあ、ねえちゃんと、また一緒に遊ぼうじゃないか」


私は名簿の『井神凉』の文字を指先で愛おしそうになぞりながら、甘く、歪みに満ちた声を響かせた。

第四章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

第五章についてですが、少しお時間をいただき、近日中に公開予定です。

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