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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第二章~アルヴェリオン共和国編~

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【第83話】新たな力

玄武より褒美と言われ加護を授かった三人はその力に非常に戸惑っていた。

レオニダス様が加護を受けてから数日間毎日道場に顔を出しランスロッテ様と組手をしている。

「ふっ!ぜあ!!」


レオニダス様が放った踵落としをランスロッテ様が腕で防御するがドォン!というとんでもない衝撃音が発生する。

だがランスロッテ様は全く何処も痛めるどころかピンピンしていた。


「これ、お前ら!いい加減にせんか!それ以上やられたらいくら強固な作りな道場であっても壊れてしまうわ!!」

総師範(マスター)が激怒するくらいの力の強さが二人には現れていた。


「確かに、これ以上は無理そうだな。全力を試すとなると冒険者ギルドの特別訓練場を借りるしかなさそうだ。」

攻撃を受けたランスロッテ様はやはりケロッとしている。


「うーむ。しかし加護の話は聞いていたが加護一つでここまで生命エネルギーの通りが良くなるとは思わなかった。」

レオニダスさんが自身の新たな力に驚いていた。

どうやらレオニダスさんの話曰く、玄武より褒美として授かったものは『加護』と呼ばれるもので何でも生命エネルギーの効率が非常に良くなり必然的に威力が底上げされたらしい。

