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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第二章

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【第61話】アルヴェリオン共和国

僕は初めての国外への旅ということに心が踊りだし出発の数日前から心が踊りっぱなしだった。

「上機嫌だねえ?ニクス君は。」


「それはもう初めての外国ですから!ちなみにハースリンは旅の間は留守番ですか?」

僕はふとハースリンがまたお留守番になって寂しい思いをするのではと思ってしまった。


「いや?ハースリンも連れて行くよ。」


「え?家守妖精なのに家以外に入れるんですか?」


「うん。だってアルヴェリオン共和国にも別邸があるし。ここよりは遥かに小さいけどね。」


「え!?」

家を何件も所有してるなんて本当にお貴族様なんだなあと心から思っているとどうやら心を読まれたようだ。


「アルヴェリオン共和国の家は冒険者時代に購入した家だからお貴族様とは関係がないねえ。」


「あ、そうなんですね。そういえば忘れがちになりますが、元はランスロッテ様冒険者でしたものね。」


「そういう事。」


「ちなみに移動は何日くらい掛かるんですか?1ヶ月とかですか?」

僕は旅の醍醐味である移動手段に興味が湧きランスロッテ様に尋ねるがそれは淡い夢だった。


「いや、一瞬だが?」


「え?・・・まさか」


転移陣(ポータル)で行くに決まってるじゃないか。」

それを聞いたレビンが今から吐きそうな顔をしている。


「そんな・・・。」

明らかにしょぼくれている僕を見てランスロッテ様が慌てているが、どうやら話によるとアルヴェリオン共和国にまともに行こうとするには一ヶ月どころの話ではない上に関所を超えるのが今は大変難しいとのこと。


