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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第二章

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【第69話】気術の扉

ランスロッテ様と夕飯の時に今朝の話をした。

「ランスロッテ様、早速エレインさんに話をしていただいたんですね。ありがとうございました。」


「おや?何故そう思う?」


「エレインさんの表情は勿論でしたが、そもそも態度がまるで別人のようでした。どこまで話されたんですか?」


「ああ、彼女には君と僕の今置かれている情報を全て話した。」

ランスロッテ様の余りの内容に僕は声を上げてしまう。


「全てですか!?ですが何故!?」


「彼女は命を賭してそれを聞くと約束したからね。」


「い、命ですか?一体どんな約束をされたんですか?」


「他者に話をした場合、命の約束はできないと話をした。」


「それは、総師範(マスター)はご存知なのですか?」


「知ってるも何も横に座ってたからね。」

予想外だった。

それだけの思い制約をまさか家族の前でさせるとは。


「君という存在、そして今後待ち受けているものはそれだけの物ということ。それは理解しているよね?」

ランスロッテ様に真っ直ぐ目を見られ僕は姿勢を正す。


「はい。十二分に理解しています。ですが意外でした。」


「何がだい?」


「ランスロッテ様は正直、エレインさんの事は好きではないと思っていました。それなのにそれだけの情報を開示するとは思っても見ませんでした。」


「あはは。良く見てる。確かにエレインのことは好かないさ。だが、今後はわからない。何かがきっかけで大きく存在そのものが変わり、もしかしたら今後の展開に重要な一つのピースになる可能性がある。私はその可能性は一つ残らず拾い上げ、より確実な結果を導きたいと思っただけさ。」

