Verse4 ことはとC.O.T.O.H.A.
その記憶の中心には、自分と同じ名を持つAIがいた。
Verse4 ことはとC.O.T.O.H.A.
深紅に染まる闇夜の空にわずかに“細い白”が浮かび始めた頃、懐かしい“追憶”が視えた。
ほんの少し笑みを浮かべた私は今いる場所を忘れそうになった。
『今の追憶ってまさか……。』
私がいる場所とお父さんが話してくれた病室、周辺が酷似していたことに気がつき、調べることにした。
外へ顔を移す。
『あの家……。』
窓から顔を出して家があった場所へ目を向ける。
『ない……。』
視線を外し、もう一度確認する。
『やっぱりない……なくなってる。
あれは“追憶の室”だったの?』
見渡せば、建材店に工具店。
錆びた看板の下に、お父さんが好きそうな店ばかりが肩を寄せ合っている。
あの日の景色と、重なるようで重ならない。
確かめよう……。
左手を手前に曲げ、腕輪にそっと目をやる。
お父さんが設計した─ 多機能型のインターフェース“腕輪端末”。
腕に沿うように装着される、通信や認証はもちろん、ホログラムを投影し、空中に立体的なディスプレイを映し出せる。
触れて操作することもできるその端末は、必要な情報やアプリを、その場で呼び出せるようになっている。
さらに腕輪端末は、使用者の感覚と結びついた記憶と呼び起こされる記憶、この2つの機能も備えている。
名前は確か……“回想投影”。
食べ物の匂いや雨音や風の流れ、季節の移ろいといった外界の刺激をトリガーにする方法。
もしくは脳内の断片的な記憶を映像化し、呼び出された記憶は目の前に映し出されまるで古いフィルムみたいにノイズが走る。
曖昧さや滲みを残したまま再現される“記憶特有の質感”。
腕輪端末を軽く指で撫でる、腕を傾けるなどの操作で「次の記憶」へ飛ぶ。
風景や季節に引き寄せられて“忘れたい記憶”をも浮かんでしまう。
お父さん曰く“未来へ紡ぐカタチの一部になれば”という事らしい。
“端末開発者”としても尊敬できる……が、どうしても気に入らないことがひとつある。
アシスタントAIの名称。
“Cognitive Oriented Thought&Heuristic Assistant
”─略して、“C.O.T.O.H.A.”。
『なんで、私の名前と同じにするのよ……お父さん。』
声にすれば穏やかなものなのに、ふいにこみ上げる感情が、心の奥で強くざわついた。
押し殺すように、その気持ちを胸にしまいながら、ゆっくりと手をかざしてみる。
本作をお読みいただき、ありがとうございました。
登場人物たちが抱える痛みや願い、そしてそれでも前へ進もうとする心を、物語を通して丁寧に描き続けたいと思っています。
この物語はまだ続きます。
次の章でまたページを開いていただけたら、とても嬉しいです。
この作品について
本作『Roots-紅の夜明け-』は、執筆の過程においてAIアシスタント C.O.T.O.H.A. の補助編集を受けています。
ただし核となるプロット、構成、セリフ、細部表現などはすべて作者 雁ヶ音むすび が考案・改変しています。
読者の皆さまには、どこまでがAI出力で、どこからが作者の筆かを味わっていただければ幸いです。
雁ヶ音むすびwith C.O.T.O.H.A




