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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第二章~アルヴェリオン共和国編~

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【第80話】地震と玄武

気術の第二の門を開いてからも手の怪我が癒えるまでは生命エネルギーの扱いに日々訓練していると、突如としてそれは起きる。


ぐらぐら・・・


「え!?」


「なんだ!地面が揺れてる!!」

僕とレビンは味わったことがない初めての感覚に非常に戸惑う。

転移陣(ポータル)の魔道具とはまた違う不安感に苛まれている。


「落ち着いて。地震は私たちが暮らしていた土地ではかなり珍しいがここでは比較的起きることだ。」

ランスロッテ様が僕達の傍に寄り添ってくれ声を掛けてくれる。

他の師範代達は地震が発生したことにより各自役割を果たすべく一斉に道場から駆け出してしまった。

今道場内に居るのは僕達とランスロッテ様、そしてエレインだけとなる。


「これが地震なんですね・・・!初めての体験です。あ、収まりましたね。」

僕が初めての体験で興奮しているとランスロッテ様は笑い出す。


「ふはは。やはり君は年相応の子どもなのかな?そんな表情を見たのは久しぶりな気がするよ。」


「僕だって何事も初めてはあるんです!それに地震なんて本当に珍しいですからね。」


「あら?ニクスは地震は初めてだったの?」

そんな事を言いながらエレインがやってくる。


「エレイン。そうだね。元々僕が住んでた国では自身は滅多に起きない現象だからね。知ってはいたけど体験したのは初めてだよ。」


「そっか。まあでもこの国は地震とは切っても切れない縁にある国だし、場合によっては大災害になることもあるしね。」


「え?そうなんです?」


「丁度いい。気術のコントロールをしながらアルヴェリオン共和国の事を教えてあげよう。」


「久しぶりの勉学の授業ですね!」


「全く座学なんて何が楽しいやら。」

エレインは呆れているが僕は真逆だ。


「知識は宝ですよ、エレイン。」


「ふふ、そうだな。じゃあエレイン、今日は君が教えてあげると良い。」

ランスロッテ様の突然の振りに驚くエレインだったが「仕方ないわね!」と照れた様子で教えてくれることになる。


「まず、アルヴェリオン共和国だけどニクスはこの国がどんな場所にあるか知ってるかしら?」


「それが残念ながら全くなんです。獣人達が暮らす国ということ位しか知識として入ってこなかった上に転移陣(ポータル)の魔道具で一気にここまで来たので旅もしていないのでほぼ知識なしです。」

僕はしょんぼりしながら言うとエレインは少し笑う。


「まあ、この国が閉鎖的ってのもあるし他の国から見ればそんなものなのかも知れないわね。この国は『四神』、特に『玄武様』と深いつながりがある国なのよ。」

初めての言葉が出てきた。


「『四神』に『玄武様』ですか?」

僕が頭を捻るもこれらの概念は初めて出てきた言葉だ。


「ふむ。そこからまずは話すか。この星は恐らく君の知っている前世と呼ばれる魂の記憶の星よりも大幅に文明は勿論だがそもそも大地の形が変わっている。月の形すら違うだろう。」