「元々アルヴェリオン共和国は獣人の国であまり外交も行っていない。なので入国する方法が本当に少なくてね。なので今回は転移陣(ポータル)で行くのさ。」


「外交が少ない国なのに一国の貴族が入国するのは大丈夫なんですか?それはそれで問題有りそうですが?」

僕が当然のことを聞くがそれは流石ランスロッテ様だ。


「だから、アルヴェリオン共和国に入国する時は貴族としての身分はここに置いていくのさ。あくまで私は冒険者ランスロッテとして入国する。頼れる友人の一人もいるしね。」


「そんなに着たり脱いだり出来るのランスロッテ様だけでは?」

僕が訝しげな目で見るとランスロッテ様が笑っている。


「あっはっは。良く言われる。」

そこにハースリンが会話に入ってくる。


「ランスロッテ様、土産の品はこちらでよろしかったですか?」

それは一本の酒瓶のようだった。


「ああ、それで良い。」


「畏まりました。」


そして移動する当日がやってきた。

「やだー!離せー!俺はあれだけは簡便なんだよー!!」


「レビン!言うことを聞け!」


「ふざけるな!またあんな目に会うっていうのがわかっててなんで自分から入らにゃいかんのだ!」


「全く君たちは何をしてるんだか?」

ランスロッテ様に僕とレビンは再び同じ様に摘み上げられ、そして転移陣(ポータル)に放り込まれる。


「うわあああ!ぐにゃぐにゃだあ!」


「目、目が回る・・・」

一瞬で目的地に到着するが本当にこの感覚だけは慣れない。


「お、おえぇ・・・」

レビンが吐いていたが流石に今回は僕も気分が悪くなった。


「ふう、なんとか無事到着だね。ああ、言うの忘れてた。移動距離が長くなればなるだけ目が回りやすくなるんだよね。」


「そ、そういうことは早くに言って下さい・・・。」


「まあ、終わったことは気にしない。それより着いたよ。アルヴェリオン共和国だ。」

ランスロッテ様がそう言うと僕は確かに先程までと空気感が違うのを感じる。

先程は外に居たのに今は見たことがない家の中に居た。

そして窓の外を見ればそこは間違いなく別の国だった。


「ここがアルヴェリオン共和国・・・。」


「じゃあ、ハースリン管理お願いね。ニクス君とレビンは外套付けてフード被ってね。友人に会いに行くよ。」

そう言うとランスロッテ様は一枚の腕章を腕に付ける。


「何の腕章ですか?」

僕は気になり聞いてみた。


「ここはヒューマンやエルフは超が付くほど目立つのさ。この腕章はきちんとこの国の許可を得て入っているという許可証だよ。街に出ればわかる。」

そう言われ僕は外套を付けフードを目深に被った。

そして外に出てランスロッテ様が仰っていたことがすぐに理解できる。

ここはまさしく『獣人の国』であり、ヒューマンやエルフは全く見当たらなかった。


「わあ・・・。本当に獣人の人だらけだ。」


「だろう?だから私たちのようなのは異分子として目立つのさ。その為の腕章だ。」

確かに僕達を見た獣人達の顔色が変わったかと思うと、ランスロッテ様の腕章を見た途端視線を外し道を譲っているようにすら見える。


「今から会う方はどんな方なんですか?」


「ふふ、会った時に紹介してあげるよ。」

どうやらランスロッテ様は僕が驚く表情を見たいらしい。

逸れないようにランスロッテ様にくっつきどんどんと進むと進行方向に立派な城のような建造物が見えてくる。


「まさか目的地はあそこですか?」


「正解。」

そう言って更にランスロッテ様は進みついにその城らしき建物の門前までたどり着く。


「何だお前たちは!?エルフだと!この国がどこかわかっているのか!!」

門番は僕達を見るなり怒鳴り立ててくる。

するとランスロッテ様がさきほどの腕章を見せる。


「わかっているさ。だからこうして直接会いに来たんじゃないか。」

その腕章を見た門番達の顔色が一気に青くなるのがわかる。


「し、失礼いたしました!!!ご案内させていただきます!!」

そう言い敬礼をして門番の一人が案内してくれることになる。

僕は何となくだが、今から会う人とんでもない人なんではないかと思い始める。


「ふふ、正解。」

どうやらランスロッテ様は僕の考えてることがわかったようだ。


「こちらでお待ち下さい!」


「うん、ご苦労さま。」

案内されたのは豪華に飾られた客間だった。

どれも見たことがないものばかりで非常に興味がそそられる。

すると、遠くからドスドス!と明らかに重そうな足音がどんどん近づいてくることに気が付く。

僕はランスロッテ様のすぐ近くまで移動しその人物が現れるのを待つと、バン!と開き戸が開きその人物は現れた。


僕の2倍は有りそうな身長が有り、筋骨隆々とした身体、そして獅子の顔を持つ獣人で途轍もなく眼光が鋭かった。

その人物がキッとランスロッテ様を睨みつける。

僕はその視線だけで震えが出てしまうほどの圧を感じる。


だがそんな圧にも関わらずランスロッテ様はいつものように飄々と片手を上げその人物に挨拶していた。

「やあ。久しぶりだね、レオニダス。元気だった?」


「久しぶりだあ?急に出ていったと思ったら急に帰ってきやがって、ランスロッテ。どの面下げて来たんだ?」

レオニダスと呼ばれた獣人は鼻息を荒くし今にもランスロッテ様に掴みかかりそうな空気を出している。

僕はアワアワしていると「大丈夫だよ」とランスロッテ様に落ち着くよう言われる。


「これ、お土産。」

そう言い、この前ハースリンと選んでいた酒瓶を1本渡すランスロッテ様。

それをレオニダスさんがじっと見つめていたが素直に受け取る。


「ちっ。今回はこれで勘弁してやる。座れ。」


「相変わらず素直じゃないな。君は。」


「うるせえ。所でそのヒューマンのチビと見たことねえ魔獣はなんだ?」

どす!っと勢い良くレオニダスさんが椅子に腰掛けながら僕達のことを聞く。


「ああ、この子達は僕の養子だ。」


「ぶ・・・あっはっはっは!!冗談は顔だけにしておけよ、ランスロッテ!!」

レオニダスさんが豪快に笑い出す。

それを見たランスロッテ様が思いっきり殴り掛かる。


「うわーーー!!ランスロッテ様!何してるんですか!?えっ!」

急な行動に僕は驚いていたが更に驚いたのは、レオニダスさんがその一撃を平然と受け止めていたことだ。


「ニクス君、心配しないで良い。今のが仮にレオニダスに直撃してたら今ここに居ないよ。こいつは私の古き友人の一人。アルヴェリオン共和国大統領レオニダス・クラウ=ヴァルムだ。」


「おう、紹介ありがとうよ。」

なんとレオニダスさんはこの国の頂点だった。


「で、コイツは本当にお前の?」

僕とレビンは慌てて跪き、頭を下げる。


「お初にお目にかかります。僕はランスロッテ・アーテルの養子、ニクス・アーテルと申します。」


「同じくレビン・アーテルだ。」


「こいつは驚いた。本当にお前の養子なんだな。ああ、それに俺にそういう態度は必要ない。特にランスロッテの子なら俺の子も同然だ。楽にして欲しい。」

そう言ってレオニダスさんはニッと大きな笑みを見せた。


「なんでお前の子なんだか。ニクス君とレビンは私の子だ。」

ランスロッテ様が憤慨しているがレオニダスさんはそれを平然と聞き流している。


「相変わらず堅苦しいやつだな。所で養子っていうのは何故だ?生涯を一人で過ごすと思っていたが、何故急にお前の人生にコイツが関わってきた?多分だが急にここに帰ってきた理由でもあるんだろ?話せ。」

流石はランスロッテ様の古い友人と言うだけあってお見通しのようだ。


「ああ、全てを話そう。そしてお前の協力が必要だ。レオニダス。」

ランスロッテ様が頭を下げレオニダスさんに協力を依頼した。

ランスロッテ様が頭を下げる姿など滅多に見たことがなかった僕は非常に驚いたがそれはレオニダスさんからしても同じようだったようだ。


「・・・。お前がそこまでするということはかなり状況が良くないらしいな。良いだろう聞こうか。」

そうしてランスロッテ様は僕のことや置かれている状況、今後のことなどを包み隠さず話す。


「ほお・・・。その魔人、そんなに強いのか。世界を破壊できるほどに。」


「ああ。まず間違いなくやれるだけの力を秘めている。」


「そしてこのニクスがその片割れだと。」


「その通りだ。」


「面白い、なら試してみようじゃねえか。」


「えっ!?」


「やっぱしそう来るか。予想はしていた。」


そうして僕とレオニダスさんは闘技場にて演習試合を行うこととなった。

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