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黒砂の光  作者: 馬ノ やすら
第一章~少年編~(全47話)

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【第28話】エレキテルと雷属性

レビンの登録が無事終わった後、観光がてら露店を見て回っていると比較的すぐ革細工の露天を発見することができ、丁度レビンの首周り程度の大きさでかつ、金属が使われていないものを発見した。


当然ながらこれを買うだけの金銭面まで考えていなかったが、あっさりと先生が買ってくれた。


「日頃の飯の礼だ。」


そうぶっきらぼうに言いながら渡してくれる。


「ありがとうございます!ほら、レビンもお礼を言いな。」


「なぁーお(感謝する)」


「お前が何を言ってるのかわからんが、まあ感謝されたのだと思っておこう」


そう言いながらレビンからの感謝も受け取っていた様だった。


僕は買ってもらった皮の首輪を早速レビンに付けるとようやくレビンは制限無く無事に過ごせるようになった。


「良かったね、レビン!」


リリーは嬉しそうにレビンを抱き上げる。


リリーに抱きかかえられる時のレビンは決して嫌そうなことを言わないのが解せぬ。


「で?行ってみるのか。パウエルのおすすめの所っていうのに。」


先生から提案があったので可能ならば行ってみたいと伝えると「じゃあ、行くか」と早速向かうことになる。


そこはかなり予想とは反したこぢんまりとし、見たこともない様な物を扱っている商店のようであった。


窓から見える商品もどれも見たことがないものばかりだった。


思わず先生は「ガラクタ屋か?」等と言う始末であったが、とにかく入ってみることなった。


「これは珍しいお客さんだ。いらっしゃい。」


そう言いながら出迎えてくれたのは初めて見る種族、『ドワーフ』族の店主であった。


「はじめまして、こんにちは。パウエルさんの紹介できました。」


リリーと二人で頭を下げ、挨拶をすると「これはこれはご丁寧に。」と返してくれる。


「儂は見ての通りドワーフ族でここの店主であるモルガットと言うものです。以後お見知り置きを。」


「で、この店はなんの店だ?見たことがないようなものばかりだが。」


先生でも見たことがないようなものばかりだったようで訝しがりながら商品を眺めている。


その表情をいつも見慣れているかのようなモルガットさんは答えてくれる。


「ここは『エレキテル』というエネルギー使う商品を扱う店です。」


「エレキテル?初めて聞きました。それはどんなものなんです?」


僕は初めての単語にワクワクしながら目を光らせ説明を受けることになった。


「おや、坊っちゃんはエレキテルに興味がお有りなようで。ではまずこちらをご覧ください。」


そう言いながら一台の人形を出してくれた。


「ここのゼンマイを巻いて、ここを押すと・・・。さあ、御覧ください。」


そう言うとモルガットさんの見せてくれた人形は手のひらサイズの大きさで変わった衣装を着ている物だったが、なんと勝手に動き出した。


!?


僕とリリーはとんでもないものを見たと顔を合わせ興奮する。


しばらく同じ動きをしていた人形は、ゆっくりとその動きを止めた。


「魔石の類を利用した玩具か何かか?」


先生が眉を寄せながら聞く。


「いえ、この人形の動力源は魔石の類ではありません。エレキテルになります。」


その答えに更に先生は疑問が生じたようだ。


それはそうだろう、何かを動かす時のエネルギーは大体は魔石の類になる。


火の付くランタンや時計などの魔道具もその名の通りエネルギーは魔石である。


「そのエレキテルって何なんですか?」


よくぞ聞いてくれましたとモルガットさんは子どもでもわかりやすいように説明してくれる。


「坊っちゃん達はお外で温かい格好をして遊んだ後、家に入る時金属のドアノブを触ろうとしたらバチッ!となにか衝撃を受けたことはありませんか?」


それには思い当たることがあった。


だが当然その原因はわからなかったので皆で「マナのいたずら」等と謎現象として扱われてきていた。


その様子を見たモルガットさんが「ふふ」っと笑いながら説明を続ける。


「それこそ儂達が『エレキテル』と呼んでるエネルギーになります。今ご覧になった人形の内部には人工的にこのエレキテルを発生させ、それをエネルギーとして動く細工が施してあります。」


