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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第二章~アルヴェリオン共和国編~

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【第81話】玄武の社

僕がある場所から立ち上る強いマナの光を確認した後の行動は早かった。

装備をいつもの道着ではなく動きやすい服装に加え、ハンドブレイカーを含む持っている武装をすべて整えた上でこの国の大統領であるレオニダスさんへと面会をしに行く。

当然ながら地震が起きた後で大統領府は忙しそうであったが、ランスロッテ様はお構い無しに進み入る。


「お待ち下さい!その腕章をお持ちということはレオニダス様の関係者の方かと存じますが、今は大変お忙しく・・・。」

レオニダスさんの関係者の方だろうか。

そこまで話した所でランスロッテ様に強制的に話を遮られる。


「緊急事態だからこそ来た。放置すればこの国が危うくなる可能性があるが、それでも君は止められるか?」

ランスロッテ様が淡々と話したことでその関係者らしき人も事態を理解したのかレオニダスさんの元へ案内してくれる。


「ああん?なんだ、ランスロッテ!俺は今非常に忙しい!だがその表情・・・何かあったな?」

レオニダスさんは開口早々ランスロッテ様を睨みつけていたがすぐに事態を察知したようで招き入れてくれる。


「お前に用事がなければこうしてわざわざ会いにはこないよ。」


「ふん。で用事というのは?」


「人払いをしたほうが良いと思われる。」

ランスロッテ様がそう言ったことで室内にいた人達がざわりとする。


「そんなに重要なことか?だが安心しろ。この部屋にいるのは俺が大統領として働くうえで必要な右腕達だ。」


「ふむ・・・。まあいい。ニクス君。先程の話を。」

そう言われ僕は前に出てレオニダスさんへと話を始める。


「おはようございます。レオニダスさん。お忙しいのは理解していますがお話を聞いていただければ。」


「ああ、お前の話はランスロッテの話よりも重要だからな。聞こう。」

それを聞いたランスロッテ様は呆れた顔をしていたが事態が事態なのでとりあえず話を進める。


「以前僕がお話した、『マナが視える』という特異体質はお話しましたよね?」


「ああ、覚えている。それが原因でレビンとも会うことが出来たんだろう。」


「まさしくです。そのレビンと出会った時の状況が今まさにこの地で起きています。」


「何だって!?」

レオニダスさんはそれを聞き驚いている。


「場所は?」

そう聞かれ僕は窓から丁度見える光の柱を指差す。


「あちらです。」

その位置を確認したレオニダスさんは非常に焦った表情をしている。


「ちなみにマナの種類は分かるか?」


「黄土色なので恐らく『土属性』ですね。」

レオニダスさんはそれだけを聞くと緊急の要件が出来たということで僕達と同じく装備を整え始める。


「あの方向には何があるのですか?」


「ここでは済まないが言えない。」

どうやら大統領としての右腕である人達にも秘匿すべき情報なようなので僕も口を閉ざす。


「ランスロッテ、悪いが巻き込むぞ。」


「そうだろうと思って私たちもフル装備で来たんだ。構わない。巻き込め。」


「感謝する。」

そう言い装備が整ったレオニダスさんは真剣な表情のまま礼を述べ僕達は光の方へと出立することになる。


「ここからは最大速力で向かうぞ?ニクス、付いてこれるな。」


「ええ、勿論です。」

そうして僕達は全身に気術を巡らせ最大速力で移動を開始する。


「ほう、二門まで開いたと話では聞いていたが本当にこの短時間でここまで来たか。」

レオニダスさんは付いてこれている僕達に驚いていた。


「あはは。おかげで師範代なんて言う身に余る物も手に入れる羽目になりましたが。」


「まあ、その件は後で聞いてやる。もうそろそろ目的地だ。」

大統領府よりはかなり距離があったように感じたが、気術を使用した移動を行えばあっという間に到着することが出来た。


「着いたぞ。ここだ。」

そうして到着した場所は見たことがない場所だった。


「ここは『社』と言われる場所で俺達が諸々の神達を祀る場所の一つだ。特にこの社は重要度が高くてな。なんせ祀っている神が・・・。」


「『玄武様』ですか?」

僕がそう聞くとレオニダスさんは非常に驚いた顔をしている。


「知っていたのか?」


「いえ、偶然昨日エレインより玄武様のお話を聞き、更に地震が起きた翌日であったこと。加えて今回立ち上っているマナが土属性だったことからそうではないかと思っただけです。」


