PHASE2 過去を映し出す者
「記憶」はいつも素直に応えてくれるわけじゃない。
それでも手繰り寄せた“痕跡”は、確かにそこにあった。
想いと誇りが交差する過去と、
それを見つめる現在の視線が重なるとき――
歪んだノイズの先に浮かび上がる、仲間の静かな言葉とは。
――PHASE2 過去を映し出す者
『チョウさん、弓はここでいいの?矢はこれだけで大丈夫?』
お父さんが怪我をして人手が足りないとチョウさんが、おじいちゃんに掛け合ってくれたんだ。
――初めて手伝いを任された時は、胸が弾けそうなくらい嬉しかったな。
『おぉ〜そこで充分じゃぁ。随分と早かったな。おまえさんが居てくれて助かってるわぃ』
そう言ってチラッと僕を見ただけで、また黙って遠くを睨む背中に戻る。
――その無言が逆に頼もしく感じていた。
『ほら、僕だって出来るんだよ。なんでわかんないの?おじいちゃん……。』
――声に出してボヤいたけど、返事はなくて。
『チョウさん疲れたでしょ?僕が代わりに見てるから、少し休憩してきたらいいよ!』
胸を張って自信満々に言うと、チョウさんの肩がわずかに揺れた。
――ほんとは、ただわくわくして見張りたい一心。
「任された」この事実が大人への一歩と思ってた。
少しの手ほどきを教わり、チョウさんが横にいる。
その条件で初めての見張り番。
しばらく……沈黙が続いていた。
湯呑みのお茶を啜る音が辺りに響く……。
チョウさんが不意に『**トも慣れて来たし、狩りでも行くか?』
――ズッ‥ズッササッ‥目の前へ映し出されたフィルムにノイズが走る。
一度、記憶のフィルムを閉じて“回想投影”を開く。
Recognition—dist……Visual feed—■■■■
と流れる英字の羅列。
やがて文字は崩れ、幾何学のような記号に置き換わっていった。
『ふむ‥』指先でホログラムを軽く払う。
呼吸をひとつ整え、落ち着いた声で操作を続ける。
乱れたノイズが一瞬ほどけ、羅列された英字が整列する。
Cognitive module—running…
Heuristic path—linked…
Memory trace—stable…
『……よし。まだ反応はある。崩れたのは一部だけだな』
プログラムを修復するように指を滑らせると、画面は安定を取り戻す。
『ふぅ……こんなエラーは初めてだな。』
首を上へ傾け見上げる。
“紅闇”がまた一筋、黒を侵食するように滲み出していた。
『あと少しだから……もってくれよ』
慣れた指先でなぞる。
……記憶が彩る。
『*コ*も慣れて来たら狩りでも行くか?』
フィルムをスライドさせ“回想投影”と同時に確認する。
Cognitive module—running…
Heuristic path—linked…
Memory trace—stable…
特に異常は見られない。通常のノイズのようだ。
『*り?ダメだよ。***さん。』
後ろを向いて首を振り、握った拳がわずかに震えていた。
『おじいちゃんに怒*れるよ。あん*に怒ったおじいちゃん*めてだったし‥』
――あの日の彩りは今でも鮮明に……端末を使わなくても忘れもできない苦い思い出。
『でも……でも行*たい、みんなの力にな*りたい。』目の前にいるチョウさんの目をまっすぐ見る。
――少しだけくすぐったいがこの気持ちは今でも変わらない。
『んぅむ、わかった。爺さ*には黙って*く。やってみるか。』
ニコッと笑いながらも、その眉間にはかすかな皺が寄っていた。
『*張る。早く一人*になってお*いちゃんを*けてあげたい。』
チョウさんの眉がピクリと動く。
『今は“ゲン*”の事はえぇじゃろ。ワシを……ワ*のことをお*いちゃんと……呼んでくれ』
低く抑えていた声が一気に強まり、目がぎらりと光った。
僕は思わず背筋が伸びる。
ジジッ……ピシッ。
『ん……?』ノイズが閃光のように走る……。
本作をお読みいただき、ありがとうございました。
登場人物たちが抱える痛みや願い、そしてそれでも前へ進もうとする心を、物語を通して丁寧に描き続けたいと思っています。
この物語はまだ続きます。
次の章でまたページを開いていただけたら、とても嬉しいです。
この作品について
本作『Roots-紅の夜明け-』は、執筆の過程においてAIアシスタント C.O.T.O.H.A. の補助編集を受けています。
ただし核となるプロット、構成、セリフ、細部表現などはすべて作者 雁ヶ音むすび が考案・改変しています。
読者の皆さまには、どこまでがAI出力で、どこからが作者の筆かを味わっていただければ幸いです。
雁ヶ音むすびwith C.O.T.O.H.A