そう言いながらランスロッテ様はハースリンの入れたお茶を飲んでいた。


「私はニクス様を傷つける人は絶対好きにはなれないですけどね!!」

ハースリンは未だに僕の鼻の一件でエレインさんのことを毛嫌いしているようだ。


「あはは。まあ正直僕も今はまだ彼女を信頼しているわけでは無いので。一定の距離感を持って接したいと思います。」


「それが良い。」


翌日はいつも通りランスロッテ様は遅い起床になりそうだったので、僕達だけが早めに出発する。

すると驚いたことに、なんとエレインさんが既に門の前で僕達のことを待っていたのだ。


「おはようございます。エレインさん。今日は随分早いんですね。」


「おはよう、ニクス。特に意味はないんだけど早く準備ができたから待ってただけよ。」

そういうエレインさんの右腕には腕章が巻かれていた。


「あ、その腕章。早速作られたんですね。」


「え、ええ。これで大丈夫かしら?」

そう言って少しエレインさんは緊張していた様子が見て取れた。


「良くお似合いだと思いますよ?」


「そ、そうかしら?良かった。」


「それはどうしたんですか?」


「協力して一緒に作ってもらったの。」

おお?早速エレインさんから協力という言葉が出るのは驚きだ。


「それは良かったですね。お礼はきちんと言いましたか?」

僕は少しからかいながらそう聞く。


「勿論言ったわよ!驚かれてしまったけど・・・。」

どうやら本当に今までのエレインさんとは様子が違うようだ。

そんなことを話しているといつもの班のメンバーが集まってくる。

反射的にいつものエレインさんへの接し方になりそうになっているのを僕が静止する。


「エレインさんの右腕にあるものを見てくださいね。今はただの門下生のエレインさんですから。なるべく皆さんにも周知して頂けると助かります。」

そう伝えると「わかった。協力する。」と進んで協力をしてくれるようだった。

エレインが少し照れながら感謝を少しずつ伝えているのが印象的だった。


午後になり、いつものように呼吸法の訓練をしている時だった。

僕は自分の体調が明らかにいつもと違うことに気が付く。

「あ、あれ・・・?」


「おい、どうした?」

レビンが心配して声を掛けてくれるがそのレビンが二重に見える。


「わからないけどいつもと明らかに体調がおかしい。」

僕がそう言うと他の師範代も僕に寄り添ってくれるがどんどん視界が狭まっていく。

だが、視界が狭まると同時に身体に何かが急激に流れるような感覚を覚える。

それはまるで血液が体内を循環するような感覚だった。


「お、おい。嘘だろう?」


「誰かランスロッテ師を呼んできてくれ!」

そんな声が遠くで聞こえるような気がした。

最初は身体を循環していたような何かがふと、今度は身体から抜けていくような感覚になる。

直感的に、これは命に関わるかもしれないと思うがどうしようもなく身体からどんどん力が抜けていく。


「ニクス君!!聞こえるか!!ニクス君!!」


「ラン・・ス・・ロッテ様・・・?」


「良かった。まだ意識はあるね。かなり辛いかもしれないが今から言う呼吸法で呼吸を整え、私が言うようにイメージをするんだ!」


「わか・・・り・・・ました・・・。」

そうしていつもとは違う呼吸法を教えてもらいながら身体から抜け出ていくようななにかを再び身体の中に戻し、体内を循環させるイメージを持つ。

最初は薄らぼんやりとしていたが、教えてもらう呼吸法がかなりきつく逆にその御蔭で薄れていた意識が徐々に戻り始めた。


「かはぁ!はぁ・・・!はぁ・・・!!」


「よし。完全に戻ってきたな。聞こえるね?」


「はい・・・。僕は一体・・・?」


「状況は後で説明する。この後も私の言うように続けるんだ。」


「はい・・・。」

そうしてどれくらいの時間が経ったのかはわからなかったが、かなり長い時間ランスロッテ様に支えられながら独特な呼吸法、そしてイメージをすることで僕はドンドン身体に力が入り始める。

だが、その力は今まで以上に力強さを感じる。


「なんだこれ・・・?」


「本当に君には驚かされてばかりだ・・・。ニクス。どうやら君は気術の最初の扉を既に開いたらしい。」


ランスロッテ様が感心したような呆れたような表情で僕を見る。


「気術の扉ですか?」


「ああ、書いて字の如く。まさしく君は気術の最初の一歩を踏み出したんだよ。本来であれば私はどんなに早くてもここの段階に到達するのに数ヶ月掛かると読んでいた。だが君は一週間足らずで開いてしまった。」


「そ、そんな急に開いたら身体が壊れてしまうのでは?」


「まさしく先程の状態がそうさ。あの状態は急激に開いてしまった扉により、自身の生命力が上手くコントロールできず、体外へと排出されてしまう状態だった。だからそれを呼吸法でその扉を徐々に締めていき、今はあるべき状態へになっている。」


「なるほど。先ほど感じたあの感覚は自身の生命力エネルギーだったんですね。」


「そうだ。気術はあのエネルギーを利用した術だ。最初の一落としては意外すぎる展開だったが、本当に間に合ってよかった。」


「ありがとうございます。ランスロッテ様。それにご心配をおかけしました、皆さん。」


「君が無事だったので良しとする。しかしどうしたものか。このペースで気術についてトレーニングをさせると本当に状況が良くないかもしれんな。」


そこに聞いたことがある声が現れる。

総師範(マスター)がどうやら騒ぎを聞きつけこちらに様子を見に来たようだ。


「そのままで良い。それにしてもここに来て1週間経たない程度なのにもう扉を開きよったか・・・。もしかしたらニクスは気術と相性がいいのかもしれないな。」


「そうだと言いいのですが・・・。しかし総師範(マスター)どうされますか?」


「ニクスよ。先日は君は私の指導は実力が伴ってからだと言った。だがこのままでは本格的に状態を監視できるものが近くでいないと再びこの様に扉が開きすぎ、あっという間に死にかねない。私はそうはさせたくない。改めて聞く。私が直接的に指導しても良いか?」


「・・・。勿論です。自身の状態が危うく、それが必要なことであるならばむしろお願い致します。」

そう言い僕は総師範(マスター)に頭を深く下げる。


「私も近くで監視したくあります。保護者としての我儘です。どうかお許しを。」

ランスロッテ様も頭を下げる。


「では明日より、その様に取り計らおう。ニクスよ、今日はもう帰って休むが良い。生命力エネルギーが漏れたということは直接的に命に関わる事態だ。休息した方が良い。」


「わかりました。」


「私が連れ帰ります。」


「うむ。」


そうして僕は家に連れ帰られたがそれを見たハースリンがまた何か合ったのかと失神仕掛けていた。

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