それは僕自身、『巡』の訓練をしている時に思った事だ。

非常に通りが良く自然で、元から自分の体の機能として存在していたかのようにすら感じる。

それぐらい生命エネルギーと調和が取れている状態だった。

だが僕は『それだけではない何か』があるような気がしていた。


「うん?どうしたんだ?ニクス君。」

「あ、いえ。お二人の加護を見ていて思ったんですが得られた力はそれだけですか?」

僕がそんな様に聞くとレオニダスさんが疑問があるようで聞いてくる。


「お前な。それだけとは馬鹿なこというんじゃない。これで十二分な力だろう?」


「いえ、それはそうなんですが・・・。」


「ふむ。何か言いたいが表現できないことがあるようだね?」

ランスロッテ様がそう言って助け舟を出してくれた。


「そう、そうなんです!うーん、なんというか引っかかるものがあって・・・。」

僕が頭を捻っているとレオニダスさんに頭を引っ掴まれる。


「それじゃあ、これから確かめるか。ランスロッテ行くぞ。」


「だな。総師範(マスター)、しばし出ます。」


「何処に行くんですか!?」


「決まってるだろう。特別訓練場だ。」

そうして僕達は冒険者ギルド所有の特別訓練場へと足を運ぶことになる。


「悪いが今回は見学者は駄目だ。秘匿する。」

レオニダスさんが周りにそう言い、訓練場に入ることが出来たのは僕達だけとなる。


「さて今回は俺が久しぶりに相手してやろう。」


「そう言ってただただお前が加護の力を試したいだけじゃないのか?」

ランスロッテ様が訝しんだ顔でレオニダスさんを睨む。


「はは。まあそう言うなって。気術を得たニクス、レビンとやるのは久しぶりなんだ。どの程度の力を得られたのか見させてもらう。」

そう言ってレオニダスさんは自身の拳同士を打ち合わせている。


「本気で行って良いんですよね?」

僕は念の為確認をするが「当たり前だ」と返されてしまう。


「しょうがない。行こうか、レビン。」


「全く物好きなおっさんだぜ。」

そうして僕は不完全な融合状態になるがここで異変が現れる。


「え?」


「なんだ!?」

僕の周りに土と岩で出来た土属性のマナを纏った不思議な生物のような何かが現れる。

そしてその生物のような何かの顔辺りには玄武様の社で見た印が浮かんで見えた。


「これって確か玄武様の社で見た・・・?」


「ああ、玄武の印だ。」

レオニダスさんにもランスロッテ様にも現れなかった力で僕達全員が困惑していた。


「なるほど。お前が言っていた『それだけか』っていうのはこういう事か。俄然面白くなってきた。」

レオニダスさんは興奮しているようだがランスロッテ様は冷静に僕に声を掛けてくる。


「どうやら『これ』は君たちに起因しているもののようだが何か疲労感や生命エネルギーを持っていかれているような感覚はないかい?」


「いえ、全く無いですね。ただなんというか・・・、これと意思疎通が出来るような気がします。」


「!・・・そうか。なら一層試してみる他無いな。レオニダス、ニクス君は重症を負った怪我人だ。『呉れ呉れも』無茶なことだけはするんじゃないぞ?」

ランスロッテ様がキッと睨みつける。


「それは理解しているが、どこまでの加減になるかはニクス達とその玄武様の何か次第だ。さあ、構えろ。」

そうして一気にレオニダスさんの身体から力強く気術エネルギーが放出される。


「よろしくお願いします。」

そうして僕も気術エネルギーを巡らせるがそれはレオニダスさんとは真逆で薄く薄くそれはもう一層の肌があるくらい薄く気術を纏う。


「!?」

レオニダスさんとランスロッテ様が驚いているのがわかったが、その隙に先制攻撃を入れさせてもらうことにする。

僕は走り出すと同時に一瞬だけ脚部に気術エネルギーを集め速力に強化を行う。


「ふっ!」

一気に間合いを詰め上段目掛けて突きを放つ。

その一瞬、直撃するくらいのタイミングで纏っている気術エネルギーを拳に集中させる。


「こいつ!」

ギリギリの所でレオニダスさんが気術を纏った腕で弾く。

バチィン!ととても肉体同士がぶつかったとは思えないとんでもない音がする。

だが、最も驚くべきはここからだった。

僕の身体付近に浮かんでいた玄武様の力の何かが自然と僕の攻撃にタイミングを合わせるように一撃を見舞う。


「な!?」

それは土属性のマナを大きく纏った土や石の固まりの攻撃であり、基本的に形が固定されていないため変幻自在の攻撃となりレオニダスさんもその全く予想していなかったタイミングでの攻撃を思わず食らう。


「ぐぅ!」

なんとか直撃は防いだようだがそれでも軽く吹き飛ぶレオニダスさん。

だが、流石はこの国最強なだけはある。

非常に固くダメージがほぼ無いような状態で着地と同時に僕に飛びかかってくる。

その一撃は早く、防ぐ他無かったが再び玄武の力が僕の防御する身体を守るように包み込み、玄武の力と僕の身体で防御する形となり最小限のダメージで済む。


「くそ!今のも通らねえのか!!」

レオニダスさんが今放ってきた一撃はかなり強い気術を纏った一撃だった。

恐らく玄武の加護の力がなかったら身体に大きな穴が空いていたレベルだと思う。


「両者ここまでにしようか。」

そこにランスロッテ様が割って入ってきた。


「何故止める!ランスロッテ!!」

レオニダスさんは興奮しているようだ。


「馬鹿者。頭を冷やせ。力を確認する上では十二分すぎる結果だろう。お前の最後の一撃がニクス君達に届かなかった。それが結果だ。それに今ので満足できないというなら私が付き合うが?」


「ちぃ!・・・はーーーー、ふぅーーーー。」

レオニダスさんは深く深呼吸をして全てを整える。


「すまん、頭に血が上ったらしい。いやしかしすげえ力だな。今のでも全くニクス達に力の負担はないのか?」

僕もその姿を見て力を解除すると玄武の加護も消える。


「ええ、その様です。僕のエネルギー源とは無関係な所で出力されているようですね。ですが意識は僕と繋がっている感じがして非常に不思議な感覚でした。」

僕は右手をグーパー握りっては開いてをしながら感覚の確認をする。


「それにしてもあの『巡』の巡らせ方。あれは誰に習った?」

ランスロッテ様が話を割って聞いてきた。


「いえ、あれは誰に教わったわけでもないですよ。加護のお陰でものすごく『巡』がしやすくなったので自分の中で最効率を考えた結果、ああなりました。」


「と言うと自分で思いついたのかい?」


「はい。そうですが?」

僕は頭をひねりながら答える。


「全く君というやつは・・・。末恐ろしい子どもだ。」

レオニダスさんとランスロッテ様は顔を見合わせ呆れていた。

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