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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第一章~少年編~(全47話)

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【第3話】アプロディア

「あらあら、ニクス。また読書ですか?本当に貴方は本が好きなのねえ。」


僕が本にかじりつく様に見ている姿を見てシスターは呆れた様子であった。


「はい!シスター、今読んでいる本は僕達が住んでる世界の本なんです。」


そう言いながら僕は比較的薄めな絵が多彩に描かれているこの世界についての本を見せる。

この本にはこう書かれていた。


『アプロディア』


この世界の名前は『アプロディア』であり、大地と海が存在するが圧倒的に大地の部分が少なく、その小さな大地を巡り幾度となく、人、獣、魔物等との戦が起きている。


「シスター、なんでみんな仲良く出来ないのかな?」

僕は住む場所が少ないなら、喧嘩して場所を取り合うよりも仲良く手を繋いで一緒に楽しくしたほうが良いと思っていた。


「そうですね・・・。私も心の底から同じ気持ちですよ。皆で手を合わせて協力できれば、きっとより良い生活が出来ると信じています。」

シスターは悲しげに言う。


「ですよねえ?うーん・・・。あ、次は『魔法』についてだ!」


『魔法』


「魔法」を行使するためにはその源となるエネルギー、『マナ』が必要となる。この「マナ」は種族によっては『魔素』と呼ばれることもある。

「魔法」は人々の生活に日常的に根付いている生きるための術である。

「魔法」は何も人だけの特権の術ではなく、獣も使う場合があり、「魔法」を行使する獣を『魔獣』と呼ぶ。


「僕も早く魔法が使いたいなあ!いつになったら使えるようになるんだろう?」

僕は今年で4才になったけどまだ魔法が使えない。友達の皆はもう、『魔法のそしつ』がちゃんとあって、魔法の練習をしてるのに、まだ僕は『魔法のそしつ』がないから練習できない。


「焦らなくても大丈夫ですよ、ニクス。それに魔法が使えなくたって、それが全てではありませんからね。」

そういうとシスターは優しく頭を撫でてくれた。少し悲しそうに見えた気がしたけどなんでだろう?


『人種』


人種は多彩であり、特筆した特徴はないが比較的平均的な能力を有する『ヒューマン』、あまり多くはない森林地帯で密かに暮らし魔法と狩りの技術が非常に得意である『エルフ』、地表ではなく地底などに街を建造するほどの特殊な技術を有する『ドワーフ』、「ヒューマン」よりも更に獣の特徴を有し、その姿の通りの飛躍的した身体的技能を有する各種『獣人』などがいる。


更に加えるならば、「魔獣」が長い事生きることで独自の進化を果たし、各種人族のような特徴を有する場合がある。それらの存在は『魔人』と呼ばれ、人族に対し非常に攻撃的であることから幾度となく争いが生まれている。


「この村にいる人達はみんなヒューマンだよね?シスター。」

僕はヒューマン以外の人達を見たことがなかった。


「そうですね。ですが、街に行けば決して多くはないですが、ヒューマン以外の人達も見ることが出来ますよ。」


「シスターは街に行ったことがあるんですか!?うわー、僕もいつか行ってみたいなー。」

僕はまだ4才で子どもだからこの村から出たことがない。それどころ外は危ないって理由でこの教会からも殆ど出たことがない。


「ふふ、いつか貴方も機会があれば街に行くこともあるでしょう。」


『宗教・信仰』


宗教については、唯一神というものも存在せず、ありとあらゆる物や事象などに様々な神が宿るという名もなき宗教観のもとで人々は生活している。


「シスター、この『しゅうきょう』っていうのは何ですか?教会と関係があるって前に別の本で読んだことがあった気がするんですが良くわからないんです。」

もともと教会は『かみさま』の家だって書いてあったけど、僕達の家だよね?


シスターは一段と困った顔になる。

「宗教や信仰は大人でも難しいお話ですね。そうですね、何事にも『ありがとう』の気持ちを大切にすれば、今はそれで良いと思いますよ。」


「『ありがとう』の気持ちかあ。わかりました!いつもありがとうございます、シスター!」

僕が一番ありがとうと思っているのは間違いなくシスターだ。


「あらあら、本当にこの子ったら・・・」

満面の笑みをシスターが嬉しそうにしているのを見て僕も嬉しくなる。


本を読んでいるとあっという間に夜になった。


空を見上げれば一際目に付くのは大きな月のような星。

だがその星は1/3程度が大きく砕け割れた月のようになっている。


「なんであの大きな月は割れてるんだろう?不思議だなあ。」

世界は不思議で溢れている。本はその不思議を教えてくれるので大好きだ。


これからも本を読んでいっぱい勉強して、後は魔法を使えるようになって教会に恩返しするんだ!

そう、心に決めた。

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