「相変わらずお前の考えは想像を超えてくるな。その通りだ。ここは玄武を祀る社。更に詳しく言えば『玄武の中に侵入することが出来る社』だ。この事実を知っているのは歴代大統領の任に付いた者たちだけだ。お前たちを除けばな。」

僕は今の言葉に驚きと同時に疑問が生まれる。


「玄武様の中に入るとはどういうことですか?」


「なるほど。ここが入口だったのか。ニクス君の疑問はもっともだがそれは書いて字の如くの場所さ。この大陸は玄武の背の上にあると昨日聞いただろう?という事はこの下には玄武が居ることになる。そこに繋がる唯一の道というわけだ。」


「ではこれから玄武様に会いに?」


「そういう事だ。離れていろ。」

レオニダスさんがそう言い、僕達が離れた所で変わった呪文を唱え始めた。


「あれは呪文では無く祝詞(のりと)と呼ばれるものだ。」

僕の心を読んだのかランスロッテ様が教えてくれる。

暫くすると祝詞が終わる。

すると空間がグニャっと歪んだようになり今まで隠れていた道が現れた。


「ふう。この祝詞は本当に久しぶりだったからな。無事終えられるか心配だった。」

レオニダスさんは汗を書きながら話してくれる。


「レオニダスが祝詞を唱えられなくなった時は大統領の座を誰かに譲るべき時だな。」


「そうならないためにこうして今でも覚えている。さあ、話はここまでにして行くぞ。」

レオニダスさんを戦闘にその開かれた道に全員が侵入すると、またグニャっとその入口になっていた空間が歪み閉じてしまった。


「心配するな。ここは玄武に許された者たちだけが入ることの出来る空間だ。俺はさっきの祝詞の中で俺達だけの侵入を願い、受け入れられたからな。」


「へぇ!凄いですね!」

僕は先程の聞いたことがないような言葉の羅列にそこまでの意味があったのかと興味が湧いた。

だがその興味は直ぐに消える?


「え?」


「どうかしたのか?」


「黒いマナ?」

そう、進行方向より黒いマナを纏った何かが近づいてくるのが視える。


「黒?闇か!」

僕達は一斉に各々の武器を抜き構える。

無数の闇のマナを纏った魔獣達が接近してきていた。


「なんで聖域であるこの場所に魔獣どもが!?確殺で行くぞ!一匹たりとも討ち漏らすなよ!」

レオニダスさんがそう言い先鋒として突っ込んだ。


「私たちも続くぞ!」


「はい!行くぞ!レビン!」


「おうよ。」

そうして僕とレビンは不完全な融合状態になり魔獣たちに突っ込む。


「やああ!!」


ドス!!


『ギャア!』


「良し!左手はまだ使えないけどやれる!」


「ニクス、お前は特に無茶するんじゃねえぞ!更に門が開いても厄介だ!」

レオニダスさんの注意が飛んでくる。


「心配しなくてもそこは私がフォローするさ。」


「頼りにしています!」

魔獣たちの強さはそこまででもなくほぼ一撃で潰すことが出来ていた。


「この程度の強さなら問題もなく潰せるようになったか。流石だねニクス君、レビン。」


「やっぱり気術と相性はいいんですかね?以前よりも格段に動けますし何より疲れがほぼ無いですね。」


「ふむ。ブランだったから生命エネルギーを取り込みやすかったというのもあるのかも知れないね。」


「なるほど。」


「それにしても、何なんだこいつら。何処から湧いて出てきている?」

レオニダスさんが悪態をついている。


「使い魔に近い存在ではないか?倒すと何も残さずに霧散している。」

ランスロッテ様の言う通り、通常の魔獣であれば必ず処理しなくてはいけないような死体が残るが今回は潰すと直ぐにマナが溶けるように霧散して消えていた。


「使い魔・・・?式神か・・・!」


「ご明察。流石はこの国のトップ。力だけの筋肉バカではないのは確かなようだ。」

そう言いながら、強大な闇のマナを纏ったそいつは突如として僕達の目の前に現れた。

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