ランスロッテ様に久しぶりに前世の魂の事を言われあの魂と接触していたときのことを思い出す。


「確かに窓の外には見たこともない風景が広がり、あの魂が寝ていた部屋もかなり違っていました。」

僕が「うーん」と思い出しながら話しているとそれに興味を示したのはエレインだった。


「月の形が違うっていうのは初めて聞いたわ。」


「ああ、それはね『真紅の満月』でしたっけ?月って元々今みたいに割れていなくてくっついていて一つだったらしいんだ。」


「ええ!?そうだったのね・・・。」


「うん。どうやら僕の半身であるあいつが生まれたのは月がまだ割れていない時だった様なんだ。だけどそいつが生まれてから間もない頃に何かがあって月が割れたみたい。」


「恐らく隕石だろうな。大きな隕石が月に衝突したことでつきが今の形に割れたのだろう。そしてその影響でこの星の形態も大きく変わってしまった。」

ランスロッテ様が補足をしてくれるがあまりに壮大なスケールすぎて僕達は言葉を失う。


「そんなあんなに大きな月が真っ二つに割れるぐらいの隕石ですか?」


「ああ、そうでなければ説明はつかないからな。当然その影響がこの星にも影響し、そして海が多く大地が限られるような今のような状態になったのだと私は思っている。」


「それは冒険者として得た知識か何かですか?」

僕は興味本位できいみる。


「そうだな・・・。君も全てが片付いたら一緒に度に出ようね。」


「私も行きたいです!」

エレインが挙手して反応する。


「ええ?エレインはこの国で最強になって大統領になるんじゃなかったの?」

僕は思わずそう返す。


「うっ・・・。」


「それよりもエレイン。『四神』と『玄武』そしてこの国の関係を話してもらえるかな。」

ランスロッテ様より促されエレインは座り直し話をする。


「『四神』とは大昔、それこそこの世界が神様が当たり前に済んでいた頃のお話よ。世界の東側には『青龍』、南側には『朱雀』、西側には『白虎』、そして北側には『玄武』が住んでいたというお話があるわ。でもこれは神話などのお話では無く、『玄武様』については事実であると言えるの。」


「それはなんで?」

僕が聞くと衝撃的な事実が判明する。


「今私たちが住んでいるアルヴェリオン共和国のある大地は玄武様の背中だからよ。元々海しか無かった場所らしいんだけどそこに玄武様が住み、そして玄武様の背中を借りて住み始めたのが私たちの祖先だと言われているわ。」


「え!?じゃあ僕達は今神様の背中に居るって言うことなの?」


「そういうことになるわね。ちなみにこの地で地震が多いのは玄武様が身震いしたりくしゃみをしたりする際の影響だと言われているわ。さっき位の大きさの地震なら身震い程度だと言われているわね。」


「地震が起きた時に外の師範代達がいなくなったのは?」


「安全確認ね。私たちはまだ師範代として日が浅い上に年も若いという理由からそういった役割が割り振られていないのだけど、通常地震が起きた際は師範代達は道場内の安全確認や、場合によっては街に出て住民たちの保護や崩れた建物からの人的救出も行っているわ。」


「そんなに普段から徹底してるくらい地震があるんだ・・・。」


「そうね。前回とても大きかった地震は9年前かしら。地震に強い構造なってる街ですらかなりの被害が出てしまって子どもながらに恐怖を覚えるほどだったわ・・・。」

エレインは当時を思い出したのか手をぎゅっと握りしめながら話をしてくれる。


「いつ起きるかはわからないんだね・・・。」


「そうね。だからこそ常日頃からいつ起きても迅速に行動できるように退避訓練だったり、備えなんかもしっかりしているわ。この国に住むものたちの宿命みたいなものよ。あ、他の師範代達が戻ってきたわね。」

安否確認等が終わったのか師範代達が道場内に戻ってくる。


「まあ、そういうわけだ。私たちも今後気をつけようか。」


「はい。そうですね。備えることなどは必要ですものね。」

僕達がそんな事を話し合っていた数日後だった。

僕はいつものように朝早く道場に向かおうとしていた時だった。

外に出た瞬間大地より強く発せられる黄土色のマナの光の柱が立ち上っているのを見る。

それは明らかに異常でそしてとてつもない濃度のマナの様に見える。

僕は慌ててランスロッテ様のもとに戻り事情を説明する。


「あの方向から本当にマナの光が立ち上っているんだね?」


「はい。まるでレビンが初めて僕に助けを求めているような状況に近いです。」


「レオニダスの元に急ぐ。全速力だ。付いてこれるね。」

そうして僕達はレオニダスさんに急遽会うことになる。


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