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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第一章~少年編~(全47話)

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【第35話】助けた意味

「おかえりなさい!ニクス!」


2ヶ月ぶりに僕に会えたことが嬉しかったのかリリーが飛び込んでくる。


いつぞやのようにお腹にリリーの頭がめり込まない様、しっかり受け止めリリーに笑顔を向けた。


「ただいま、リリー。」


「なぁーお(ただいま帰った。)」


「レビンもおかえりなさい!」


レビンの言葉がわからないはずのリリーだが、なぜだか普通に会話してる気がする。不思議!


その後は以前と同じ様に夕食の準備を作る支度をしていた。


そこに一人の少女がリリーとともに現れる。


2ヶ月前に眼の前で恋仲だった少年を亡くし、自身も激しい暴行を受けそうになり心身ともに傷ついていた少女レミーであった。


僕はレミーの姿を見て少し緊張する。


「ニクス君・・・。遅くなってしまったけど、あの時は助けてくれて本当にありがとう。お礼を言うのが遅くなってしまってごめんなさい。」


レミーは僕に頭を下げる。


「そんなことないよ!それよりレミーは大丈夫?体の調子とかはどう?」


僕がそう言うと、レミーは一瞬目を伏せるがそれでも顔を上げ、僕の目を見て話をしてくれる。


「確かに辛かったわ・・・。本当に・・・。でもここには皆がいてくれた。家族がいてくれたから、大丈夫。」


その言葉に僕は「そっか、そうだね。」と返す。


「それに私決めたんだ。私は将来シスターの後を継ぐんだって!」


その言葉に僕は驚きを隠せなかった。


「レミーは今大変努力をしているんですよ。最近ではリリーと同じ様に料理の手伝いや教会内での仕事を手伝ってくれています。」


そう言い笑顔で語ってくれたのはシスターだった。


「はい。リリーのこと、聞きました。なので私はリリーの代わりにシスターと共に歩んでいくことを決めたんです。」


どうやらレミーはまだ知る人が少ないリリーの事情を知っているようで、元々その話が出る前リリーがシスターの後を継ぐと言ってた話をレミーが引き継ぐことにしたようだった。


シスターはとても柔らかな笑顔を浮かべ話す。


「私はとても幸せものです。」


その言葉に自然と涙が溢れ出た。


「あらあら、どうしちゃったのかしら。」


そう言い、シスターは僕の顔を拭いてくれる。


「いえ、僕がやったことは何も全てが悪かったわけではなかったんだと、心の底から理解出来たようで・・・。それで安心たら何故か。」


そう言うとシスターは静かに抱きしめてくれる。


「ええ、そうですね。さあ、皆に見られる前に夕食の準備をしましょうか。」


そう言われ「はい!」と元気よく返事をし、いつも以上に気合を入れ夕飯の支度をする。


夕食後皆で談笑していると今後は以前のように1週間に1度戻ってくるのかと聞かれた。


少し考えていると、それに答えたのはなんとリリーだった。


「いいえ、ニクスは今回と同じ様に2ヶ月に1度の帰省が良いと思うの。」


実は僕もそうは考えることが最近は多かった。


以前なら出来なかった週末の先生からの学びの時間は非常に貴重なものであり、それを失う可能性があったのが心残りだったからだ。


「ね?そうでしょ?ニクス。」


笑顔でリリーにそう言われる。


「そっか、流石僕のお姉ちゃんだ。考えはお見通しだね。」


そう答えると「私はニクスの姉だもの!」といつもの調子で返された。


そうして過ごしているとあっという間に2日は過ぎ、先生とともに帰る時が来る。


以前とは違い、皆が笑顔で見送ってくれる。


僕も心の底から感謝を伝える。


たったの2日であるがそれだけでニヶ月は余裕で頑張れるほど、気力の回復が出来た。


そうして、時間の流れは非常に早く、季節は巡り春になる。


僕が9才の誕生節を迎える季節だった。


いつものように組手をしているが毎日訓練する中で徐々に身体が慣れ、空気感を掴めるようになり、始めはものの数秒で終わっていたこのやり取りも10分を超えるやり取りになってきた。


だが今日も当然のごとく、僕が一撃を喰らい終了となる。


驚いたのは普段滅多に汗をかかない先生がここ最近は組手の際に汗をかき出していたことを僕は見逃さなかった。


僕も成長しているとぐっと横になりながら拳を握りそれを噛みしめる。


「お前ももう9才か。それにしても信じられんくらいお前は成長速度がやはり早いな。」


先生からそう言われ、「えへへ」と素直に笑顔で答える。


「そろそろ次の頃合いかもしれんな。9才の誕生節も近いしな。」


「何かくれるんですか!?新しい本ですか!!」


先生からの言葉に食い気味に答えるが「阿呆」と追撃の一撃が飛んできたが、僕はさっと避ける。


にやりと笑うと先生が悔しそうに「くっ!こいつめ・・・。」と言っていた。


「まあ、いい。本ではないがお前に渡そうと考えたものがある。」


先生からの言葉に手を合わせ感謝をする。ああ、神様!


「・・・やっぱりいいか。」


「良くないです!ごめんなさいです!」


先生は、「まったく・・・。」と言いながら近くの岩に腰掛けながら話をする。


「今度の週末、鍛冶屋に行くぞ。」


その言葉に心が踊る。


「それって僕の包丁を打ってくれたところですか?」


今となっては離すことが出来ない、自慢の包丁である。


「ああ、そうだ。お前に見合う武器を考え打ってもらう。そして今後の組手はその武器を装備した想定での組手とする。」


それを聞き、僕はレビンの手を握り小躍りする。


「な、なぁーお!(や、やめろー!)」


ざりっ!


思いっきり引っかかれ、顔に傷を作る。


「まったく、お前ってやつは・・・。」


顔の傷などお構い無しに週末の鍛冶屋楽しみだなーと指折り数える日々になった。

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