その説明に僕達三人で驚いた。


「そんな代物があったとは。魔石を必要としていないのならばかなり革新的なんではないか?」


先生の質問も最もであり、今までの動力エネルギーとして使われていた魔石は小さいものでも安直に手に入れられるものではなく、有限で貴重なエネルギーとして扱われていた。

それ故、魔石を使う魔道具も比較的高価になりがちであった。


「はい、最近では儂らの故郷である『ヴァルクレスト』では専門家たちがこぞって研究をしておりまして、儂は少しでもエレキテルに役立つ素材の回収や普及を目的として店を構えさせてもらっています。」


「『ヴァルクレスト』はドワーフ族達の暮らす国でしたっけ。」


リリーの質問にモルガットさんは笑顔で頷く。


「よくお勉強なさっているようですね。」


そう言われ、照れている。


「それにしても、素材か。それでパウエルが関係してくるんだな。」


先生が確認すると詳細を話してくれる。


「ええ、以前冒険者ギルドに黒砂や砂鉄と呼ばれる物を集めてほしいと依頼をしたんですが、そんな物集めたことがないということでこの店に直接パウエルさんがいらしたんです。」


黒砂(こくさ)?砂鉄?」


またしても初めて聞いた言葉に僕は首を傾げていると「お待ち下さいね。」と実際見せてくれるとのことだった。


「こちらになります。これが儂らが黒砂と呼んでいるものです。」


そう言い革袋に入った黒砂と呼ばれている物を見せてくれたが、それは紛れもなくレビンがいつも雷のマナを放出した時にどこからかくっついてくる、あの砂であった。


「あ、これ!レビンの体に良くくっつくやつだ!」


リリーも同じこと思ったようなので間違いない。


「レビンとは?」とモルガットさんが逆に聞いてきたのでレビンを持ち上げ紹介する。


「この子がレビンです。害はない魔獣ですが雷属性のマナを使うんです。その時いつもどこからともなくこの黒砂が身体にくっついちゃって取るのに苦労してるんです。」


モルガットさんは研究者らしい顔になり「ふむ、興味深い」とレビンを見ていた。


「ああ、すみませんね。儂ということが、エレキテルのことになるとつい。」


「というと、雷属性のマナとエレキテルは関係があるのですか?」


関連があるとのことで思わず聞き返していた。


「ええ、エレキテルとはすなわち小さくなった雷そのものですからな。」


モルガットさんが答えてくれる。


知らず知らずのうちに最新のエネルギー使ってたみたいだよ!


「磁石はご存知ですかな?」とまた珍しい名前が出てきたがこれは知っていた。


「はい。磁石は鉄にくっつく性質がある石で羅針盤にも確か利用されてましたよね。」


以前読んだ本の中に確かそんなことが書いてあった気がする。


「これは驚いた、本当に賢いお子さんたちだ。そう、羅針盤の針はその磁石を加工したものです。そしてこれがその未加工の磁石になります。」


モルガットさんはもう一つの袋から磁石を出してくれたが見てくれは本当にただの石のように見える。


だが次の行動に目を剥き驚いた。


その磁石を黒砂の入った革袋の外側から押し付けると、なんと袋の中に入っている黒砂が不思議な形になって固まっている。


しかもそれはモルガットさんが磁石を動かす方向について回っていた。


そのあまりの光景に僕達は目を丸くした。


「ふふ、これが黒砂と磁石の関係です。磁石は雷の影響を受けた鉄の石で黒砂は細かくなった鉄の砂なんです。つまり雷と磁力、そしてエレキテルは密接な関係があるというわけですな。」


モルガットさんの説明は至極わかりやすく、かつ見ていて楽しい実験だった。


思わず僕とリリーはパチパチと拍手しながら、一種のショーを見ている気分でこの楽しい実験授業を終えた。


「本当にありがとうございました!勉強になりました!」


頭を下げて礼をの言うと「逆にこちらが初心に戻った気分で楽しかったです。」とお礼を言われた。


そんな楽しい時間はあっという間に過ぎ、帰りの乗合馬車の時間が近くなっている。


モルガットさんに別れを告げると「またいらっしゃってください。」と言われたので「是非!」と答えた。


そうして僕達の目的であったレビンのテイム登録と雷と黒砂の勉強を終え、帰路につく。

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